見出し画像

【75日目】妄想ドラマ

ご隠居からのメール:【妄想ドラマ】

「山椒魚の故郷」五冊、月曜日に郵便局のレターパックで発送する。

「内田百閒文学賞30周年」記念展の開催は、新型コロナ緊急事態宣言の影響でとりやめになるかもしれない。感染状況は千葉県より岡山県のほうが深刻だからーーと、これはネガチブな展望。一方、ポジティブな展望は『方谷塾入門』を小冊子のかたちで印刷製本するという案も出てきた。一冊508円程度のオンデマンド本で作る業者に100冊程度依頼すれば5万円で本ができるとという計算だ。

「ふゆ物語」の妄想はあり得る。治恵さんによれば、善右ヱ門さんは美作の新庄村からやってきた人だそうだ。「山椒魚の故郷」の主人公廣岡麻実さんの住む美甘村の隣が新庄村で、伯耆に流された長谷部信連ゆかりの跡地からもそれほど遠くない。

それにしても信谷氏の戸籍は文字がかすれていて読みにくい。随筆に同封するからなんとか解読してくれ。

注目したのは二代目安次郎さんの生年が元治元年三月八日、友次郎さんの生年が元治元年八月二日ときわめて近いことだ。二人はふゆさんが生んだ双子もしくは年子だったかもしれないと妄想した。そうすると、なかさんの立ち位置は? 友次郎さんの育ての親ということになる。そんな血の通わない男よりも実家の血をひく喜代太郎に相続させようと佐とさんが画策したとすると、これもすごい妄想ファミリーストーリーだなあ。

酒飲みにばあさんが長谷部の家系図を売っぱらったという言い伝えがあった。そのばあさんとは、なかさんか、伊曽さんか、それとも佐とさんか。家系図に価値があると信じられていた時代の話だがね。

貴美子さんの書簡も解読不能の文字がいくつかあった。「でせう」のような歴史的仮名遣いや/\のような繰り返し文字も多用されている。なるべく原文に近いかたちに修正するつもりだが、最終的には原文と照らし合わせて校正してくれ。旧姓信谷治恵さんからの手紙の内容は別紙の通り。今ごろになって苔むす石の墓が気になったというのは、御先祖のDNAが呼びかけがあったのかもしれない。


返信:【妄想ドラマ】

 亀三おじさんは、なにがあったか、知ってるのだろうね。

 ・喜代三郎100年祭
 ・福田氏の弔問
 ・治恵さんへの話し

友次郎さんも、安次郎さんも「次郎」と名がついているのに長男。なかさんと、ふゆさんが、あわせて似たような名前をつけたのもな。何かありそうだね。一連の騒動は、與左衛門さんが、ご存命の頃の話だろうな。この辺りも関係してくるよね。

とにかく、坂本龍馬や新撰組、渋沢栄一、山田方谷、太田辰五郎、山室軍平、井上馨と同じ時代を生きた弥左衛門さん、ふゆさん、喜代太郎さん。 「ふゆ物語」の妄想ドラマは、弥左衛門さんを中心にいくらでも膨らませることが、できる。

渋沢栄一のように、百姓ながら、攘夷に志を持ったり、方谷とのつながりがあって、松山潘の財政立てなおしに一肌ぬいだり。辰五郎の知り合いで江戸にご用聞きに行ったりと、、、幼少の頃から、仲が良かった、左トさんと結婚したかったが、長谷部一族は、尼子か信連の血を引く者の婚姻しか認めておらず、なかさんとの縁談が進められたなど、、、

どんな、ドラマがあったのか、気になるねー。ゆみ子さんが、何か知ってるんじゃないの?しかし、信谷家も先祖がどうだったか伝えられていないんだな。まぁ、どの家も普通そうだよね。。やはり、戦争で歴史の語り部や書物、物品などが途絶えてしまったのが原因かもな。


<<<次回の話【より道‐25】ノモンハン戦争に至るまで④

前回のメール【74日目】雑件いろいろ>>>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?