映画感想ネタバレアリ。「カンフー・トラベラー南拳 北腿」 タイガー・チェンはちょっと河森監督とデジャヴで僕は大好き。

カンフー・トラベラー  南拳 北腿

タイガー・チェン主演映画。2017年に南拳、2018年に続編の北腿。と、あったらしいんですが…。タイガーチェンは結構好きなのに、今の今まで全くその存在を知らなかったこの2作品。

タイガーチェンと言えば、マトリックスやキル・ビル、チャーリーズ・エンジェルのアクション指導として有名で、本人も武術大会優勝の経験もある、目と眉毛がちょっと河森監督感あるイケメン。

控えめに言って南拳は最高。北腿は普通。
「この手の映画」を観るにあたって「設定が」「CGが」「間が」等は
無意味オブ無意味なので…あ、予算がとか、会社の都合とか、内部的事情も僕にとっては映画の評価に影響するものではない。

(もちろんそこを重要視する映画好きの方を否定するわけでは無く、僕は気にしないで観るのが好き、というだけです)

等と偉そうなことを言いましたが、やはりCGはショボい。設定も中々に粗が多く「言ってることとやってる事が違う!」等ありますが、あるんですが、そこも含めて楽しむのが良い映画。早く言えばBC級にあたるでしょうか?


以下ネタバレですがあらすじ。

未来、侵略型エイリアンに滅亡の危機に追い詰められた地球。
最初は戦えていた地球連合は、エイリアンの新兵器によって無力化され、
戦うすべを失い、今や防衛の中心は中国の特定地域のみに。
そこで一人の戦士が「カンフーでエイリアンを倒すことに成功」し、
カンフーをすべての兵士に伝授しようと画策するも、
「極めるには時間がかかりすぎて無理」となる。

そこで「タイムマシンを使用し、記憶型ロボットを過去に送り込み、
南拳を極めた達人に師事し、覚えさせてデータを現代に送信、
ロボットカンフー部隊を作りエイリアンを掃討する」
という
作戦を発案。

かくして、エイリアンを倒した達人そっくりの、
「ロボット三原則」を守る様に、感情も抑制された
「格闘向けと真逆思想のロボット」が、ヒロインと共に
2度と帰れない過去に旅立つ…。

ホラ!

超面白そうでしょ(汗)
カンフーに近代兵器を上回るポテンシャルがあるのもアレですし、
タイムマシンを有効活用出来ないのに持ってしまった人類最後の砦軍が
達人を過去に送り込む発想に至る所も最高。

まあ、ワンチャイシリーズなどでは
「達人なら100年かかる所5時間で覚える事が可能な究極拳法」
みたいな、中々な設定をぶっこんでくる映画もありますし、それなりの設定という事で。


さて、

「実は過去に送られるヒロインは、既婚者である上官でカンフーの達人に恋心を抱いており、その為、言い訳をあれこれ考えてロボットを上官そっくりにデザインさせた。片道切符なので好きな人にそっくりな人と過去に行きたい」

と言いう事を冗長でやや意味の分からない演出でたっぷりと理解させ、どこかで見たようなマシンでタイムトラベル。
200年近く前の戦争中の過去に、ターミネーターチングな演出で過去に出現。

二人は南拳の達人達に教えを請うために、
敵軍を何となく大量爆殺した事で信頼を得、無事達人に接近する事に。

そこに「過去に南拳を継ぐとまで言われ、志半ばにして戦争で死んでしまったと思われていた兄弟子」が突然現れ、同時に次々に教えを請う予定だった達人達が分かりやすく殺害されていく。

言ってしまえば、兄弟子はエイリアンがのっとったもので、タイガーロボットに技を習得させない様に次々と達人を殺害していたわけで。
エイリアンがどういういきさつで人間側の作戦を知り、エイリアンを送り込んだかとか、そういうのは良いとして、
僕はちょっと「のっとったのか、模して出てきたのか」よく観てなかったんですが、結果オチに繋がる事から「瀕死の所を助けられ、生存していた兄弟子を乗っ取った」ようです。

ほとんど書いてませんが、物語中、達人の娘シャオファ(イエ・ユンフェイ)が何か妙に愛くるしいとか色々、人間ドラマ的な物もあるのですが、内容的には割と普通で、テンプレな展開が続きます。

結局のところカンフーは「人間である事」を知らないと極められない、という事から究極奥義は使いこなせない事から、ロボットに感情を持たせることが必要になり、感情プログラムを起動させ、愛とか正義とか何かそういう事を覚え、次第に人間らしくなっていく。

そんな中兄弟子エイリアンと組んだ敵軍が攻めてくる。

次々と死んでいく仲間達。それによってとうとう命の大切さ的な事を
覚えた(もう最初の方から結構その辺も柔軟ですが)タイガーロボットは兄弟子の技すら吸収していき、とうとう境地に達する。
しかし、究極奥義を聞分けることはかなわず、
最終的に世のため人の為に、乗っ取られた兄弟子をエイリアンごと大砲で殺害し、三原則を破ったことでタイガーロボは自爆装置により盛大に爆発。

記録したデータは無事「万里の長城」のブロックの中に封印、
現代でそれを回収した中国舞台は、ロボット軍団にデータをセーブし
カンフーロボット軍はエイリアン掃討作戦を続行、究極奥義は後世のロボットから出現する事を願うのであった…。

帰れないままのヒロインは、その時代に残る事に。

ホラ!超面白いじゃないですか!
CGがILMで、設定をもう少し煮詰め、もう一人二人、そうですねぇ…
エクスペンダブルズのメンバーの一人でも出ていてくれていたら、
ドルフ・ラングレンとか。無理してシルヴェスター・スタローン。

もうトリプルA級の作品になれたのでは!?

今(2020・6・13日現在)アマプラで観放題なので、是非。
つまらなくても僕を責めないで下さい、ただの「見解の相違」という事で
オネガイシマス(笑)

さて。次は続編の北腿です。

こちらは…あらすじとしては

格闘マシーン軍団と化した地球軍に対抗すべく、新たなスキルを身に着けた
エイリアン軍は、素直に格闘技を強化させてきました。

なので、地球の砦中国のカンフー部隊は新たに「2号」を過去に送り込み
「北派の足技」を極めさせようと考えます。

エイリアンも地球軍も発想が明後日です。

送り込まれた2号は到着早々、なぜか自分を狙い撃ちする謎の落雷群によって感電、頭はチリチリになり、記憶まで失い、物事を2秒と覚えていられないポンコツロボットになってしまいます。

それを観ていた軍の司令官(今回の敵的な存在)によって助けられ、そのまま入隊。そこで格闘技を習っていきますが、全く覚えられない。


送り先には10年ほどそこで過ごしていた前作のヒロインと、新たに送られたのか、こちらの時代で懐柔したのかわかりませんが、一人、特別役割の微妙な女性が一人。

さて、この辺りで主人公が唐突に「銃弾をもはじき返す足技」を使う達人を探している、というニュアンスの「様々な足技を覚えてこい」と命令されているのに
いつのまにか「特定の達人が存在する」という情報が放り込まれます。

僕は(多分他の人も)ここの散らかり方と、今までの冗長な演出のせいで
あっさりとオチに気が付いてしまいました。

30分程真面目とコメディ―の入り混じった何となく平坦なストーリーが続き、何とか修理によって「記憶」は出来るように。
しかし、目指す「北派の達人」は全く見つかる肌感すらありません。
軍人(今回の敵的な存在)も、「あいつはスパイかもしれないから警戒」と言っておきつつ、利用しようとも考えており、様々な武術を学ばせていきます。


さて、
2号の記憶を取り戻さない事にはもう物語が進まないという、制作側の都合が発揮されたのか、ヒロインは新たなエイリアンに乗っ取られ、
武術家との対戦中の2号に「あいつを殺せ」と命令。
2号は武術家を殺害してしまいますが、

なぜか目を白黒させ気絶するのみで、パブロフシステムは発動せず、
爆発しません。

その説明はやや「運が良かった」的な謎発想で打ち消され、
さらには2号はこの気絶の影響で記憶を取り戻します。

楽しくなってきました。
最初のコメディー展開より、やはりこちらが王道ですね。


この辺りから軍の司令官(今回の敵的な存在)の性格が微妙になり始め
、そもそも権力をもっと手に入れたい、と考えており、2号を利用して力を誇示、朝廷の重臣を手を組むなど、力をつけていきます。彼は世界制覇と暗黒時代を望んでいます。
しかし、朝廷の重臣も実は「情報を得るために、あえて手を結んだ」等、
色々わかっていき、朝廷の重臣は2日後に司令官に殺害される、という事も過去の歴史を参考に判明します。

もう2号の格闘技を覚える云々はどこかに行ってしまい、
「歴史を変えられないが、司令官はひどいので殺すしかない」というような流れになっていきます。

打ち切りが決まったのでしょうか(汗)

司令官を説得に行く最後のミッションです。
2号は正体を明かし、司令官に思いとどまる様につたえ、司令官も
未来を知り、従います。

歴史を変える(朝廷の重臣を殺さない)と2号やヒロインは消滅(バック・トゥ・ザ・フューチャー理論)さらには未来が変わりどうなるかわからない。

しかし、当日二人は消滅しません。
朝廷の重臣は手引きによって助かる可能性があったらしいのですが、「自分が死ぬことで平和の大切さを伝えたい」という突然の独白により自ら死を選んでしまいます。ほぼ暗殺同然では、死んだことすらあまり
広まらないのでは。

さて、結局司令官(今回の敵的な存在)は朝廷の重臣を助けず、殺す道を選んだことは変わりません。世界制覇と混乱を目論んだ……。

違います。

彼はエイリアンに操られているのです。と、ヒロインがあっさり教えてくれます。
司令官はどうも結構良い人で、忠告を受け止め、改心していたッポイです。

この流れは
「2号達が影響を与えたと思われた事象は、すでに歴史に組み込まれており、エイリアンに司令官が乗っ取られたことで、暗黒時代が訪れた」
とも解釈できます。

結局歴史を変えることは出来ない、という帰結でしょうか。
そもそも2号が来る事が過去も未来もアカシックレコードに刻まれているという子音でしょうか?コレハコレデアリな展開です。

ともかく、司令官は最初から乗っ取られていたのかもしれませんね。
まあ、もうどうでもいいのですが(笑)

ラストシーンです。

2号は決着をつけに司令官と対峙します。
歴史を変えない為、自らのパワーを最大開放(?)し、司令官からエイリアンを引きはがし、エイリアンもろとも爆死します。

闘いの記録は前作同様チップに収められ、万里の長城に。
エイリアンもタイムトラベル出来る、また、2号をピンポイントで狙うという事は、人間側の歴史も知っているわけでしょうから「万里の長城にチップを隠す」という情報を探し出せなかったのが不憫ですね。

かくして、足技をアップグレードした未来のロボットカンフー軍団は
エイリアンと再び戦うのです。

司令官は「2号を伝記にして未来に残せ」と言います。

はい、途中で分かってしまったオチですね。
「北足の達人」とは2号の事です。

2号なら「鉄の足で銃弾を弾き飛ばす」事が出来そうですよね。

このオチが上手く隠せていたら、結構楽しかったのですが、
人間「いい設定を見つけた」と思ってしまうと、それに引きずられて設定をひた隠しにしすぎたり、見せ方を失敗してバレたりするので、難しいですね(汗)

続編の「北腿」は全体的に前作以上にストーリーが微妙で、最初のコメディーも特別必要が無く、後半の2号達の動機も破綻してしまい

「送り込んだロボットが実は、伝説に残された達人」という素晴らしい設定、
もしかしたら三浦建太郎先生の「王狼」でも使用された
ジンギス・カン源義経説のようなカッチョイイ終わりに出来たのに、
何とももったいない。


とはいえ南北共に、割と観て後悔のない、良い感じの映画でした。
そもそも、

「カンフーの達人に技を教えて貰う為にロボットを過去に送り込み、データを回収、記録した技を大量のロボット軍団に教え込み、地球を侵略しに来たエイリアンを倒す」映画があるんですが……。

と、誰かに教えてあげられるだけでも、幸せな出会いではないでしょうか(笑)


もし気に入って頂けましたらサポート頂けると大変嬉しいです(^^)業界が偏ってしまう内容が多いですが、色々参考になるような記事が書けるようにしていこうと思います。