プロシーンのSunset攻略②-1:サンセットは開幕のAメイン争奪戦が最重要
今回はサンセットについて、「マップの構造」という面から検討する。想定より長くなったため、今回はAのみとして次回にmid・Bとしたい。
前回記事→プロシーンのSunset攻略①:Sunsetは守りマップである
開幕はAメインを確保せよ
タイトルにもあるが、サンセットは開幕のAメイン争奪戦がかなりの比重を占めている。このマップで結果を残しているSentinelsは、防衛の際Aに3人置くことが多い。
なぜそこまで重要なのか?「Aロビー」「Aメイン」という名称では説明が難しいため、以下のように細分化した。
大前提として、攻撃側は①、防衛側は③④のエリアを開幕で確保している。②のエリアをどちらが確保できるか、そのためにどの程度のスキルが必要になるかがカギとなる。
攻撃側が②の確保を目指すのは当たり前だ。ここを取らなければA攻めは始まらない。
一方で、防衛側が②まで詰める必要は一見無いようにも思える。そもそも③④でクロスが組めており、どちらにも対応しなければならないというのが攻めの難しさとなっているからだ。
それでも守り側が②の確保を目指す理由としては、以下の3つが挙げられる。
1.サイト中で耐えるのが難しい
防衛側の視点で見ると、Aサイトの中にいる場合、左右から挟まれる形になる。その場合箱裏で耐えるしかないが、ここにアフターショックやスネークバイトを入れられると、簡単に炙り出されてしまうのだ。
またEMEAでは少し出ていたものの、基本的にサイト中の耐えスモークが効果的ではない。Aメインを確保されエルボーにスキルを集められると、リテイクしか手段が無くなってしまう。
そもそもを言ってしまえば、サンセットのAサイトは他のマップと比べて非常に狭い。前で抑えスキルトレードを優位に進めるか、リテイク前提の引き守りになってしまうのだ。
2.ワンウェイスモークが強い
電話ボックスの上に炊くスモークは非常に強い。これがあると、攻撃側はかなりのスキルを使用しなければ②を確保できない。追い炊きをすれば安全にエリアを守ることができるため、スモーク数の多いオーメンが好まれる。スキルを多く使ったラッシュをパラノイア(Q)で追い返せるのも大きい。
②のエリアをキープするには多少のスキルが必要だが、相手はさらに多いスキルを使用しなければ取り返せない。状況が落ち着けば、アルティメットオーブも味方に回すこともできるのだ。
3.②を抑えれば、Aを少人数で守れる
これが最も大きい。SENは開幕3人で②を確保し、1人をBへ、もう1人をAリンク-中央top間に配置することが多い。②のエリアを突破されたときに備え、1.5人でAを守っているイメージだ。
単純計算してみる。オーメンは2つのスモークを持っており、その持続時間は15秒。そして30秒のクールタイムで1つスモークが復活する。
つまり開幕(1分40秒時点)でワンウェイを炊き、②を確保。1分25秒時点で追い炊きし、1分10秒のタイミングで回復したスモークを炊けば、残り55秒まで時間を稼ぐことができる。
残り55秒のスモークが切れたタイミングで攻めてくれば、攻め側がA本命である確率はかなり高い。守り側は早めに人数を寄せることができる。それまでに攻めてきても、守り側は1人しか配置していないにも関わらず、スキルトレードで優位に立つことができる。
とはいえ、そう簡単にはいかないだろう。Bメインへオーメンのスモークが要求されることもある。しかしその場合でも、安全にリテイクへ備えられるのが大きい。
以上のように前線を下げれば、防衛側は安全に引くことができる。場合によってはADADを使用してもよい。3→4or5では攻め側③からの射線が気になるものの、オーメンならばシュラウドステップ(C)が使用でき、他エージェントでもこのタイミングならばAリンク-中央mid間の味方がカバーしてくれるはずだ。
攻め側の視点からすると、1-5全ての射線に対してスキルを入れるのは現実的ではない。Aエルボーの縦深防御が優秀すぎるのは問題だと思うが、実際5のスモークを炊かれた後に打つ手が無くなってしまうのは、ランクでも経験したことがあるのではないか。
Aの突破においてスキルが足りなくなるというのが攻め側の悩みである。後述するが、だからこそヴァイパー構成ではなく2イニシエーター構成に人気があるのだろう。
まとめれば、防衛側は②を確保することでB・ミッドの守りに集中することができ、スキルトレードでも優位に立つことができ、時間も稼げる。
防衛側がAメインを確保する方法(スタンダード)
Aメインを確保する方法は複数あるが、まずはSentinelsの方法を紹介する。もちろん例外はあるが、SENはAメインにほぼ毎回フェイドを置き、レイズ・ブリーチ・オーメンのうち2名を配置することが多い。
1.ワンウェイスモークを放ち、フェイドはプラウラー(C)を投入
→相手は足音を出してワンウェイを越える場合、フォールトライン(E)で対応
2. オーメン・フェイド2人で②を確保
極めてシンプルである。ブリーチのスタンが②の横幅とほぼ一致しているため、攻撃側はこれを回避することができない。実際にスタンを出さなくても、いるかもしれないという恐怖から速い攻めは難しくなる。
オーメンはB側からスモークを出すのみでレイズに代わってもらっても良いし、"スタンが飛んでくるかもしれない"という考えを植え付けられればブリーチ無しの2人で見てもいい。ピストルラウンドにはプラウラーをレイズのブームボット(C)で代用することもあった。ややもったいないが、スタンをオーメンのパラノイア(Q)に代えても良い。
配置を読まれないようにすることが大切であり、相手がスキルをふんだんに使ってラッシュに見えた場合はパラノイアやレイズのペイント弾(エルボー側からのほうが良さそう)を素早く返すことが必要である。(シーズペイント弾という選択肢もある)
読んでいれば分かると思うが、Aメインの争奪で大切なのはフォールトラインやパラノイアなど、"縦"のスキルである。これはサンセット全体で共通のため、一つ意識しておいて損はない。
防衛側がAメインを確保する方法(その他)
他に面白いAメインの取り方をしていたチームの1つとして、中国のTrace Esportsが挙げられる。Raze,Fade,Gekko,Viper,Omenとやや珍しい構成を採用していた。
1.ワンウェイを炊き、ゲッコーがサイト中から真上にデイジー(E)を放つ。フェイドはAロビー反応のホウントを投げる(SEN同様プラウラーの場合も)
2.オーメンとゲッコーで②を確保
SENほどはっきりと②の確保を目指している訳ではないが、何しろ安いシグネチャーアビリティ(時間で回復するアビリティ)しか使っていない。速い攻めにはパラノイアで対応できる。デイジーの強化もパッチ7.12で追加され、フラッシュが早く発射されるようになった。攻め側でもスキルの不足を補えるなど利点も多いため、今後ゲッコーは増えてくるかもしれない。
EDGなど、チェンバーを軸にした抑え方も見られた。サイト中にランデヴーを置けば、比較的安全にエルボーから勝負することができる。オフアングルで待てるのも評価ポイントだ。
一度②を抑えると、電話ボックスの横にトレードマークを置くという選択肢もある。A前目での情報を取りつつ、チェンバーを再度midに展開できるというのは面白いアイデアと思った。
その他、フェニックスがそれなりに出ているEMEAでは、開幕・ワンウェイが切れるのを待って攻めてくる相手に対し、カーブボール(Q)でカウンターを狙う戦術も見られた。
フェニックスは競技シーンでの登場頻度が低いものの、Aメインのアルティメットオーブを回収できるとすればなかなか強いのではないか。
攻撃側がAメインを確保する方法(1コン構成)
では、守り優位な②を攻め側はどのように抑えるのか。発想としては、③④から進んでくる敵をどのように押しとどめるか、というものになる。
以下はKRU-FURにおいてFURが見せた対策である。ここでも、"縦"スキルの必要性が分かるだろう。
③にはサイファーのスパイカメラ(E)とフォールトラインで圧をかけ、④からのピークにはサイバーケージ(Q)を設置、エルボーにブームボット(C)とホウントを入れて確保している。特に③へのスキルはブリーチが最も優れており、スカイのガイディングライト(E)では避けられる恐れもある。カメラを置く場所からペイント弾を投げ込むのは少し勿体無いだろう。
その他、2パターンほど見つけたので貼っておく。KRUはこの後ラッシュをしたので、上記の場合ではA4が相手に伝わりプッシュの危険性もある。
上の2つは3人でA確保に向かえている。「③・④からのピークを防ぐ」という方針は変わっておらず、応用の余地はかなりあるだろう。
攻撃側がAメインを確保する方法(2コン構成)
2コントローラー構成の場合、現在ではヴァイパー / オーメンが主流となっている。それに限定して話を進めたい。
ブリーチのスタンが不可避である以上、2コン構成でも「③・④からのピークを防ぐ」方針に変わりはない。その際、ヴァイパーのスキルをどう活かすかがカギとなる。なおC9,TEのようにカーテンをBに固定するチームもあるが、それはいったん置いておく。
以下は、私が確認した試合で出ていた攻めカーテンの一覧となる。
細かな違いはあるものの、1-3はどれも用途が変わらない。③④からの射線を防ぎ、エントリー後に役立つカーテンとなっている。③のエリアと設置後のエリアをどこまで欲張るか、という話になる。
1に関しては、カーテン越しに射線を置かれて引かれる可能性が多少なりとも残る。よって2のほうが良いのではないか。3についてはEDGが使用しており、個人的にはこれがベストだと感じている。
路地右のスペースに関してはスキルを入れることで対応でき、オーメンによるサイト中箱上シュラウドステップも強力になる。また、③の箱裏に人を残すことができるのも大きい。1,2ではリテイク時にサイトへ入った相手の背後を取る際、一度自分のカーテンをくぐらなければならない。
④に関しては多少用途が異なり、BindA定番のカーテンとほぼ同じ意味を持つ。このカーテンを上げると③④のどちらかに行ったのかが分からず、守りはAに2人置く必要がある。ただこれが強いかと言われると…何とも言えない。Bindほどサイト内部に入れる訳ではない。
2コン構成の難しさ
2コン構成は確かに②を取りやすい。一方で、速い攻めができないという問題も抱えている。また③④まで取り切ったとして、フェイドのスキルのみでエルボーを突破しエントリーを成功させられるのか。スキル数不足に悩まされることとなる。ブリーチなどイニシエーターをもう1人増やす場合、サイファーを切らなければならないという問題もある。
また元も子もないことを言えば、ヴァイパーのトキシックスクリーン(E)とポイズンクラウド(Q)を同時使用しても現在は10秒しか持たない。相手からスキルが帰ってくる中で②を取り切れるか、難しいところはある。
また②をキープするのも難しい。少人数であれば、常に複数人からのカウンターを警戒しなければならない。以下のようにエルボーに潜むケースを何度か見たが、これを活かせるかはヴァイパーとIGLの能力に大きく依存するだろう。
Aメイン・ロビーの攻防のみで5,000字近くなったため、エントリーやリテイク時のスキルについて長く書くことは避ける。その代わりいくつかのおまけを用意した。
おまけ1. シュラウドステップは本当に強い(今更だが)
おまけ2. 防衛時のApushセット
おまけ3. Aエントリー時のスキル
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