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NETFLIXドキュメンタリー『ポップスが最高に輝いた夜』ウィーアーザワールド収録の舞台裏


リリースから29年経った今だからこそ作れるドキュメンタリー

「ウィーアーザワールド」のメイキング映像自体は、リリース当時から放映されていて、参加アーチストに興味を持つ人であれば、一度は目にしたことがあったと思います。私もそうで、だから今またこの映像を見る必要はないと考えていました。

しかしこのNETFLIX版は、リリース当時にはオープンに出来なかったであろう、アーチストの個別のエピソード、決して順調ではなかった故の現場の苛立ち、そして参加しなかったアーチストについても、興味深い内容がたくさん追加されています。

さらに29年後の今、改めてライオネルリッチーを始めとするメインのスタッフやアーチストにインタビューをした映像も、収められています。

せっかくの貴重なエピソードなので、ここでは詳しく書きませんが、レジェンド級のアーチストたちが、実際にどんな人物だったのか、当時どんな様子だったのか、生々しく伝わってくる部分が多々あります。当時を知る人にも、知らない人にも、ぜひお薦めしたいドキュメンタリーです。

実は難題が山積みの作業過程だった

当時の詳しいエピソードを聞きながら映像を見ていると、アーチスト一人一人の経歴や個性が改めて浮き彫りになり、彼らの存在感に圧倒されます。そして何より、声の魅力と歌唱力に感銘を受けます。

でもだからこそ、アーチストたちには個々にプライドがあって、それを1つのチームとして纏め上げる事は、簡単ではありませんでした。

過去に見たことがあったメイキングでは、とてもスムーズにレコーディングが行われたように見えました。しかしこの新たなドキュメンタリーでは困難を極めた様子が伝わってきます。

そこがこの映像の1番の見どころです。

そんな数多の難題をどうにかこうにかクリアし、1日しかない収録スケジュールの中で傑作を完成させることか出来たのは、トップアーチストたちが肩を並べる緊張感と、プロ意識があったからこそと思います。

1980年台のミュージックシーンを象徴するプロジェクト

もともとは、前年にイギリスでボブ・ゲルドフが立ち上げた「バンド・エイド」が最初のプロジェクトでした。集まったのはスティング、ボーノ、ポールマッカートニー、ボーイジョージ、デュランデュランなどなど。私も大ファンだったので、彼らが一堂に会する光景は夢のようでした。

毎年開催される音楽のアワードに、人気のアーチストたちが集まることはありましたが、彼らが揃ってコーラスをしたり、ソロボーカルのリレーをする姿を見るのは、まさにバンド・エイドやUSA for Africaが初めて。

今のようにネット動画を見れる時代ではなかったので、彼らが普段着で集まり言葉を交わす録音風景には興奮させられました。そんな奇跡のような光景に歓喜しながら、レコードを購入し、それがチャリティーに繋がる。私たちファンにとって、当時はそのこと自体も新鮮で、あの時代だからこそ、一大ムーブメントとして成功を収めることができたプロジェクトだったと思います。

時代を感じるエピソード

ウィーアーザワールド収録当時はまだ、スマホやインターネットが普及しておらず、連絡先は名刺の束から拾い上げられ、連絡は電話で、デモはカセットテープに録音され、フェデックスで郵送されました。

そんな光景にも時代を感じ、感慨深いものがあります。当時を知る私には、そこまで古いことには思えなかったのですが、でも映像を見ていると、改めて時代が変わったなぁと痛感させられます。

そして彼らの中には、既にもうこの世を去った人たちもいて、懐かしさが込み上げてきます。もういないスターたちの動く姿を見ることが出来るのも、この映像の素晴らしいところです。

このドキュメンタリーは間違いなく、永久保存版になる映像だと思います。特に1980年台の音楽が好きな皆さんには必見です!

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