「めちゃイケ」が残したもの。

22年という長い間、フジテレビの土曜20時バラエティ枠を支えた「めちゃめちゃイケてる」が3/31で最終回となった。
視聴率が低迷しているフジテレビが「みなさんのおかげでした」と同時期に、フジバラエティを支えた屋台骨を取り外す英断を決意した。

他局は「めちゃイケ」の裏番組には最後のとどめを刺さんばかりの番組を用意していた。ここ最近の低視聴率は惨憺たるものとは言え、22年もの間続いた番組の最終回となれば、どの局も手を抜くことできなかったのだろう。
ちなみに最終回の最高視聴率は10.2%。歴代最高視聴率は2004年10月9日スペシャル放送回の33.2%だった。単純計算すれば3分の1という結果に。
今回のまるまる時間帯が被っていたTBS「オールスター感謝祭」は番組終了までの視聴率で13.0%。TBSのバラエティはフジバラエティ黄金時代では暗黒の時代と呼ばれていたが、今では逆転されてしまうという何とも皮肉な結果だ。

最終回の内容としては、めちゃイケの人気企画を復活させ、視聴者に今までの番組の歴史を振り返させるようなものだった。また、番組にゆかりのある芸能人が登場したりと学園祭のようなテイストだったように感じる。
しかし、終盤の感動路線はいかがなものだろうか。めちゃイケが終了となる原因の一つは感動路線を織り交ぜた企画だと考えている。
笑いと感動の融和性は水と油のようなもので、混ぜ合わせるのが非常に難しい。笑いを求める人にとっては、「泣けるやろ?」という内輪ノリに寒くなってしまうし、感動を期待している人にとってはふざけているような印象すら与える。(バラエティで感想を求める人もどうかと思うが)さんまがパーデンネンで登場し、さんま節で笑いをとっていく姿はやはり大物の実力を見せつけた。やはりバラエティー番組はしんみりと終わるのではなく、最後の最後まで笑いをとっていこうという姿勢を忘れてはいけないと思う。

めちゃイケの笑いは時代錯誤だと言われることもあったが、それは当たり前のことでもある。むしろ22年も続く番組があること自体が異常事態でもあるのだ。
テレビ、芸能という業界は確かに実力や実績、人気が一番重要な要素である。しかし、それにすがり続けてしまったことにこの現状があるのだ。

テレビは明らかに求心力を失い始めている。しかし、その実情を指をくわえて見ている場合でもない。また、過去の番組はやっぱり面白かったと過去の栄光ばかりを振り返っても今の状態は何も変わらない。
現状でいかに面白いコンテンツで多くの人を魅了するのか。バブル期のバラエティはセットや爆破など、とにかくお金をかけて、なおかつ画力が強いものが多く登場した。
しかし、今はそうではない。いかにお金をかけずに批判の少ないものを作るかが既定路線になっている。自由さが失われたからこそ、生まれる新しいものが生まれるのを期待したい。進化はいつだって、生存が危ぶまれたときに起こるのだ。ピンチはチャンス。

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