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プロシーンのSunset攻略④:サンセットが守りマップではなかった件について

更新が遅れてしまったことをお詫びしたい。実は某プロチームの練習を見る機会があり(note記事は一切関係ない)、記事を書く時間が取れなかった。

今回は約1か月前に書いたサンセット記事の続編となる。その際守りマップの傾向にあると主張したのだが、どうやら私の考えは間違っていたようだ。

過去記事①:Sunsetは守りマップである

当時の考えは記事を読んでいただければと思うが、パッチ7.08では守り取得率が51%近くを記録しており、私がチェックした試合では56%まで伸びていた。これにパッチ7.10からサイファーのワイヤー強化が入ることを考えれば、さらに防衛有利になると考えるのは自然だろう。中身はさておき、一応理論としてもその理由を示したつもりだ。

しかし、12月に行われた「AfreecaTV VALORANT LEAGUE」では攻撃側のラウンド取得率が56%を記録。もちろん大会によって防衛側有利のデータが出ているものもあるが、「Rib.gg」でパッチ7.10を総合すると攻撃側50.5%というデータが出た。

また、ヴァイパー採用が増えていることも特徴の一つだ。もともとスキル量の不足を懸念し、Sentinelsの構成(レイズ,フェイド,ブリーチ,サイファー,オーメン)を推していた身としては、攻撃時にヴァイパー入りでラウンドを取れる理由を理論化したい。

前置きが長くなってしまったが、現状の認識は「攻めマップとは言い切れないが、少なくとも守りマップではない」というものだ。パッチ7.10の試合を5試合ほどチェックしてなんとなくその理由を掴めたので、説明していきたい。

1.今回チェックした試合

China Evolution Series Act 3: Heritability
・Edward Gaming vs Rare Atom (11/24)

AfreecaTV Valorant League
・Sentinels vs Paper Rex (12/5)
・Sentinels vs Paper Rex (12/10)

Convergence 2023
・Team Vitality vs FUT Esports (12/17)

Mandatory Cup 
・Acend vs CGN Esports (12/20)

2.各チームの構成

Sentinels: Raze,Fade,Breach,Cypher,Omen
Paper Rex: Raze,KAY/O,Gekko,Cypher,Omen
Edward Gaming: Raze,Fade,Cypher,Viper,Omen
Rare Atom: Raze,Sova,Cypher,Viper,Omen
Team Vitality: Raze,Skye,Cypher,Viper,Omen
FUT Esports: Raze,Sova,KAY/O,Cypher,Omen
Acend: Raze,Gekko,Cypher,Viper,Omen
CGN Esports: Raze,Phoenix,Skye,Cypher,Omen

3.なぜ攻め側が戦えているのか

①:守り側がAメインを維持できないことが多い

以前の記事ではAメインの攻防が最重要としており、守り側がワンウェイスモークを維持することができるため有利になるとしていた。その際重要なのが、ブリーチのフォールトラインである。

詳細:プロシーンのSunset攻略②-1:サンセットは開幕のAメイン争奪戦が最重要

Sentinelsの守り方:スタンは相手が来たら使う

SENのA3人体制を使えば、Aメインを1人で抑えて他の2人をmid・Bに回すことができる。この形を防ぐためには攻撃側がスキルを大量に使う必要があり、その点でも守り有利という結論だった。

しかし現実には、ブリーチのスタンが間に合わないケースが多い。レイズのブラストパック(Q)に他のスキルを組み合わせれば、前目守りの敵を倒すことができるのだ。PRXとFUTがいい例である。

PRXバージョン
FUTバージョン

こうしたラッシュの可能性を考えると、守り側はA前目に位置取ることが難しくなってしまう。もちろん攻め側のレイズの力量に依るので、サンセットはデュエリストへの負担が重いと思っている。

よって、ここ最近はブリーチ採用が減少傾向にある。KAY/Oやスカイ、ゲッコーのようなフラッシュが重宝されるとともに、A守りのためにヴァイパーを入れるケースが増えているのだ。

②防衛側がAを守る方法

では、防衛側はどのようにAを守れば良いのか。1コン構成ならば、開幕Aメインから音がした際即座にパラノイア(Q)を投げるRAのような守り方もある。

斜めから出すとエルボー進行対策になる

ただこれは少し勿体ない感もある。実際、この作戦では明らかにパラノイアを釣るようなフェイクが多くみられた。

そこで、ここ最近ではヴァイパーを採用するチームが多くなっている。

このカーテンであれば、A両方を固く守ることができる。開幕Aメインにスカイのガイディングライト(E)またはゲッコーのデイジー(E)を入れ、反応しなければワンウェイスモークを入れて前目守りを目指す。反応があったならば、カーテンを利用して時間を稼ぐ守り方に移行する。その際、以下のスモークを使えればより戦いやすい。少しずつ前線を下げていくのだ。

カーテンはこれくらいの角度がよさそう

③ヴァイパー構成でどう攻めるか

では逆にヴァイパー構成でどう攻めるのだろうか。ここでは、「相手にA1人体制を作らせない」ことがカギになる。

一つ目の対策は、VITが使用したヴァイパースモークだ。

防衛側の理想
手前のスモークがポイズンクラウドだったら?

2枚目手前のスモークをポイズンクラウド(Q)でいつでも使用できるようにすると、守り側視点でワンウェイの利点が無くなる。スモーク内に敵が複数人入り、突然フラッシュが出てきたケースを考えれば、A前守りは現実的ではなくなる。

そしてA前守りができなくなれば、防衛側はAに2人以上置く必要が生まれてしまう。これが大きな負担になってくるのだ。

もう一つは、トキシックスクリーン(E)を使った対策だ。以下の2パターンが考えられる。

①の場合少しリスクはあるが、エントリー後にも効果的なカーテンになる。②はもう少しスローテンポを想定しており、守り側からすればカーテンが上がるだけでエルボー・メインの両方を見なければならない。相手のスキルを躱すことも可能だ。メインの取り返しも容易になる。

こうしたスモークやカーテンによって、攻め側は相手の行動を制限し、Aメインを確保しやすくなる。つまり開幕エルボーを確保、1人ラーカーを残してmid展開という選択肢が生まれてくるのだ。攻め有利になるのは必然と言える。

こうした状況をふまえて、今後ヴァイパー構成が増えるのではないかと感じている。

②守り側はB守りも大変

守り側はBへの対応も忙しい。まずはサイファーのスパイカメラ(E)を壊さなければならない。カメラ一つでBメインを取られてしまうのは癪である。

以上の2パターンについて、どちらが来ても攻め側のカメラを壊せるようになる必要がある。ただ、開幕少し前に出なければいけないところを狙われるかもしれない。スロー進行にも注意が必要だ。

最悪のパターン

またB守りに関して言えば、シンプルに止めきれないことが多い。PRXはペイント弾でワイヤーを破壊し、シンプルに突破できていた。

ちょっと大げさな例だが、マーケットへのパラ+ブラパは有力な選択肢

守り側はサイト防衛が難しい。サイファースキルでサイト奥耐えを目指すか、マーケットを死守して早いリテイクにつなげるかという択になるだろう。前述したA3人守りだと本当に選択肢が少ない。

カウンターリコンをエントリーに合わせると強い

③midを利用した攻め方

以前の記事で、攻撃側がmidの主導権を握ることが多いと述べた。アセントと似たような発想で、メインからの攻撃が上手くいかない場合、midでワンアクションするのは有力な選択肢だ。

以下のようなワイヤー・カメラを破壊できれば、相手の行動をかなり制限できる。のちのレイトラークにつなげることも可能だ。特にマーケットのワイヤーはタイル側からの射撃で壊すことができるので、試してみて損はない。

midを取ってしまえば、相手はリスポーン地点を経由した遠回りのルートでローテートせざるを得ない。この点を以前は過小評価していた。ここまでA・Bでメインを確保する方法に触れてきたが、これによって相手が移動してくれるのであれば、人数が少なくなった方向を攻めればいい。この方針は、ヴァイパーのゆっくりした攻め方と相性が良いのだ。

補論:攻撃側はtopへのスモークを炊くべきか?

midを利用して攻めるとき、普通は中央topにスモークを炊く。

しかし相手からすれば、topスモークがある=相手がmidにいるということになるだろう。スモークを使わないでmid進行できれば、読みあい勝ちできるのではないか。(ちょっとリスクあるので理論とは言えない)一つ選択肢になるかもしれない。

4.イニシエーターのチョイス

ではこれまで述べてきた内容を踏まえ、どのような構成を組めばいいのだろうか。レイズ・サイファー・オーメンを必須として考えたい。

ソーヴァ:攻守ともにワイヤーを破壊できるのが強み。Bサイトのカウンターリコンも優秀。RAはtopにおいてドローンを使用するパターンが多くなっていた。やはりフラッシュは欲しいため、2イニシ構成に限定されそうなのが難点。

スカイ:2コン構成と言えばスカイ。ただ守りでAメインを取ろうとする際、ガイディングライトだけではやや圧が足りない。エリア取りには他のイニシエーターが向いており、このマップでは器用貧乏な印象を受ける。

ブリーチ:マーケットに圧をかけられるのは唯一無二の強み。攻めでもAメインへのスタンやアフターショックなど、使い勝手は良い。ただフラッシュの特性上1イニシは無理で、ヴァイパー構成と天秤になるのが難点。

フェイド:ワイヤー強化により、やや必要性が薄れている。プラウラーでゆっくり…というよりはフラッシュで一気に攻めたい状況が多い。midホウントの選択肢が多く守りでもある程度の役割はあるが…2イニシ構成と考えれば個人的にはソーヴァのほうが好み。

ゲッコー:スキルがどれもマップに合っており、ウルトを使用してのラッシュ・リテイクも魅力。防衛時にAメインへデイジーを投げ、安全に回収することもできる。地味にウイングマンを使用してのスパイク設置・解除も便利。ヴァイパー構成のイニシエーター有力候補。

KAY/O:定点はすさまじく多い。全部使えれば本当に強いと思う。今回クリップを作ったのはForsakeNとqRaxsのものが多く、彼らはシンプルに尊敬したい。Bラッシュでサイファー対策になるのも〇。2イニシでもヴァイパー構成でも使えるが、フラッシュが2つしかないのをどうするか。ゲッコーのほうが楽ではある。

5.おまけ

スモークを使い分けられると強い

以下のスモークについては理論的に使い分けの説明をできると思うが、どうにも難しい。下のほうが射線を組みやすくていいと思うのだが… 相手にフラッシュがあるかどうかによって答えが違うかもしれない。

だいぶ長くなってしまったが、これでサンセットに関する記事を終えたい。Tier1のリーグが始まって何か変化があれば追記する予定だ。次はバインドについて記事を書くつもりだ。1/25より前に1本目を投稿できればと思う。

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