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#46 「雲だと思ったら山でした」神々の座に胸が震えた🇳🇵 &将来の仕事どうしよう

4/15〜16 サランゴッドの丘からアンナプルナ連峰🏔️(ポカラ🇳🇵【後編】)

ポカラに滞在して二日目、レイクサイドを歩いていると、日本人の青年と鉢合わせして、湖のほとりで話すことになった。彼はビール瓶を片手に、自分はスプライトボトルを持ちながら。彼は23歳で、大学を卒業して内定も貰っていたが、思うところがあって辞退し、心機一転旅に出た。タイ、ベトナム、カンボジア、インドを回って、ネパールへと辿り着いたのだという。この後トルコへ行く予定だったらしいが、このフェワ湖の向こうに沈む夕陽の美しさに見惚れて、「ここが最後でいいな。」と思えたのだという。旅用語で「沈没」というやつだろう。今ならはっきり言えるが、自分の心を信じて旅に出た彼は、この先振り返った時、この決断をしたことを誇りに思うはずだ。三か月の旅を通じて、今後自分がやりたいことが見えてきたらしい。30歳で移住して宿の経営をやりたいのだそうだ。そして彼は貧困をテーマにして日本人と現地人との架け橋になりたいのだという。そのためにこの七年間をどうするか、彼は戦略を練っている。旅に出て、やりたいことを既に見つけられた彼が率直に言って羨ましい。

片や、27歳。今後やりたい仕事も全く見えていない男がいる。「20代のうちに世界一周をする」と決めて実行に移したまでは良いものの、今後の展望なんて何も考えられていない奴だ。この旅を通じて人格が変わるとか、マインドが大きく変わることなどないけれど、視野を拡げて、後に生きてくるピースくらいは拾えないかと踠いている無様な男がそこにいる。自分はどんな仕事をして、生きていきたいのだろう。

洗濯している。

仕事については、何か良い手がかりを求めて旅中に出会ったたくさんの人に聞いている。ポカラで二番目の宿で出会ったケーララから来たインド人はメディテーター(瞑想者)で、インドでの価値観のレールを敷かれた“通常列車”に疑問をもち、独身で旅をしているらしい。「彼女は?」に始まり、「結婚はいつ?」結婚したら、「子どもはいつ?」子どもを産めば、「二人目は?」聞いて来て、インドは日本以上にプレッシャーがあるのだなと思った。親が息子の嫁を探すアプリまであるらしい。「これは本当に自分で決めた人生だろうか」と、疑問を持つのも無理はない。旅中にお金を稼ぐ方法や無料で宿に泊まる方法も教えてくれたりした。彼とはカトマンズでも偶然再会したので、固い握手を交わした🤝

インドのケーララから。宗教とは何か、人生とは何か。深い考えを教えてもらった。

ポカラではもう一人、個人でヒマラヤガイドをしているという52歳の男性に、自身の仕事について聞いてみた。彼は季節に応じて仕事を変えるそうだ。4月から10月はガイドの仕事で儲け、あと半分は地元の農村に帰って稲を育てるらしい。この考えは結構気に入った。まず、三十年近く続けているガイドの仕事で、一年の初めを楽しく稼ぐ。年の後半にもし貯蓄が少なくなったとしても、彼は農業をやっているから、作物を売ることもできるし、少なくとも食うことには困らない。自分も日本に帰ったら、農業には少しかじりたいと思った。FIREを達成した三菱サラリーマンこと、穂高唯希さんが、最近「#シンFIRE論」で一年間農業を経験したという下りがあるが、これも同じ考えだ。

将来の仕事はまだ見えないけど、この世界一周の旅で、「後に生きるピース」は拾い続けていきたいぜ。

ピースオブパゴダ

翌日の午前三時、オートバイで30分のサランゴッドの丘へ、アンナプルナ連峰を眺めに行こうとしている。気温が低く、ウルトラライトダウンとゴム手袋を重宝する。丘の頂点にあるヒンドゥー寺院をくぐり、展望台で日の出を待つ。見上げれば星空がまだそこにある。東の方向を確認すると、暗くて認識しづらいが、黒い影が現れている。
「雲があるなー、日の出は大丈夫かな。」
しかし不思議なことに、しばらく経ってもその雲は動かなかった。航海薄明、東の空が白み始める前、それは雲ではないことを悟った。山だった。認識した途端、その峰々の圧倒的な存在は、自分の全身を内側から震え上がらせた。山に恐怖する者の感情をここにきて初めて理解することになった。まだ街が寝静まりかえっている暗闇の中、6〜8000m級の連峰の前に自分一人だけが立っていた。

日の出が近づくにつれて、他の観光客も集まり始めた。アンナプルナ連峰を左手に観ながら、日の出を待つ。太陽が我々に顔を見せる前、存在感のある連峰の一角、マチャプチャレ山と南アンナプルナ山の頂に陽が当たる。この美しいシーンは生涯忘れることはないだろう。本当に神々が住んでいると思えた。

神様、この景色をありがとう。そしてこれからも続く旅の無事を記念して、サランゴッドを後にした。

航海薄明
市民薄明
頂に陽が当たる前
アンナプルナ連峰
日の出
展望台
フェワ湖

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