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【104日目】五族協和のワンダーランド

ご隠居からのメール:【五族協和のワンダーランド】

日本人を頂点において、満州人、中国人、朝鮮人、蒙古人を下位におく協和が他の四族に納得してもらえる王道楽土のワンダーランドをほんとうに信じていたのだろうか。パワハラ(力による支配)では協和は得られないという意見を自由に発表できる現代日本のほうが王道楽土だよ。

『坂の上の雲』は上り坂の日本の明るさが描かれているが、『戦争と人間』は暗いね。その後は、吉田茂、岸信介、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄、大平正芳、安倍晋三らが権力をふるう時代が続いた。

大平正芳も国務院実業部で働いている。阿片で儲ける計画を推進していたようだ。もちろん岸信介とつながっていたし、もしかすると長谷部與一ともつながっていたかもしれない。「おまえは戦争を知らん」と言われたことを覚えている。戦争体験のないヤツが口先だけで何を言うか、という気分だったのだろう。戦争体験などせず、きれいごとだけですむ人生を送ることができてよかったと思う。

国務院実業部から蒙古聯合自治政府もうこれんごうじちせいふに出向したのは抜擢人事か降格人事かーー有能な農業技師で熱血漢だったから、たぶん抜擢人事だったと思う。

それにしてもオレは方向オンチで、哈爾浜、大同、張家口の地理的な位置関係がよくわからない。いずれも南満州とモンゴルの国境あたりの町だと思うが、哈爾浜が大都会であるのに対し、大同と張家口は辺境の町だ。記憶はほとんどない。簡単な地図をつくって、相互の距離を示してくれ。哈爾浜は黒竜江省、大同は山西省、張家口は河北省?


返信:【Re_五族協和のワンダーランド】

王道楽土という理念があるとは知らなかった。そうなると、理念が共感、浸透しなかったか、もしくは、理念よりも関東軍の都合が優先されたのか、、、アジア的理想国家(楽土)という意味が曖昧だ。「日本人にとって理想の国」と捉える人が多く差別につながっていってしまったのかね。徳(王道)の話しも日本人以外の民族に浸透させるには無理がある。武士の歴史がなければ理解されないように思える。

「坂の上の雲」という言葉には、上り坂の先にある日本の明るさそんな意味が込められていたのか。司馬遼太郎のネーミングセンスは抜群だね。龍馬伝では武市半平太たけちはんぺいたが腹を切った。山内容堂やまうちようどうの役に立ち、土佐を攘夷の旗頭にするという志を叶えるため、吉田東洋よしだとうようを殺害したのにもかかわらず、最後は容堂に切腹を命じられた。

切腹という風習が、日本人、武士独特の文化で現代人でもついていけない価値観だ。日本は、こんな野蛮なことをする民族だと、残虐性を宣伝されたのが戦後の日本だね。

武士の価値観は1000年以上、培われてきた日本特有の文化だ。精神的修行である「徳」を説いても理解するのが難しい。日本でこれほど長い期間、戦争がないのは江戸時代と現代しかない。江戸260年の後期には、「戦争も知らないくせに」と言われた武士たちも多くいただろう。それでも格差が生まれると革命が起きた。

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