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1つの時代の終わり―J. J. Watt引退に寄せて―

どのスポーツを観戦していても、シーズン終盤はどうしても寂しいニュースが飛び込んでくる。引退だ。NFLでDEとして長年、相手チームの攻撃陣を脅かし続けてきた超一流選手J.J.Wattが引退を発表した。

"Koa(Wattの子ども)を招待した初めてのゲーム、最後のホームゲーム"

プレーを見る限り、今年で引退する選手とは思えないプレーぶりであった。寂しい気持ちだ。しかし、ここ数年は怪我との闘いが続いていた。ご家族との時間や体の状態を考えると、ここが潮時であったのだろう。

2012年から2015年の頃は文字通りの「無双」であった。この間に積み重ねたサックは69回に上る。2012年のTFL(スクリメージラインより手前でタックルを決め、後退させた回数)は39回で史上最多(2位もWattで29回)である。

Watt1人で試合のパワーバランスが大きく崩れる光景は圧巻の一言であった。相手チームからしたら、文字通りの'Nightmare'だ。だからこそ、Wattの出場試合を観られるときは、とにかくWattの守備にワクワクさせられた。

しかし2016年の怪我以降、フルシーズンプレーできることの方が少なくなってしまった。ハイパフォーマンスの代償として負った怪我が選手生命を大きく縮めてしまったように見える。それでも出場した時影響力は大きく下がることはなかった。

一流の能力・成績を残したままWattは引退する。ディフェンス部門のMVP3回をはじめ、オールプロファーストチームは4年連続を含む5回選出。その他多くの輝かしい記録を残した。今後は弟のT. J. Watt(こちらも超一流の成績を残し続けている)の活躍を見ながら、子育てや新たな挑戦へと向かうのだろう。

どのような選手にも訪れる引退の節目。応援している選手だとショックも大きいが、ここは元日ハムの杉谷拳士の言葉を借りよう。次のステージへ向かう「前進」としての節目、それが選手としての「引退」である、と。

Wattはどのようなステージへ向かうのだろう。そして、今年引退する選手たちはどのような方向へ向かうのだろう。その前進を応援するとともに、自らの周囲の人たちが転職など、さまざまな形で前進する決断をした時、同じように応援しよう。彼らへの最大限の賛辞として。

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