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ラッキーデザイナー誕生秘話

わたしはデザイナーかもしれない。
色の付いた大きなサングラスをかけ、奇抜な衣装に身を包み、ピッチリ揃ったおかっぱヘアーにしないといけない日もそう遠くはない。


服を作る人と出会った。確か去年。どうやって知り合ったか本当に覚えがなく、彗星の如くわたしの目の前に現れた彼女の名は“フジサキくん“。
地元はこっちだとはいえ、華の都大東京でバリバリやってた服職人が何故か、ほんとに何故かわたしの店の一角で店を始めることとなる。
大きなミシンがドカドカドカと店に運び込まれ、おーこれがプロ仕様かというアイロン台の装備に、初めてテレビを見た日本人のように心躍り歓声を上げた。
お店では主にお直し専門。いろんな人が大切な服やラグを持ってやってくる。新しい服をすぐに買っちゃうわたしには新鮮な文化だ。だから正直そこまで需要があるか最初疑問だった。がなんのこっちゃ。
有名なブランドや誰もが知るコレクションのショーの裏で経験を積んだフジサキくんは、流行と共にただただ量産され、時代とともに忘れ去られていくものに疑問を持ち、“やりたいことはこれじゃないんじゃないか“と思った、らしい。必要とされる技術を持ちながら自分を貫く男気のある彼女を出迎えた、そうわたしはラッキー人間なのだ。
幼い頃から服を作るデザイナーに憧れ、鉛筆でシャッシャッシャっとデッサンまがいなことを永遠にやっていた小学生のわたしに伝えたい。いつか出会うよーって。裁縫も興味ないしできないし、絵も上手じゃないし勉強もしてない。でも大丈夫。思ってること形にしてくれる人とお店するよーって。

待ちに待った今日、こんなの作りたいって思ってたトートバックの試作品ができた。まだ糸切ってないからギターの弦切らないタイプの人みたいになってるけど、これはいずれ収まると想像して、めっちゃかわいい。もうこれが世間的にウケるとかほんとほっといて、憂。
お直しだけじゃなく刺繍も得意なフジサキくん。わたしの下絵通りにタタタタタタタタ。これはまだまともで、あと何個か作るバックたちはもうわたしのエゴ。エゴバックだ。
「この刺繍の入れ方だと結構お金かかるよー。」って教えてもらって「そっかそっかー。」って言って、じゃこうするかー、お金かかってもいい部分はこれでいくかー、もっとこんなんにしちゃうかーとか。ハラワタ熱くなるくらいワクワクした。
VACANTのみんなとお仕事一緒にするようになってお客さんの思いをモノとかカタチにしててめちゃくちゃいいなと思っていた。出来上がってくことに関われてワクワク止まんないじゃん。羨ましいないいないいなーって。だからわたしもやることにした!
バックはフジサキくんの刺繍の技術を活かしてわたしがやりたかったことだけど、2人でこれからやってくブランドは(もうブランドと言わせていただこうか)、古着をリメイクしたり今あるものを活かして作っていこう。2人のやりたいことがバーンと出会ってジミジミ作ってパーンと売ってみよう。そんでいっぱいできたらファッションショーするぞ。ショーの最後はフジサキくんと並んでランウェイ、スポットばーん!花束どーん!関係者に投げキッスだ。なんもできないのに自分に服なんて、なんてなんて思わない。これから勉強して努力する。冷静になったら負けだ。わたしはラッキーなのだ。

まずは色眼鏡を買いに行こう。


りえ

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