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【創作小説】春夏秋冬。二話。

「このままでは、何か、あの何かに」

喰われてしまう。そう思った。

走って、走って、家の近くに着いた頃にはあの声は

聞こえなくなっていた。

一体何だったのか。僕には解らない。ただ、ただ、

何故だろうか。図書館のあの本に触れて読んだ文に

「■■■■は悪役として言い伝えられている」

「その最期は桜の木の下で斬首刑にされた説など」

「歴史に残る、今も尚、輝きを受けることなく、愛されることの無い、最悪だ。」

と書かれていたその文に、酷く、熱く、心が揺れ、

見蕩れてしまった。

本の文字が織りなす彼に、心を『奪われてしまった』

・・・・・・

翌日、またあの図書館に出向きたくなっていた。

あんなに不気味な体験をしたというのに、おかしい。

『ただ、どうしてもあの本にもう一度触れたい。』

それはまるで「恋する相手に会いに行きたい」

そうゆう甘くも虚しい夢心地に似ていた。

・・・・・・

図書館へ向かう。

また、あの『恐怖』に出逢う為。


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