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センスメイキング理論から学ぶ、従業員への伝え方

結論だけを伝えていませんか?

従業員にわかりやすく方針を説明し、伝えているつもりなのに、社内の動きが鈍い。
こんな悩みはありませんか?一生懸命伝えても社内が動かないのであれば、原因は、「結論」を伝えようとしているからかもしれません

センスメイキング理論

では、何を伝えればいいのか?入山章栄教授が著書「世界標準の経営理論」で紹介された「センスメイキング理論」がその答えを教えてくれます。センスメイキング理論曰く、組織全体が足並みを揃えて動くために必要なのは、現在に至る一連の経験に対する、腹落ち感のある解釈=センスメイキング。従って、従業員に伝えるべきは、その結論に至った理由の部分、現状認識と解釈です。

みやげもの屋の事例で学ぶセンスメイキング理論

例えば、みなさんがみやげ物屋のアルバイトをしているとしましょう。晴れた日に社長から突然「傘を売るぞ、傘!」と言われても、何を言っているのかさっぱりわかりません。何がしたいのかよくわからないので、何もできません。そして「何もしない」と怒られるのでは、理不尽ですね。。。

ですが、社長のコメントがもし、「西の山が灰色に曇ってきたな、こういう天気になると30分くらいでこの辺も雨が降り出すんだ。傘を売るぞ、傘!」であれば、アルバイトの自分にも何をしたいかが良く理解できます。おみやげ物の高価な傘よりもその場しのぎのビニール傘が目立つよう店頭に出す、雨宿り客の来店を見越して、軒下から店の奥への導線を広くしておくなど、各自が共通の目標に対してなすべきことを考えて動き出すことができます

この事例では、①天気の変化=現状認識、②もうすぐ雨が降り出す=解釈、③傘を売る=行動、として、センスメイキング理論が提唱する「組織が現状を認識し、解釈して意味付けし、新たな行動を起こす」というプロセスを単純化して組み立てています。

共有すべきは、「結論」よりも「理由」

もうお分かりですね?結論だけを従業員にどれだけかみ砕いて説明しても、①や②が共有されていなければ、従業員は「なぜその結論なのか」が理解できず、動きようがない、ということです。

コンサルティングとセンスメイキング理論

この考え方は、実は、私たちコンサルタントにとっても非常に重要です。コンサルタントが働きかける先は経営者の頭の中。提示する戦略方針や課題について、まず経営者ご自身に腹落ちしていただき、積極的に会社を変革してもらいます。①現状認識と②解釈(コンサルティングでは戦略方針・経営課題)の共有までできれば、③結論の「何をすべきか」は、経営者の方が積極的に導かれるので、私は壁打ち相手としてお手伝いします。

多様性を生かす時代に向けて

経営者、従業員、コンサルタント。同じ時空にいても、各々自分の見たいものを見、自分流に解釈して生きています。人は多様な存在だからこそ、同じ方向を向くためには、現状認識と解釈の共有が不可欠。社会心理学ベースの経営理論だけあって、示唆に富んだ経営理論です!

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