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無人島へ行こうよ

子供の頃というのはくだらないネタでよく盛り上がったもので、その中のひとつに無人島問題があった。いくつかのパターンがあったように思う。

①無人島に行く時に何か1つ持っていくなら何を持っていくか。
②無人島に行く時にリストの中(20アイテムくらい)から3つ持っていくことが出来るなら何を選ぶか。(ロープ・ライター・ナイフetc)
③無人島に連れて行くなら誰がいいか。


こんな感じ。

男同士で話す時はまずは①か②になったかな。持ち込んだものをどうやって利用するか、というところが争点になりやすくて、各自の空想サバイバル術を披露しあう。想像力を働かせてみんなで無人島擬似体験をするのは楽しかった。

それぞれがイメージする無人島によって適切なアイテムは変わってくる。なんでもありの夢の無人島の話をたっぷり楽しむと、前提条件をある程度揃えて議論をしたくなる。
(けど実際には③の話になって、その内容は年頃の男の子なので“お察し”な内容になるのである。余談。)

前提とは例えば
・無人島は無人なだけで文明の残骸はあるのか
・無人島への移動手段は海路か空路か
・極寒や極暑などの極端な気候でないか
・そもそも地球か
・目的は生存か帰還か、はたまた新世界の創造か
・他の人の侵入、あるいは救助は期待できるか

などなど、挙げればキリがない。


ちなみに私の場合は、こんな風に考える。

現在は無人島である。人がいたとしても何らかの理由で島を出ていったか死滅した可能性が高い。その理由を悪いものから挙げると、食糧難や劣悪な環境、外敵の侵入、疫病、人為的な理由で強制的に無人島になった、他に住みよい場所を見つけて移住した、純粋な減少による無人化、といったところ。いずれにせよこれらの場合は、少なくとも人が生活し得るだけのポテンシャルを島自体が秘めていると考えられ、状況次第で生活していくことは可能そうに思える。(これをケースAと称する)

次に、全く人がいたことがない完全な無人島であれば、これは人が寄り付かなかった可能性が高い。とすれば、その理由は何か。ほとんどの場合は環境だろう、周辺海域が穏やかでなかったり食料となる魚類がいなかったり、島の内部に飲水や食料となる他の生物の存在が確認できなかったり、農耕や狩猟が不可能なようであれば、人が住み着こうとは思わないはずだ。また、島全体の開発という意味でこれらを何とかしようと思っても、そのメリットがないと判断されたと考えられる。この場合のメリットとは、領海という概念や米軍の中継地点としての(役割もある)沖縄のように、経済的軍事的政治的メリットを指している(日本も価値ある無人島を持っており、多大なコストをかけても守っている)。こういう要素がないということは、つまり見向きもされない価値のない島だということになるだろう。この場合、偶然救助される可能性も生き抜いていける確率も極めて低いと考えられる。つまり、何を持ち込んでもどうにもならない。(これをケースBと称する)


さて、問題を出された時点では、向かう無人島がこのケースA,Bのどちら寄りであるかは不明だ。さあ、何を持っていこうか。
(いちいち書くのが面倒なので先に書くと、ケースBは何を持ち込んでも生き抜けないと思っています)

ネットで調べると、持ち込む道具の上位に入るのはナイフなどの刃物が多いようだ。自分では作れないもので、木を切る魚をさばくなど汎用性が高く護身用にも使える、とのこと。まあ、わかる。

だが、私はこれは不要だと考えている。何故ならケースAの場合、刃物くらい島の何処かにありそうだし、刃物は究極的には時短ツールなだけで、無くても無いなりに行動はできる。昔の人は石で切っていたのだし、切るという知恵は持っているのだから何とかなるだろう。


あとはライターなどの火をつける道具も人気だ。これもわかる。燃料という問題はあるものの、工夫次第でこれは解決できるだろうし、火のあたたかさは心身にとって良いものだ。ケースAなら燃料や炉などの確保も容易かもしれない(そもそも火起こし道具がいらないかもしれないが)。さすがに現代人が旧時代の火起こしをするのは難しいだろうから、刃物よりかはこちらを持っていきたいかな。まぁ要らんけど。


じゃあ結局、私は何を持っていくのか。

ケースAなら、何を選んでもどうとでもなりそうなので正直なところ何も要らない。逆に、何を持って行ってもどうにもならないケースBだった時のために有意義なものを選択したいと思う。

ケースBは生き抜くためにあがく必要はないので便利なものは要らない。必要なのは、生きているその瞬間を満喫するための道具だ。これは、楽器だったり本だったりといった娯楽要素の強いものがあたる。紙と鉛筆で日記を書いたり、流れ着いた空き瓶を拾ってボトルメールにするのも面白い。私ならそういうものを選ぶ。


そして、この考え方は、
③無人島に連れて行くなら誰がいいか。

この質問にも通じる。サバイバル能力が高い人とか、気が合う人とか、好きな人とか、そういうのは必要条件ではないんだ。二人だから楽しめることを堪能したいんだ。それはつまり、会話だ。

なんでもないことでも会話できる人。たとえ意味のない会話であっても楽しく続けてくれる人。今を楽しんでくれる人。そういう人がいい。

例えば、見上げた雲の形がエクレアとシュークリームに見えたからどちらがより美味しいかを話し合ってみたり、夜に輝く星々を見て適当な星座を作ってそれにまつわる物語を交互に紡いでいったり、ひょっこり現れたトカゲ親子の連綿と続く家系図を過去と未来分を作ったり、風と波の音からでたらめな曲を一緒に歌ったり。こういうことがどちらともなく出来る人がいい。

果たしてそんな人いるのかな。あ、でもこの文章をここまで読み進めてくれている人は、その時点でかなり適正があると思います。ありがとうございます。

それでですね、もしもの時はご一緒して頂けますか。




一つ忘れてた。
私、蚊が嫌いなんですよ。だから、ヘアゴム一つで穏やかな眠りを守ってくれる人はとてもポイント高いのです。メガネやヘアゴムなんかは常に携帯しているはずで、持ち込み道具の対象外ですから持っていそうだしね。

「無人島に連れて行きたい人」これが、私があなたを形容する際の表現の一つです。とても遅くなったけど。




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