シンジケートローン契約の解説編2

前回の契約解説編1では、契約の基本構造を説明しました。
https://note.com/valuation/n/n6414e2a09fe2

これから段々と具体的な契約条項に入って行きますが、その前にシンジケートローン契約が出来るまでのお話をしたほうが、全体像をイメージしやすいと思いますので、時系列でシンジケートローン契約をまとめてみます。今回は契約の締結前までの話をします。

シンジケートローン契約の締結まで

まず、アレンジャーの候補から借入人にスキームの提案があります。アレンジャーというのは、貸付人のためにシンジケートローンの取引をまとめる人ですね。

アレンジャーの候補から借入人にスキームを提案が行われます。つまり、これは多分、借入人に資金需要があるのか、あるいはアレンジャーの方から何か提案したのか、案件によって色々でしょうけど、こんな感じでシンジケートローンを作ってみたらどうでしょうかというような提案をアレンジャー候補者から借入人が受けるわけです。

次に、借入人がアレンジャーに案件の組成を委託します。つまり、アレンジャーの提案に関して借入人がそれいいねとなったらアレンジャーに対して、シンジケートローンの案件をまとめてくださいという風に頼むわけです。これは「マンデートの付与」という風に世の中で言われています。

このマンデートが付与されると、アレンジャー候補からアレンジャーになるわけですね。アレンジャー候補は、借入人から頼まれて、シンジケートローンを組成する立場にクラスアップします。

アレンジャーは、アンダーライト方式とベストエフォート方式で案件をまとめます。アンダーライト方式というのは、例えば10億円の案件をまとめてください。10億円借りたいと言った時に、「はい、分かりました。必ず10億円用意します」というのがアンダーライト方式です。ベストエフォート方式というのは、「貸付人が見つかったらそうなります。そのためにきちんと頑張りますけど、見つからなくても何か責任を負うとか、なんとしても10億円を集めるというところまではお約束いたしかねます」というのがベストエフォート方式なんです。

これは何が何でも連れてこられるかどうか、そこまでお約束をするかどうか次第ですけど、通常はベストエフォート方式です。

方式が決まれば、次にアレンジャーは、参加金融機関を招へいします。マンデートを付与されたアレンジャーが参加金融機関を集めてきます。

具体的にアレンジャーは何をするかと言うと、まず貸付人候補との間で守秘義務契約を結んだ上で借入人の情報や貸付の開示条件するわけです。こういったものを説明する資料は、インフォメーションメモランダムと呼ばれますけど、インフォメーションメモランダムや契約書のドラフトなんかを開示して、「どうですか、参加してもらえますか?どういう条件なら参加出来るってコメントがあれば教えてください」といったやりとりしながら案件をまとめてきて、参加金融機関が固まったら最後契約書を確定して調印する。

そうすると、めでたくシンジケートローン契約の出来上がりという流れになります。

終わりに

次回はシンジケートローン契約の締結後、貸付が完済するまでのお話をするつもりです。今回は契約解説編と言いつつ、契約までのフローのお話にとどまってしまいましたが、次回は締結後にどういったやり取りがあるのかを考えながら契約書を確認するスタイルでいくつもりです。


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