見出し画像

【222日目】家庭の幸福は諸悪の根源

ご隠居からのメール:【家庭の幸福は諸悪の根源】

昔、終戦直後に無頼派と称される一群の作家がもてはやされていた。太宰治、織田作之助、坂口安吾、壇一雄らで、田村泰次郎、青山二郎、洲之内徹などもその同類だ。才能のある作家は無茶苦茶な生活を送っても、すぐれた作品さえ残せば、無頼の行動にはしっても許されることになっていたが、そんな無頼派作家の家族にしてみれば、たまったものではない。

家庭の幸福は諸悪の根源、と太宰治は言った。

逆説だが、一面の真理はある。家庭の幸福は必然的に格差を生むからだ。格差が諸悪の根源であることはいうまでもない。格差なしの平等な社会をめざした共産主義社会ソ連(ロシア)も、中国も今や格差の拡大に苦しみ、格差を是正しようとして苦労している。

だからといって、太宰治のように家庭を無茶苦茶にすることは凡人にはできない。オレなんか無頼派でつっぱしる勇気もなく、聖人君子と自称するわけにもいかず、けっきょく虻蜂とらずで終わってしまった。中途半端では誰からも評価されないし、誰からも感謝もされない。それでもなんとか長生きだけはできたから、まあ蚊もなし、鱶もなしと思うことにしている。


返信:【Re_家庭の幸福は諸悪の根源】

「家庭の幸福は諸悪の根源」か。すごいコピーだね。しかし、自分は格差が諸悪の根源ということ自体、気がつかなかった。ある一定の生活をしているからなのだろうか。それとも、現代社会のあたり前に疑問すら生まれなかった。そうか、格差があることで争いが起きるのか。

これは「家」を基礎として発展してきた封建的な日本社会を批判しているということかな。どこかの「家」が幸福になれば、どこかの「家」が苦労する。結局、お金の話のような気もするな。


「無頼派」、面白そうだね。昔の文学者や物書きは一つの流行というか、生き方を、ペン一本で表現してきたんだな。現代は、ゲームやPC、TVや映画、youtubeなどがあるので、誰かの創造した世界で生きることはたやすいけど、あの時代の人たちは、表現の自由を勝ち取って、アウトローな生き方を文章で表現し、評価を得てきたのだね。自分の性分も本当は、アウトロー。共感するよ。

現代の世界では、資本主義や自由主義が定着しているので、不都合なことは見えにくくなっている。そんなことを、書いていけば、一部の人に共感を得てもらえる何かがあるかもしれない。でも、これだけ、情報過多の時代。人の目にとまるだけでも、難しいし、ありがたいことだね。本心をさらけだす文章が、人の批判と共感を得るのだろうなとは、ちょっと、思っている。


<<<次回の話【より道‐74】戦乱の世に至るまでの日本史_「足利一門」の整理

前回のメール【221日目】棗の木の下>>>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?