「ロールプレイ」とはそもそもなんなのか
◆ご挨拶◆
バーチャルアナログゲームバー「EPOIRE」
ようこそおいでくださいました。
当店の店長で副職バーテンダーの巧兄です。
今回はロールプレイということについて書いていきます。
◆ロールプレイを論理的に説明できるか◆
ご存知の通りTRPGとは
「テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲーム」
それぞれの頭文字をとってTRPGとなっているわけですね。
では皆さんはTRPGの中にある
RP、即ちロールプレイングをどのように説明しているでしょうか。
「キャラになりきる」「キャラの演技をする」「役割を演じる」
おそらくこれになってくるのではないかなと予想します。
上記の三つが間違っている、というわけではありません。
ただ一つ言えることは「演じる」=「演技」ではないということです。
ちなみにわたくし、一応Vtuberで自分のYoutubeチャンネルで活動をしているわけなんですけど。
TRPGってコラボ配信ツールとしての素養はかなり高いんですね。
その上で、ですよ。
最近自分の周りでもね、VtuberのTRPGを見て。
「ロールプレイすげぇなぁ」と言っているのを聞きました。
いや、まあ。確かにすごいですよ。
役者ばりの名演技を場面を用意したんでそれっぽくやってください、
というアドリブの状態で素晴らしい場面を演出してくれているんです。
これをさらっと「TRPG未経験です」というような方がやるんですから。
でもね。そこでわたくしは一つ疑問に思ったわけですよ。
「ロールプレイがすごいってなんなんだよ」と。
◆ロールプレイ ≠ 演技である◆
皆さん、ロールプレイのことを演技と思っていませんか?
ロールプレイで演技をするのは先程も申し上げたように、
あくまでも演出です
演技とは演じる技術、略して演技です。
つまりは演技はスキルなんですよ。
ただただ休日に集まってゲームしようぜ!
という友達と楽しい時間を過ごすのに目覚ましいほどの技術が必要かと言われれば要らないと断言します。
仮に某大乱闘ゲームだったとしても、
技術があってボコボコにやられても楽しければそれでいいわけですよね。
負けて悔しいなら練習すればいい。上手くなってやればいい。
ロールプレイの一環の演技なわけです。
あんなふうにキャラに入り込んで演じてみたい!
と思うならどうすればそれができるか考えて試行錯誤して研鑽すればいい。
ただそれだけのことなんです。
と、ちょっと話の本題から逸れましたが、
わたくしのリアルアバターの周りでは、
それに輪をかけてこんな人がいるわけです。
「あんなすごいのわたしには無理」
いやいや、誰も彼もが最初からあんな化け物揃いだったら困るわ(笑)
わたしなんて最初はもっと訳のわからんことほざいて周りに迷惑かけてやってましたから。見る人が見ればとんでもない地雷プレイヤーであった自覚はありますとも。
やっていることがごっこ遊びみたいなもんだからチープに映るかもしれないが……かんたんに例を挙げさせていただきます。
プロ野球選手がいるじゃないですか。
それと野球のルールしりませんレベルでなんなら今日はじめてバット触りました! というレベルの素人がプロ野球選手と同じようなプレーができる訳ないだろって話です。
◆上を見て「できない」というのは勿体ない◆
で、今回の本題は。動画、生配信それぞれ何でもいいです。
それを見て興味があるけど「あんなのは自分にはできないからやらない」と考えているこの記事を読んでいる諸君。
もしそんなチンケな理由でやることを尻込みしているなら勿体なさすぎる。
こんなにも楽しいゲームをプロ野球選手と同じプレーができないから野球やりません。みたいな理由でTRPGをやらないなんてもったいない。
だってね、考えてみてくださいよ。
すごいプレーが出来なかったら親でも殺されるの?
あなたの命が取られるの? 生活破綻する?
しないよね?
プロ野球選手はいいプレイをしないと
生活できないから頑張ってる訳ですよ。
でもあなたは普通の人でしょ?
TRPGで飯食ってる人なんてそうそういないんだから、
それの邪魔する心配もないからあなたを阻む障害なんて存在しない。
ただ理由をつけてあなたがやろうとしないだけ。
真のやらない理由はそこではないと考えます。
どうやっていいかわからない、一緒にやれるような間柄の友人がいない、
何から始めたらいいかわからない。そこの部分を隠すのが
すごいプレイを見てあんなのは自分にはできないと理由を作っているのならば、それは単なる理由付けです。本当の理由はそこにはありません。
ということで今回はそういったリアルアバターでの経緯もあり、
わたくし、巧兄が「ロールプレイ=演技」という概念を破壊して
あなたたちがTRPGに興味があるけどやらない理由というのを取り除きます。
◆ロールプレイの本来の意味◆
ではまずはロールプレイというのがどういうものか解説していきます。
ロールプレイというのは「ロール(role)」と「プレイ(play)」この二つの言葉が合体した言葉です。
role=役割 play=遊ぶ
それぞれがこんな意味合いです。
roleに関しては役割という意味合い以外でつかわれることはほとんどありませんが、playはかなり多岐にわたって意味があります。
演奏するもplay、演じるもplay
英語も大概意味が多いやん! と思うかもしれませんが、
まあplayだけでこれだけの意味を持つわけではありません。
要は使い方です。
楽器を演奏する
play on an instrument
上記のようにplayが入るとそれに追従して遊ぶだったり演奏するだったり、演じるなどに意味が変わるわけですね。
さてここまでいえば、
playが日本でどう言う言葉で使われているのかわかる人もいるはず。
結論を言うと
playは日本語で「〜する」の意味合いで使われることが多いと言うことですね。ちなみにわたくし巧兄は高校の英語の単位を落とすぐらいには英語ができません。鵜呑みにはしないように。
さて、ロールプレイとはどんな説明をしている?
というところで私はこんな例をあげました。
「役割を演じる」
はい、これは完全な正解です。
様々なルールブックでも使われているロールプレイとは何か。
という部分の回答です。
ロールプレイとは役割を演じることを言います。
しかしですね「演じる」という言葉に引っ張られて、
「演技をする」ということに引っ張られているのではないかと思っております。
「じゃあ役割を演じるってなによ?」
と言われて皆さんはどうやって答えますか、
という冒頭のところに繋がってくるわけですね。
知人にきいてみましたが答えられない人もいれば、
キャラを演じるってことだよ、と返した方もいました。
じゃあキャラを演じるってどういうことなのか、
ということになってくるわけなんですが。
例えば今年の大河は明智光秀ですが、
明智光秀を演じるというのを英語にすると
Play role of MITSUHIDE となるわけです。
Role play ではなく Play roleです。
では英語で「play role」とはどういう意味で使われているのか。
直訳すると「役割を果たす」ということになります。
「道化を演じる」=「道化の役割を果たす」
というふうに置き換えることができますよね。
そう「ロールプレイ」は「役割を果たす」という意味であり。
演技をしましょうなんてことはどこにも意味はないのです。
あなたたちのロールプレイ=演技というのは幻想です。
今すぐ脳内のデスクトップにおいているであろうごみ箱に入れてゴミ箱を空にするか、アンインストールしてください。
◆役割を演じる ≠ なりきりである◆
これだけで話を終えるのも別にありなんですが、
蛇足としてロールプレイとはなんぞや。
ということをもう少し触れていきます。
ロールプレイという言葉はゲーム以外にも使われています。
それは社会人の営業マンなどがその商材を売り込む時の予行演習的なやつで使われているんですね。
わたしもリアルアバターの昼の仕事は営業マンですのでやったことがあります。
この研修で行われるロールプレイというのは
お客さんはこんな状況です、ここまでは話が進んでいます。
では最後の一押となる部分を
トークで商材の契約締結まで話をもっていってください。
こんな感じなんですよ。
お客さん役はその設定に沿って役割をこなすわけです。
そして営業マンはここまでの研修などで得た知識をフル活用してお客さん役を口説き落とす必要があります。
これを何度も反復することが営業マンなどがやる
ロールプレイという学習法なわけです。
ただロールプレイが学習法として成り立ったのはかなり最近であり、
もともとロールプレイというのは心理療法に用いられるものでした。
ただし、この辺の話は長くなるので割愛します。
その上でここでもう一つ言いたいのが、
ロールプレイは自分の作ったキャラに
「なりきる」ということではないということだ。
もっとはっきり言おう。
「ロールプレイ=なりきり」と思っている方は一定数いるはずだ。
別に非難するつもりはない。
そういう遊び方だって、その時に遊んでいる全員の中で合意が取れている状態であるのであれば容認されるのがTRPGの自由度の高さであるから。
だが研修でやっているロールプレイは果たしてなりきりだろうか?
設定を与えられてそれをそれぞれ割り振られた役を演じろと言われて、
ロールプレイはやるものだが、はたしてこれは「なりきり」だろうか。
答えは断じて否。
ロールプレイの本質は
「与えられた状況でどう動くか選択する」ことにある。
どうしてキャラクターに設定をつけるのか。
設定がなければ行動方針を決めることができないから、設定を作るわけだ。
キャラクターの設定はプレイヤーを縛るためにあるのではない。
プレイヤーの行動の方向性を決めるためにある。
わたしも昔はそうだったが、たまにこういうことを見かける。
GM「こういう状況になりました。では行動を宣言して」
PL「わたしのキャラは 〜 中略 〜 という設定だからやらない」
おう、行動しろって言ってんだよ(怒)
GMが行動を求めるということは
動かないと状況は変わりませんという示唆なわけですね。
考えてみてほしい。これが仮に先程の営業マンの話に置き換えると、だ。
上司が営業マンに「この商材を売って」と言っているにも関わらず、
当の本人の営業マンは「わたしはこの商材が好きじゃないので売れません」
って言ってるのと同じですよ。
それが通用するような状況じゃないでしょうよと。
これがTRPGのキャラクターにおける設定に縛られる典型と言っていいでしょう。
だがまあ、三歩ぐらい譲って仮に行動しないならしないでもいい。
行動の有無はプレイヤーが決めることだからだ。そこで詰むような設計をしていて救済措置がないのならそれはゲームマスター側の落ち度も存在するからだ。
だが今回の場合、状況を理解した上でのその発言で行動しない自由を行使して行動しないというのであれば。せめてそこにこの言葉を付け加えることをおすすめしたい。
「だから誰かが代わりにやってくれない?」
これを付け加えるとガラッと印象変わりますね。
これは設定に基づいて行動したことになるので設定を作った意味があるということになります。
設定的にこれはできないから代わりに誰かやって欲しい
→これは設定に基づいて行動を選択したことになる
設定的にこれはできない
→これは設定に縛られて考えを放棄したということになる
◆まとめ◆
というわけでここでなぜ、今回筆を取ったことを話そう。
ロールプレイを役割を演じると説明してその結果、
演技をするということに結びつけて、キャラになりきるという図式。
「ロールプレイ=役割を演じる=演技する=キャラになりきる」
つまりは「ロールプレイ=なりきり」の図式になっている人が一定数いるのではないかと。
冒頭で知人の言っていた「ロールプレイすげぇなぁ」は
「キャラのなりきりすげえ」に置き換えることができるのではないかと。
ロールプレイは「状況下での行動の選択」を意味するのであって
なりきりということは一切含んでいないのだ。
ということを書きたくて今回は筆を取ったのである。
そして最後に釈明しておきたい。
別にわたしは「なりきりプレイ」が嫌いなわけではない。
「演技のようなロールプレイ」が嫌いなわけではない。
むしろわたしだってなりきりプレイはやったこともあるし、
今でも必要なら演技だってやるとも。
だがね、それを「ロールプレイ」と一括りにするのは間違っていると。
ロールプレイは誰にでもできる。
「僕はこういった行動を取ります」
これでもロールプレイとしては成立するんです。
だからこそ。
「ロールプレイができない」といって
やらない理由を作るのはもったいないと。
だからこの記事をみているまだTRPGやったことがなくて、
ロールプレイができないとかほざいているこの記事を読んでいる方々。
怖がることはないぞ。
君たちの前にはもう何十何百とTRPGを遊んできた先達がたくさんいるんだ。
彼らの胸を借りていけばいい。
もしも周りに先達がいないなら、仲間を集めてみんなであーでもないこーでもないって言いながら模索して遊んでいけばいい。
肩並べて慣れていけばいい。それは実はものすごい贅沢なことなんだ。
TRPGの生配信が定着してきて興味を持っている人が多いこの状況下。
これは全員がスタートラインに立っている状態で、ここからみんなでどんちゃん騒ぎしながら一歩ずつ理解を深めていける。
いわゆる「卓仲間」をこれから増やしていける絶好の機会が訪れているんだから。
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