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カフェインコントロール


コーヒーにはカフェイン

コーヒーを飲む理由は色々あると思いますが、「カフェインを摂りたいから!」という人も多いのではないでしょうか。
朝の目覚めのとき、午後ボヤ〜っとしてしまうとき、連休中に渋滞にハマり頑張って運転しなければいけないとき・・・。
カフェイン入りのエナジードリンクが流行るくらいですから、カフェインを求めている人は多いのでしょうね…。
(カフェイン依存、なんて言葉を聞くくらいですし!!)

そもそもカフェインとは、コーヒー豆やカカオ豆、お茶などに天然に含まれる成分で、抽出したカフェインは食品添加物としても使われています。
カフェインは神経を鎮静させる物質の働きを阻害し、その結果、神経を興奮させるわけです。(農林水産省HPより

コーヒーに含まれているカフェインは、100gの浸出液中に60mgほど。(カップ1杯150mlとすると、カフェインは90mg)
そして、健康な成人の1日のカフェイン摂取量は400mgまでが推奨されていることから、1日にコーヒーは3〜4杯まで、と言われます。
(独立行政法人国民生活センターが飲料のカフェイン量について興味深いレポートを出していますので、興味のある方はぜひお読みください。)

独立行政法人国民生活センター「飲料のカフェイン含有量に関する調査」
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20211104_3.pdf

国民生活センターのチラシ
国民生活センターのチラシ

カフェインの王様のような存在のコーヒーですが、実は玉露のほうが圧倒的にカフェインの含有量が多いのにはびっくりです。
(まあ、玉露よりコーヒーのほうが身近だし、たくさん飲みますよね。)

コーヒーを売る仕事をしている私ですが、実はあまりカフェインが得意ではなく、3杯目くらいで「カフェイン酔い」のような状態になります。頭が痛くなったり、気持ち悪くなったり、不快な症状が出てくるのです。
(の割に、寝る前にコーヒーを飲んでもぐっすり寝られるのですが…。)
美味しいカフェインレスのコーヒーが身近にあればいいのに。
でも、カフェインが入ったコーヒーが必要なタイミングもあるし。
・・・
それなら、生活のタイミングや体調に合わせて、カフェインの量を選びながらコーヒーを楽しむ「カフェインコントロール」コーヒーを自分たちで作ってみよう!と思い立ったのです。

デカフェ(カフェイン除去)

カフェインを抜いたコーヒーを「カフェインレス」「デカフェ」などといいます。コーヒー以外のお茶や紅茶でも同じ言葉が使われています。

コーヒーからカフェインを抜くためにはなかなか大変な工程が必要になり、世界中で行われているカフェイン除去の方法は大きく3つあります。

1つ目は有機溶剤による除去です。
これは、日本では行われていませんし、日本に輸入することも禁止ですから、ほとんど口にすることはありません。

2つ目が「ウォータープロセス」。水溶液の浸透圧を利用します。
コーヒー生豆に含まれている成分からカフェインだけを抜いた成分の飽和水溶液を準備し、それに生豆を浸します。
そうすると、豆の中にはカフェインがあり、周りの水溶液にはない、という状況になり、カフェインは浸透圧により、濃い方(豆の中)から薄い方(周りの水溶液)へと移動します。
このとき、カフェイン以外の必要な物質も移動してしまいますので、それを調整し、最後には乾燥させてデカフェコーヒー生豆の完成です。
豆と同じ成分の水溶液を使う方法なので、安心感がありますね。
日本で流通しているデカフェコーヒーのほとんどはこの方法だと思います。
ただ、ウォータープロセスを行う会社は今のところ日本にはありません。
大きい会社が、カナダとメキシコにあります。
日本からだと、生豆を長距離運搬しなければならないコストと環境負荷が気になるところです。

3つ目が二酸化炭素を使った「超臨界CO₂法」です。
二酸化炭素は馴染みの深い気体ですし、固体のドライアイスも日常的に使われています。
その二酸化炭素に圧力と温度を加えると、液体と気体の両方の性質を持った「超臨界流体」という状態になります。
この「超臨界CO₂」を条件を整えてコーヒー生豆に当てると、CO₂がカフェインだけを引っ張って取り出してくれるそうな。
(おお〜、分かったような、イマイチ分からないような。)
日本では、超臨界技術センターや東北大学での取り組みが良く知られていると思います。
使用するのは二酸化炭素だけで、狙ってカフェインだけ取り除いてくれるので、味や風味も損なわれずにデカフェ加工をすることができます。
ただ、まだ研究レベルの取り組みで、大量の加工ができないのが難点です。

今回、私たちが持っているコーヒー生豆を超臨界CO₂法でデカフェ加工してみました。
試しに焙煎して飲むと・・・おいしい!
豆の個性がしっかり残っています。
スペシャルティコーヒーのデカフェにはなかなか出会えないので、大きな可能性を感じました。

バイカフェ®(カフェイン増強)

デカフェとは反対に、生活の中ではカフェインが必要な場面もあります。
普通のコーヒーよりも、たくさんのカフェインを含むコーヒーがあっても受け入れられるのではないか?
そこで、カフェインを増やしたコーヒー生豆を試作しています。
カフェインを増やす方法については詳しく書きませんが、加工した豆を分析してもらったところ、一般的なコーヒーよりも約2倍のカフェインが含まれていました。おお〜!

カフェインを増やした豆を「バイカフェ®」と名付けました。
「バイ」は、カフェインが「倍」という意味と、英語の「Bi-(2つの、二重の)」という言葉をかけ合わせています。

この豆を焙煎して飲んでみると・・・これも美味しい!
ちゃんと豆の個性が残っているし、でも少しコクがあるというかパンチがある感じがします。
少し飲んだだけで目がパチっとする感じ。
これがカフェインの効果でしょうか・・・?!

カフェインをコントロールしながら楽しむ

今までは、「妊娠・授乳している人」「カフェインに敏感であまり飲めない人」などが、どちらかというと消極的な理由でデカフェを選んでいたと思います。(仕方ないよね〜、今は普通のコーヒー飲めないし、という感じ。)
また、「今はちょっと頑張りたい」、「しっかり集中していたい」、という理由でカフェインをしっかり取ろうと思ったら、エナジードリンクのような糖分が多く含まれたドリンクを選ぶしかなかったですよね。

このデカフェとバイカフェ®を上手に使えば、生活のタイミングやその日の体調や気分に合わせて、カフェインをコントロールしてコーヒーを生活に役立てられると考えています。

朝起きて、気持ちをシャキッとさせたいときにはカフェイン1.5倍で。
おしゃべりしながらリラックスしたいカフェタイムはカフェイン0.5倍で。
午後ボ〜っとしてるけど、これから会議だというときはカフェイン2倍で。
夜、寝る前に温かいミルク入りコーヒーを飲むときにはデカフェで。

コーヒーが日常生活のいろいろなシーンで楽しまれている姿を想像して、ワクワクしています。

バイカフェ®・デカフェをテスト販売します

普通のコーヒーよりも2倍のカフェインを含むバイカフェ®と、超臨界CO₂法で加工したデカフェを試作したので、これをテスト販売する予定です。
ただ、試作なのであまり大量に作れませんでした。

私たちのECサイトに明日(24/5/14)以降、バイカフェ®・デカフェ焙煎豆の販売ページを公開しますので、興味のある方はぜひのぞいてみてください。
今回はとりあえず10セット販売しますが、加工した豆の在庫が少しだけありますので、好評なら追加販売できると思います。

まだ大量に加工する体制は整っていないのですが、皆さんの関心が高ければ関係各所と協力して、商品化に向けて努力していくつもりです。

応援よろしくお願いします。


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