見出し画像

財務チームが語る、スタートアップのバックオフィス業務改善の歴史

バックオフィス業務を効率化することは、スタートアップにとって欠かせない課題です。その中でも、会社のお金を扱う財務・経理の領域は、素早くかつ正確に業務を進められる体制が整っているかが、企業成長や安定を見据えた際に非常に重要な要素になってきます。

財経のプロがいない時代から、継続的に月次決算の締め作業を改善してきたバカンの財務チーム。今回は、そんな財務チームが、社員数10人の時代から、現在の社員数70人の時代まで、どのようにして改善を続けてきたか、その道のりを振り返ります。

今回登場するメンバー

今回は初期からいらっしゃる2人のメンバーにインタビューしました。

社員数:10人時代:何事も兼務!(締めるまでの日数:未知数)

社員数をベースにバカンの財経チームの活動を振り返っていく今回の企画ですが、まず1つ目のステージはズバリ「バックオフィスメンバーいない」時代!ここから、始めようと思います。

社員数がまだ10人程度だったこの当時は、そもそもメンバー同士の役割分担も明確に決まっていない部分も多く、営業を中心に担当してメンバーが経理などを兼務する形でスタート。

プロダクトの立ち上げ期ということもあり、売り上げが立つタイミングや支払うタイミングなども安定しておらず、ケースバイケースで関係者がこなしていくことがほとんどだったとか。この当時はまだ、今回インタビューした財経メンバーもいなかったので、細かい状態は割愛します。笑
ということで、次のステージに移ります。

社員数25人時代:バックオフィス専任メンバー誕生。(締めるまでの日数:20日)

次の大きな節目は、社員数が大体25名くらいの時とのことでした。この時、正式にバックオフィス業務を行うメンバーを雇うことが決定し、3名のメンバーで業務を回し始めた時期です。今回話を伺った、高橋さんと田中さんも、この時期にジョインされました。

ここからは、インタビュー形式で当時の状況をお二人に聞いていきます。
Q、入社した直後はどのような状態だったのでしょうか?
(髙橋さん)

「私が入社した当時は、まだ営業メンバーがバックオフィス業務をやっていました。ただ受注などが増えてきたこともあり、営業なのにバックオフィス業務が忙しく、営業に行けないという感じになってしまっていて。さすがにこれはまずいということで、正式にバックオフィスの採用が決まり、その1号社員として入社しました。」

「入社した初日は、請求書や経費精算用のレシートが無秩序にクリアファイルの中に大量に入っていて、まずはその整理から始めました。笑」

「最初は経理業務というよりは、バックオフィス系の業務がとにかく大量に依頼されるので、請求書や会計登録などをこなすだけで精一杯でした。それから、新たに2名のメンバーが加わり、3名体制に。人数が増えたタイミングで、業務の効率化を図るためにバックオフィス業務にも担当制が導入されました。」

「担当制となり、私と智子さんで財務経理関連のタスクを担当することになったのですが、私は未経験だったのと、智子さんも財務経理経験が豊富というわけではなかったので、何から手をつけていいかわからずに最初は大変でした。」

(田中さん)
「入社の時は、財経を担当すると思ってなかったのですが、簿記を持っていたため経理を担当することになりました。笑それこそ、書店で売られている、財経の初心者向けの本を読んで勉強しながら、1つ1つなんとかやっていく感じでした。」

「しかし独学だけでは、タスクの処理が間に合わなくなりパンクするリスクを感じました。できるようになるスピードと、入ってくるタスクの量が全然釣り合わないんですよね。笑

「そこで大事故が起きる前に、3ヶ月だけ会計士の方に入ってもらい、スケジュール設定や基本的な業務のマニュアル化など、基盤部分を整えてもらいました。そこでやっと、一般的な財経の仕事ができるようになった感じです。この時の合言葉は”期日までになんとかする”。自転車操業の部分が多く、締める日数の短縮を考える余裕はまだありませんでした。」

社員数50人時代:追われる経理から追う経理へ(締めるまでの日数:10日)

(田中さん)
「そんな追われる毎日に終止符が打たれたのが、社員数が急増し始めたタイミングでした。社員数が少ない時は、給与やクレジットカード、支払いの振り込みなども手作業で1件1件おこなっていました。ただ社員数が急激に増え始めたタイミングから、手作業が限界を迎えはじめ、期限に間に合わなかったり、作業漏れのリスクが急激に高まりました。実際にヒヤリハットも起きはじめてしまって。」

(髙橋さん)
た「社員数が40名が見えてきたタイミングで、会計システムの導入を決めました。一気に全てを導入するのではなく、スピードを優先して、まずは会計の部分だけを入れて、そこから段階的に経費申請などにも入れていきました。」

このシステムの導入によって、ついに締日短縮の動きが始まったとか。

(髙橋さん)
「それまでは、取締役会に合わせて月の中旬ごろに締めることが多かったのですが、取締役会の日程が早まることになって。とても今までのやり方では間に合わず、締日を起点にしてすべての業務を棚卸しし、WBSに落として進めるようになりました。」

(田中さん)
「最初はまず締めるまでの日数を半分にしようということで、10日を目標にしました。日数が決まってからは、ひたすらチーム内で早くするための工夫や、優先順位の確認・修正を毎回繰り返してました。」

「進め方で大きく変わったところは、これまで締めの業務と並行して行っていた業務をすべてなくし、締めるまでの日数はそれだけしかやらないことに決めた点です。1つのことだけにチームとして集中し、その他のタスクは締め期間以外におこなうことを徹底しました。」

(髙橋さん)
「最終的に、目標だった10営業日よりもさらに短い、7営業日まで縮めることができました。」

社員数70人時代:大企業と遜色ないレベルへ(締めるまでの日数:5日)

当初目指していた”締め日数10営業日”を達成した後、次に目指したのがさらにその半分の5営業日。

Q 、目標としていた締日10日を実現した後、次は何をしたのですか?

(髙橋さん)
「目標設定のタイミングで、ストレッチな目標を立ててみることになり、それなら半分にしてみようということで5営業日を目標に決めました。」
と「早いタイミングで締めれるようになれば、上場を見据えた時に安定感が増しますし、事業戦略を検討しやすくなり企業としてメリットは大きいです。」

(田中さん)
「とはいえ、すでに10営業日にするときにスケジュールをしっかり組んでいたので、前回と同じように集中すれば達成できるわけでもなかったので、別のアプローチが必要なことがわかりました。」

Q、では、どのようにして半分にしたのですか?
(髙橋さん)

「基本的なアプローチは2つです。1つ目は、1つ1つの業務の質を高めていくこと。毎回振り返りMTGを行い、改善点を出し続け1つ1つ改善し続けました。これは今でも続けています。」

「2つ目は、システムの導入と最適化です。最近は、各種会計システムもかなり進化しているので、ほとんどどのサービスでも一通りのことができます。しかし、数年前の時点ではできない場所もあり、業務によって別々のサービスを使っている部分があったり、改めて業務の進め方をベースに、自社に最も合っているサービスに変えました。」

(田中さん)
「1つ1つの短縮時間で見るとそこまで大きくはないですが、積み重ねによって少しづつ締め日数を短くしていきました。最終的には取り組みを始めて、3ヶ月ほどで無事に5営業日にまで縮められています。」

「企業の成長に合わせて、業務の絶対量が増えていますが、今でも小さな改善を続けることで5営業日を守れています。」

これまでを振り返って、伝えたいこと

Q、これまでを振り返って、あの時こうしておけばよかったと思うことはありますか?
(髙橋さん)

「いま振り返って事前にやっておけばよかった事は、WEB請求書の早期導入です。システム導入前は、PDFで請求書を送っていたのですが、その結果WEB請求書に切り替えるタイミングで、お客様への説明コスト結構かかってしまいました。WEB請求書に切り替えにくいケースがあったりすると、せっかくシステムを入れて効率化しようとしても、その効果が半減してしまいかねません。」

「最初からWEB請求書を使って、この企業はその形しかできないという形にしてしまえると、事業が成長してからもやりやすいのではないかと思います。戻れるなら、最初からWEB請求書を絶対に使います。笑」

(田中さん)
「私が挙げるとしたら、業務マニュアルの整理です。人数が少ないスタートアップのバックオフィスは、業務の専属化による業務の効率化を図る場合も少なくないと思います。ただここでマニュアルを整備せず、属人化させてしまうといざ組織が大きくなってきたタイミングで、業務の切り出しがしにくかったり、移譲しにくくなるといった課題が起こりやすくなります。」

「自分の業務をマニュアル化することで、自分では気付けない改善点や、より良いツールの使い方などを、他のメンバーに教えてもらえやすくもなります。作業が増え、手順が複雑になればなるほど、アウトプットのハードルが上がってしまうので、こまめにアウトプットしていくのがおすすめです。」

(髙橋さん)
「もし未経験や経験が浅いメンバーで担当する場合は、専門の人に基礎の部分を整えてもらうことも、長い目で見ると重要だと思います。」

おわりに

今回のインタビューでは、バカンの財務チームがどのようにして組織が拡大していく中で、業務を改善してきたのか、その歴史を話してもらいました。少しでも、みなさんにとって学びになる部分があれば嬉しいです。

現在バカンでは、新メンバーの磯さん(画像の手前側)も財経チームに加わり、中長期的な企業の成長を見据えて分業制からローテーション制への移行や、入力の自動化といった取り組みにも着手し始めているとか。今後も、財経チームが、どのように改善を続けていくのか楽しみです。

バカンについて少しでも興味が出た方はこちら⏬

\ 絶賛採用中です!⏬ /


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?