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第96回米アカデミー賞授賞式/感想文①:進行が失敗したよね、と思う件
毎年、米アカデミー賞の発表にワクワクし、授賞式後に拡散される短い動画を手あたり次第検索して観ていたワタシ。
WOWOWのオンデマンドに入ればPCで見れると知り、今年はグラミー賞前に入会してグラミー授賞式と米アカデミー授賞式、両方をしっかり生放送+夜の字幕版で鑑賞しました!
ということでその感想を、ここに記録しておこうと思います。
授賞式の時短のために、スピーチには厳しい時間制限アリ!
こういうステージのスピーチって、とにかく長くなりやすい。授賞したら沢山の関係者にお礼を言いたいし、家族にも言いたい。どんな風に苦労したか、どんな思いを込めていたか、自分語りもしたくなる。
その結果、授賞式全体が長くなり、ただ聞いているだけのお客さんはお尻が痛くなってしまう。運営側は「長すぎる!」っていうクレームに、どう対処するか、毎年、頭を悩ませているのだろうなぁと、想像できます。
今年はグラミー賞でも、受賞スピーチに厳しく制限時間が決められていて、受賞者たちは明らかに「急いで要点だけ話さなきゃ!」っていう焦った様子の人が多かった。時間オーバーすると、それが分かるように決まった音楽が流されていた。
受賞者もプレゼンターも慌て気味
米アカデミーVFXで受賞したゴジラ-1.0の時の山崎監督もそうで、まだスピーチが終わる前に制限時間が来てしまい、音楽が流されていた。
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そんな状況の中なので、プレゼンターも受賞者も、どちらも壇上で時間を気にしている事を隠し切れない。特に授賞経験者は、今回の受賞者のスピーチの時間を邪魔しちゃいけないと気を遣うから、動きがわちゃわちゃしてしまう。
今年のグラミー授賞式では、テイラー・スウィフトがセリーヌ・ディオンからトロフィーを受け取る際、すごく素っ気なく見えて、気になった。セリーヌ・ディオンは難病でずっと舞台から姿を消していて、今回久しぶりに姿を見せたので、周囲は驚きで騒然としていた。だからなおさらその素っ気なさに疑問が湧いたんだよね。
でもその後、SNSで二人がハグし合う写真が流れてきて、ホッとした。もしかしたらテイラーは、セリーヌの体調を気遣って、壇上で抱き着くのを控えたのかもしれない。
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今回のアカデミー助演男優賞の授賞の際も、ロバートダウニーJr.がキー・ホイ・クワンに素っ気なかったという事で炎上しているけれど、私が見た感じでは、前年の候補者5人全員へ手を伸ばそうと振り返ったロバートに対して、キーが「今は早くマイクのところへ行ってスピーチを!」って促してる様子だった。
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ちょいちょいっ、って封筒でマイクの方を指してるんだよね。もしかしたら式の進行上、受賞者はすぐにスピーチするように!って事前に言われていたのかもしれない。
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エマ・ストーンの主演女優賞の受賞の時も、ミシェル・ヨーからジェニファー・ローレンスの方へオスカーが移動して、エマが親友ジェニファーと熱い抱擁。これはミシェル・ヨーが気を使ったから、ということが後から語られたけど、この時も、今はスピーチ優先よ!ってことで、サリー・フィールドがジェニファーを静止して、さらに引っ張って端へ移動させてる。
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こんな感じで、みんな「さあ早くスピーチしちゃいなさい!」って気にかけている様子が見て取れた。
これらは全部、「時間制限」がある進行のせいだと、私は思っている。
たぶん事前に、「ハグに時間をかけるとスピーチの時間が削られるよ~」って、進行側から注意されていたんだろうと思う。
そんな中、それでも前年の候補者5人全員としっかり握手してからスピーチした主演男優賞のキリアン・マーフィーは、余裕を感じさせてカッコよかった!
本来あるべき姿はこれだな~って思った。でもやっぱりスピーチは必死に早口で話していたし・・・。
キリアンを模範として、誰もがまったく同じように行動するようになったら、形式化し過ぎてしまってつまらないと思うので。
模範通りでなかったとしても、それは限られた時間の中では起こりうる事なんだと見てあげるのがいいんじゃないかなぁ。
ミシェル・ヨーとキー・ホイ・クワンも、ハリウッドで長い年月をかけ、素晴らしいキャリアを積んできた二人なので、きっとベテランとして温かい気持ちで受賞者を迎えていると思います。
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歌曲賞と作品賞の候補作紹介が省略されてた!
歌曲賞と作品賞については、他の賞が発表される合間に、ステージパフォーマンスや映像で候補作が紹介されていたので、改めてもう一度、発表の時に候補作を紹介する必要はないという判断だったのでしょう。
でも実際は、プレゼンターがいきなり受賞者を発表する感じになってて、「え???」って拍子抜けした雰囲気が会場に流れていた。
やっぱり候補作を紹介してから、封筒を開けて受賞作を発表、っていう従来の段取りが分かりやすいので、そこは崩さない方が良かったと思う。
特に作品賞のプレゼンターをしたアル・パチーノは、「候補作を紹介し忘れてた!」とSNSで言われてしまい、後からあれは進行台本通りやっただけ、と説明した様子。
前年の米アカデミー賞では、作品賞のプレゼンターを務めたハリソン・フォードが映画業界について語り、候補作を紹介し、受賞作を発表するという段取りになっていて、そこにしっかり時間をかけていた。それに比べると、今年のアル・パチーノの出番は短かすぎる。せっかくプレゼンターとして登壇してもらったのに、あれだけでは、アル・パチーノに対して失礼なんじゃないかと、見ていてヒヤヒヤした。
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候補者にも光を当てる演出
確かに助演・主演賞の発表の際に前年の候補者全員がステージに並び、今年の候補者一人一人を紹介するという見せ方は、とても良かったように見えた。
特に今年はどの候補者が受賞してもおかしくないと思えるくらい、実力派揃いで甲乙つけがたい状況だった。
それは他の賞でもそうで、事前に候補者たちを集めて開かれた昼食会や、各部門ごとのショーケースなど、時間をかけて候補作ひとつひとつに光を当てるのは、とても意味のあることだと思える。
でも授賞式では、そこに時間が割かれた分、歌曲賞と作品賞の発表の部分が短縮されてしまった。
授賞式全体を長時間にしないための苦肉の策だったのだろうと思うけど、でもそのせいで慌てた様子になった部分があったり、盛り上がりに欠けてしまった部分があったり、弊害は少なくなかったように思える。
やっぱり発表される直前のドキドキ感は大事!
今年の米アカデミー授賞式は、ぎこちない部分が目立ったので、来年の授賞式の進行はまた手直しされると思う。
その際にはやっぱり、全ての賞において直前の候補作紹介は絶対に外さないで欲しい。それを聞きながら発表を待っている間のドキドキ感というのが、授賞式で最も盛り上がる部分だから。
てゆうか、そこを省いても問題ないと、どうして運営が考えたのか・・・
正直なところ、謎としか思えない。
来年の進行は、そこのところ、ちゃんと盛り上がるようにしっかりお願いしますよ!
※「第96回米アカデミー賞授賞式/感想文②:難しいテーマへの挑戦」はこちら
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