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読書ログ7―じっくりと楽しむ本―

電子書籍を利用し始めて早10年ほど。小説、エッセイ、科学系の本、将棋等の趣味に関する本、様々なジャンルの本を買って読んだ。手軽に持ち運べる反面、前後の内容や別の本(電子書籍)を確認しながら読むのには適していない。なので、用途によって使い分けるようにしている。

その電子書籍で最近こんな本を買った。
『【全6巻合冊本】宮脇俊三鉄道紀行全集』

宮脇俊三による鉄道紀行をまとめた本だ。単行本だけで20冊分近く収録されている。それ以外に抄録も含まれている。ボリューム満点で読む前にお腹いっぱいになりそうだ。だが、ざっと数ページ読んでみた範囲で言うならば、結構面白い。案外サクサク読めそうだ。といっても、電子書籍を読むときに使っているアプリで表示されたページ数は6000(※)を超えている。1日100ページ読んでも2か月強かかる。ここ2,3年で読んだ長編(モンテ=クリスト伯、氷点)の倍以上のページ数がある。エッセイなので、全編を通して1つの物語が続くわけではないとはいえ、「過去最長」だ。
※Kinoppyを使った場合。kindleやhontoなど、別のアプリを使用した場合はページ表記ではない可能性がある

この本は何か意識して学ぶための本ではない。楽しみながら読む本だ。となれば、夜にウィスキーでも片手に読もうではないか。ストレートなりロックなりでちびちびやりながら、宮脇の国鉄旅日記をのんびり楽しむ。いや、ワインでも日本酒でもよい。まだ実行に移していないが、その画を思い描くだけで贅沢だ。ロッキングチェアがあればなお良い。

それにしても、ざっと目次を読む限り、廃線になっている路線の多いこと。全集の1巻目、その最初の本である『時刻表2万キロ』の第7章は北海道の旅である。美幸線、興浜北(南)線などに乗った際の記録なのだが、当時宮脇が乗りに行ったローカル線はすべて廃線になっている。知らない土地も多い。ちょうど手元にある1964年10月号の時刻表の復刻版にある路線図に加え、Google mapも活用しながら、じっくり読み進めないと、文字通り字面を追うのみになってしまう。だが、鉄道紀行と先の時刻表、Google map、これら時代の異なるものを眺めながら当時の様子を振り返る。時空を超えた妄想旅を楽しめるのではないか。

読了しても何か得られるようなタイプの本ではない。だが、生きる中で常に何かを意識的に学んだり、それを活かして何かを作り上げる必要はない。頭をリラックスさせながら、晩酌のようにゆったりと味わう本。それもいいだろう。

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