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読書ログ5―ものの見方―

虎の門付近を歩いていたら、時々警官が多い日がある。
ある時(その日も多く警官がいた)横断歩道を渡っていたら、信号無視する勢いで車が突入し、横断歩道上で停止した。
渡っている方向とは無関係であったものの、つい数秒前には渡っている人もいた。さらに、パニックになったのか、ドライバーは急にバックし始める。今度は後ろからくる自転車にぶつかりそうになり、ライダーは大声で抗議(このライダー自体、信号無視していったが…)。この出来事のさなか、警官はピクリとも動かず。
事故寸前のこれらの出来事に対し、それを取り締まる側の何らの行動もとれなければ、それは当然事故が無くならないわけだ・そして、彼らにとっても飛んで火にいる夏の虫のはずである。
という風に、私はあきれに近い感情を抱きながら考えてしまう傾向がある。もし、これが「さくらももこ」だったらどのようにこの出来事をさばいたのだろうか。

さくらももこ『もものかんづめ』

身の回りでの出来事を淡々とエッセイにまとめているだけに見えるのだが、面白い。情景は浮かんでくるし、そんなに面白い人が周囲にいるのか、とさえ思ってしまう。また、経験した出来事も、よくそんな経験ができたものだ、それだけいい意味でのくじ運があった、そのように見えてしまう。

だが、出来事そのものは近親者の死やニューヨークへの海外旅行、身の回りの友人、アルバイト…。どれも身近なものばかりである。となると、物事をどのように見ていたのか、その違いなのではないかとさえ感じる。様々な物事の中から面白いことを見つける視点や感覚に長けていた、そして、それが自然と面白いものへ行動を引きつけている、そんなところがあったようにさえ見える。

何かすごいことができなくても、案外この人のような視点を持って生きるだけでも幸福感が増えるのではないか、そう考えさせらえる本であった。


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