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現役AV監督が考える AV業界人の名前について

 私は去年まで6年間ほど別の名前でAV監督業を続けてきましたが、最近転職(AVメーカーを退職してAVメーカーに入社)を機に改名しましてヴァーグマンという名前になりました。これは新しい会社の社長や上司が私の「『ヴ』から始まる名前をつけてください!」というわがままを聞いて考えてくれたもので、スマートかつヨーロピアンな響きがカッコよく正直かなり気に入っています。前の名前に愛着がなかったかというとそういうわけでもないのですが、初対面の人に監督名を聞かれたりしたときに正確に伝えるのがややこしい名前で非常に面倒だったので、気分転換も兼ねて改名するに至りました(今の名前も「バ」なのか「ヴァ」なのかという点で伝達に難ありなのですがそこが一番カッコいいところなので良しとします)。

 私は絶対に本名を隠したいというわけでもないのですが、AV監督は偽名を名乗るのが通例となっている中であえて本名というのは逆に「トガっている」とみなされかねずそれはちょっと恥ずかしいので監督名を使っています。
 また作品の実用面を考えた時に、制作者の顔や人格のイメージが浮かんでしまうとユーザーさんにとって使いづらいものになる可能性があるので、なるべく怪しい雰囲気というかミステリアスな感じにしておくのが適当であると思われるからという理由もあります。想像してみてほしいのですが、例えばあなたの友人が「渾身の官能小説が書けたから読んでみてくれ!」と原稿用紙の束を渡してきたとして、それをオカズとして使うことができるでしょうか?その内容がいかにあなたの性癖に突き刺さるものだったとしても、どうしてもその友人の顔や思い出が浮かび手が止まってしまうのではないでしょうか。「知り合いの作ったエロいもの」にはそういった作用があり、それを抑制するためには、AV監督はできるだけ「謎の人物X」でいた方がいいのです。

 私だけでなくAV業界では芸名を名乗っている方が多いです。女優さんや男優さんはもちろん、演者だけでなく各メーカー社員や技術スタッフの方で偽名を使っている人も中にはいます(ですから何年も一緒に仕事をしてきた方の名前が実は「業界ネーム」だったと後になって知ることも珍しくありません)。それはエロに関わる仕事をするうえで例えばお子さんに知られないためとかいった理由からで、そのような配慮をするのは当然ですからお互い特に詮索することはありませんし「本名を名乗らなくても仕事ができる」といった自由さ・気楽さがAV業界の良さでもあると思います。

 私自身まだ新しい監督名に慣れておらずたまに言い間違えたりするのですが、これが良い名前となるかどうかも自分次第です。これからも誠心誠意制作に邁進していく所存ですのでみなさまどうぞよろしくお願い致します。

文=ヴァーグマン

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