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#93 カイロ帰還!悪どい土産物店とバトル勃発!🇪🇬

8/7 カイロ散歩🚶

エジプトも残すところあと3日になった。昨日アレクサンドリアからカイロに戻ってきたが、特にやることもないのでホステル近くを散歩しようと思った。
南方面に歩き出し、生活している人々を観察する。ローカルな市場を見るのが好きである。地元の野菜や果物、時には生肉といった露天商が立ち並ぶ光景は日本の都市でお目にかかることはまず出来ないから新鮮に映るのだ。エジプトはおそらく食品衛生や管理が日本ほど厳格ではなく、資格を取らずに誰でも食品を売ることができるのだろう。生活全般の規則が緩い気がする。

市場を見るのが好き
昼間から雑談

方向を西に変え、ナイル川にぶつかる。川沿いは涼しい風が吹いて良い気分転換になる。ただでさえ気温が暑いのだからこれは助かる。そこから川の流れと同じ方向に進むと、大使館ゾーンが現れた。カナダ国旗、EUの旗が掲げられている。後で調べてみると、日本国大使館は上流の方にあるらしい。

ナイル川

地下鉄のサダト駅に近づいている時だった。土産物店を通り過ぎようとした時、エジプト女性の方が
「こんにちは。観光ですか」という。
「はい、そうです。もうエジプトに3週間以上います」と返答すると、
「そうですか。カイロで何か困った時はここに連絡してください。」
と言って名刺を渡してきた。急な展開に少しばかり疑問を抱きながらも、彼女の親切に「ありがとう」と伝えた。
するとすかさず彼女は、
「この店、私の家族が経営しています。ぜひお茶を飲んでいってください。無料ですから。」
と言う。少し悩んだが、誘いを無碍に断るのも失礼かと思い入ってみた。

皆さんご承知の通り、『タダほど怖いものはない』というブラフなのだが、この時は彼女の親切そうな笑顔に安心していたのだった。

パピルスに描かれた絵やマグネットが飾られている。拝見していると熱いお茶を出してくれた。
そして、名前を聞かれる。「タケです」と言ったが、発音が難しいらしく、差し出された用紙に「TAKE」と書いて渡した。すると彼女は鷲の絵が描かれた小さなパピルスの右端に、古代エジプトの文字で名前を入れ始めた。自分は慌てて、
「え!?僕買えないですよ?!」というと、「これはプレゼントですよ、無料であげます」という。自分は恐縮しながらも、どこか不安になった。
お茶を頂いている間にいくつか質問してみた。
「古代エジプト文字はエジプト人はみんな理解できるんですか?」「いえ、全員ではありません。私は学校で学んだので書けます」
そりゃそうか。
そしてパピルスの作り方を説明したパンフレットも見せてくれた。

しばらくすると、今度は彼女のお兄さんがやってきた。彼と話していると、彼女が後ろでパピルスを何枚も広げ出した。
「これらが僕の作品だよ。一番気に入ったのはどれだい?解説してあげる」
自分は嫌な予感がした。選んだら後に引き返せないような嫌な予感が。最初は聞こえなかったフリをして選ばなかった。しかしまた聞いてきたので、
「全部いいですね。」
と選ばずに言う。すると彼が再度、
「どれが一番君の目に留まる?」としつこく訊かれる。自分は
「どれも素晴らしいから選べないよ」とお世辞で濁す。すると彼は同じ質問を三度繰り返してきた。しょうがないからエジプトの地図に名所が載ったパピルスを指差した。
彼は机にそれを持ってきて、「解説してあげる」という。自分はアスワン、ルクソール、ダハブ、アレクサンドリアに行ったことを、彼の解説の中で挟んだ。

そして会話が途切れた瞬間、彼は突然ペンを取り、何かを書き出した。いやな予感は的中する。彼は書き終えて言った。
「君の名前を書いといたよ」「??」
自分は驚いて、「いやいやいや、俺買えないよ?いまお金持ってないし」と言った。

すると、「値段は君が決めていいよ」という。
「いや、お金持ってないんだって。明日出国するんだから」
そういって証拠に財布の中身を見せる。150ポンド(約700円)しか入ってない。それを見ると彼は
「それなら電子決済でもいい」と、言ってきた。
「いや、買わないよ?買わないし、インターネットに接続できないからスマホ使えないし」

そもそも買うなんて一言も言ってない。彼は立て続けに決済手段を求めてきた。
「ドルとかユーロ持ってるでしょ。50ドルだ。」
「持ってないよ。そもそも買うなんて言ってないのに何で俺の名前書いたのよ?」
「これが目に留まったって言っただろ」
「解説するからって選んだだけでしょ!最初から買うなんて言ってないよ!」
ヒートアップしてきた。勝手に名前を書いて買わせる。これが彼らの手口だ。おそらく、これまでもこうやって悪どい商売をしてきたのだろう。

(本当は腹巻きにお金は持っていたが)自分がお金を持ってないことが判ると、
「じゃあ(最初にプレゼントと言われた)小さいパピルスの方だけ持っていけ」
といって、勝手に財布の中の100ポンドを抜いた。これまた完全にぼったくりだった。
「いや、これ一枚で100ポンドもしないよね。ギザのピラミッドだったら五枚は買えるもん」
そう言うと彼は
「うちはハンドメイドだから」と言い訳する。
「そんなの俺には知ったことじゃないよ。100ポンド返して」
彼は返してくれない。自分は追撃に出る。
「悪いビジネスだよ。客が「買う」って言ってないのに勝手に名前書いて無理矢理買わせるのは。こんなビジネスをするならGoogleのレビューに相応の評価を書かなきゃならなくなるけど?」

粘って粘って返してもらった。エジプトで「タダ」という言葉は嘘である。最初優しかった女性が店を出る時、嫌な目つきに変わっていた。

問題の店

何も搾り取られることなくぼったくり店を後にすることができた。空を見たときは清々しい気持ちになった。エジプトに三週間もいるので最近刺激が無くなっていたのだが、エジプト人と久しぶりに喧嘩できて良い思い出になった。

やはりエジプトは最高に面白い。

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