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「銀のスプーン」をくわえて生まれてきた人たち

銀で作られたものがとても高価であった時代に、そんな銀のスプーンがあるような裕福な家庭に生まれた赤ちゃんなら「きっと幸せな子だ」と人々から言われたことが起源だそうですが、今ならさしずめ「親ガチャ」と表現するのかもしれません。

その昔、ここ日本では誰が言い出したのか、「一億総中流」と言う幻想が生まれ、それを今もって頑なに信じている、いや信じようとする人が多くいます。ですが、少なくとも「あなた」には、そんな「まやかし」を信じて欲しくないと思っています。

皆さんは『金魂巻』というタイトルの本が、私と同じ歳だったご両親の世代ならきっと覚えているに違いない、その当時は「超」がつくほどのベストセラーになった『現代人気職業31の金持・ビンボー人の表層と力と構造』(渡部和博・たらこプロダクション共著、主婦の友社・ちくま文庫)を知らないことでしょう。

私がそんな「大昔の本」を、なぜこの機会にわざわざ引用しようとしているのかと言うと、同書が極めて的確に「日本人の中流意識とは何か」「金持ちやビンボー人とは、どういう人を指すのか」について考えるキッカケをくれているからです。
たとえば、同書の「前書き」には、次のようなくだりが出てきます。

「皆さんの周りには、外から見ただけで明らかにお金持ちの人とビンボーの人がいることと思います。これはなぜでしょうか?その人を2日ぐらい観察していると、○○○○に気づくと思います。(中略)この○○○○を冷静に観察しているうち、ついにある法則性を発見したのでした」

面倒なので、金持の人を「マル金(キン)」、ビンボーの人を「マルビ」として話を進めます。

それから40年余りが経った現在では、この本で用いられた二項対立の構図を指して、一方を「勝ち組」に、他方を「負け組」として呼び替えた上で、「格差社会」や「分断社会」に代表される、日本における実態として、一般化している事実は、よくご存知の通りです。

本書ではこれまで私たちが意図的に「気づかない」「見ないふり」を繰り返してきた挙句、とうとう定年を迎えることになってしまった、「○ビ」な「勝ち組」、もしくは一見「○金」のようで、その実「負け組」だったサラリーパーソンを中心に据えていますが、やっかいなことに、一度歩み始めたあなたの「○金」と「○ビ」のコースは、その後のサラリーパーソンライフにおいて「なかなか進路変更できない」ことにあります(づづきは本書↓で)

定年いたしません! 」(光文社新書) 新書 が好評発売中です。 本書では30代、40代のサラリーパーソンが今後これから直面する本格的「ジョブ型」雇用において、 考えておきたい「ジョブ型定年」やそれまで、そして定年後のキャリアとライフプランを余すところなく解説してます。ぜひ一度お手にとってご覧ください。

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