TRPGのシナリオの作り方__真相からつくる_編

TRPGのシナリオの作り方「真相からつくる」編

皆様、いらっしゃいませ。
バーチャルアナログゲームバー「E・POIRE」へようこそ。
当店でマスターを勤めている巧兄です。

さて今回はTRPGにおけるシナリオの作り方についてのコラムとなります。

TRPGのGM(ゲームマスター)をやりたいし、
せっかくだからオリジナルのシナリオも作りたい!
でも作り方がわからない……どうすればいいんだ? という方に向けたものです。

今回の作り方は「真相からつくる」手法です。

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・シナリオ構成のお話

まずシナリオを含めた物語を構成要素でよく聞くのが、

「起承転結」

という言葉です。

「真相からつくる」手法はこの起承転結の結の部分から作る
ということに近いです。

わたしなりに、TRPGのシナリオに関していえば起承転結を表すと、

起: プレイヤーキャラクターたちがシナリオに関わるきっかけが起こる
承: 彼らの行動によって、シナリオが展開して行く過程
転: シナリオの山場に赴く為の状況の転化
結: 承で紡がれた内容と転によって起こった変化によって成り立つ結果

こんな感じです。

ま、難しくとらえることはなく。単純にいうと……

起:こんなことが起こっている
承:○○をしたことで、○○なことが分かった
転:こんなことの現況がここまでのことでわかった
結:解 決 !

こういうことです。
じゃあ結に当たる部分はTRPGではどんなことが当てはまるか。
ざっくり言ってしまえば問題を解決するということが結に当たります。

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ではここからは問題形式でやっていきましょう。

TRPGの結に当たる部分には、ほぼほぼ「敵役」が存在します。
その敵役には何かを目的として、それを達成するための手段を用いた。

その結果としてプレイヤーキャラクターたち、
あるいはそれに近しい人、モノがはなにか不利益を被った。

プレイヤーキャラクターたちはその原因を探るために調査し、
敵役を暴き出し倒してシナリオは終わる。

では上の範囲中で、
物語の『真相』と呼ばれる部分はいったいどこにあるのでしょうか。

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TRPGの結に当たる部分には、ほぼほぼ「敵役」が存在します。
その敵役には何かを目的として、それを達成するための手段を用いた。

その結果としてプレイヤーキャラクターたち、
あるいはそれに近しい人、モノがはなにか不利益を被った。

プレイヤーキャラクターたちはその原因を探るために調査し、
敵役を暴き出し倒してシナリオは終わる。

太字が物語の『真相』に当たる部分です。
つまり『真相』とは

「何を目的にして、こういう手段をとった」

ということになります。

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では簡単に日本では最もポピュラーなTRPGシステムの一つ、
クトゥルフ神話TRPG的に一例を連ねていくと、

ある男は一人の娘と暮らしていた。
妻を病気で亡くし、たった一人の娘を溺愛していた。

しかし不幸にも男は娘を交通事故で失い、失意の底にあった。
男は生きがいを失い、自ら命を絶とうと考えていた。

自殺を決行しようと必要なものを買いに出た時、老婆から声をかけられた。
「あなたの娘さんともう一度会いたくはないか」……と。

男はその老婆に縋り付きある書物のことを教えてもらった。
書物を探し、探し当てた男はその書物を読み込んだ。

男はその書物にあった黄泉がえりの術を実行移すことにした。

その方法は
「黄泉がえりさせたい人がわかるもの、それに近い肉体の新鮮な人の死体」
であった。

既に人の道理などを忘れ狂気へと落ちた男は、
夜な夜な塾帰りの10代前半の小柄な女児を誘拐し殺害し、
黄泉がえりを行なおうとしていた。

ここでの目的は
娘を蘇らせること

その手段は
娘に似た女の子を殺害して贄とすることですね。

上の内容も起承転結の作りになっていて

起:男は娘と二人で暮らしていた
承:ある時、娘が亡くなり男は自殺を図った
転:自殺を図った男に老婆が「娘を蘇らせる方法」を教えた
結:男は娘を蘇らせるために、同じぐらいの体格の女児を誘拐し贄とした

簡単にまとめるとこんな感じです。
結の部分から作る、ということに近いといった理由です。

敵役には手段に出るまでの過程があり、
その結末は新しい物語の起を作るということです。

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・「結」について

ではこれを敵役に据えた時のシナリオの結の部分はどうなるか。

答えは一択、

プレイヤーたちが協力してこの事件の発生を止める

です。

起:
承:
転:
結:プレイヤーキャラクターたちが協力してこの事件の発生を止める

こうなります。
事件の発生を止めるのであれば方法としては

・「男に目的を完遂させる」
→目的の完遂によって事件そのものの発生は止まるため

・「男を殺害する」
→諸悪の根源を根本から絶つ

・「男を逮捕する」
→自分たちで対処できないことなので対処できる組織に任せる

・「男を改心させる」
→男の間違った考えをPLの独創的な発想力で覆す

などが上げられますね。

このタイミングで絶対にできないことがあれば決めておきましょう。
この後に決める「承」の部分で与える情報が変わってきます。

例えば「男を改心させる」といった部分。
少なくともこれがクトゥルフ神話TRPGであるという前提で話をすすめるのであればゲームデータ的にこの男のSANが0で設定しておけば「永久的狂気」に陥っているため説得は絶望的であることを設定付けることが可能ですね。

こういった風にできること、できないこと。できるけどリスクがある。
などはこの段階である程度想像しておくと良いでしょう。

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・「転」について

では次は「転」です。転とは物語が転じる場面。
このシナリオで言うのであれば、

「敵役の正体、目的をプレイヤーキャラクターたちが理解する」

ということです。

敵役は不幸なことに数多くに苛まれ、たった一人の娘ともう一度会うために狂気に堕ちて凶行を繰り返す男……ということになります。

「敵役が誰なのか」「目的がなになのか」これがわかることで、
プレイヤーキャラクターたちは物語の結末へと意識を向けることができる。
そういった意味合いでの「転」の場面です。

ほとんど決めることは無く「承」のゴールとして設定されるものだと考えてください。

起:
承:
転:敵役の正体、目的をプレイヤーキャラクターたちが理解する
結:プレイヤーキャラクターたちが協力してこの事件の発生を止める

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・「承」について

次は「承」です。
承とはプレイヤーキャラクターたちの物語の過程の部分。

このシナリオで言うのであれば

「敵役の手段を探る」

ということです。

敵役が執った手段を手がかりにその目的を探るのが承にあたります。

「子供がさらわれている」
ここから始まり、中継ぎの情報を手に入れて

「男に関する情報」「男が手に入れた書物の内容」
この2つの情報をプレイヤーキャラクターが手に入れれば、
転に到達してゴールです。

で、この中継ぎでどんな情報を得るかということで幅をもたせておいた、
結の部分をいろいろと調整することができます。

事件の発生を止めるのであれば方法としては

・「男に目的を完遂させる」
・「男を殺害する」
・「男を逮捕する」
・「男を改心させる」

などが上げられますね。

と結の部分で挙げ、
更に絶対にできないことを決めておくとよいと述べました。

例えば「男に目的を完遂させる」ということが絶対にできない。
という風にしたい場合は、中継ぎで「書物に書いてある儀式の内容はデタラメ」などの情報をプレイヤーキャラクターが手に入れることでその部分は排他できますね。

次に「男を殺害する」と言った部分。
これは遂行できてOKな部類ですが、死体が残ってしまった場合の処理などを間違えれば事件の発生は止めることはできてももれなく逮捕されてしまうことは想像に難くないでしょう。

こういった風に中継ぎの部分で結でプレイヤーキャラクターにとってほしい動きのための方針などになる情報は落としておくと良いでしょう。

起:
承:敵役の手段を探る
転:敵役の正体、目的をプレイヤーキャラクターたちが理解する
結:プレイヤーキャラクターたちが協力してこの事件の発生を止める

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・「起」について

では最後に「起」です。
起とは「プレイヤーキャラクターたちの物語に関わるきっかけ」です。

言い方を変えれば「導入」です。

導入はどうすればいいか?
これは「承」の始まり部分である「子供がさらわれている」をプレイヤーキャラクターが理解し、この一件に関わることができるようになればいいです。

プレイヤーキャラクターの職業によって導入は異なります。
探偵なら「子供を探してほしいという依頼を受ける」
刑事なら「連続児童誘拐事件を捜査している」
その他の民間人なら他のプレイヤーキャラクターに探偵がいるならそこにくっついていくなどでもいいでしょう。もちろん理由は必要ですが。

こんなふうにして導入部を考えてプレイヤーキャラクターたちがシナリオに関わるきっかけを作ります。

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起:プレイヤーキャラクターたちの物語に関わるきっかけ
承:敵役の手段を探る
転:敵役の正体、目的をプレイヤーキャラクターたちが理解する
結:プレイヤーキャラクターたちが協力してこの事件の発生を止める

こんな感じになりましたね。これで大体の大筋は完成しました。
さて、最後に考えなくては行けないのがバッドエンドです。

・バッドエンドを考える

これは簡単な話、

「結」を終えることができなかった場合どうなるか?

というだけです。

これに関してはいろいろな考え方があるので一概に言えないのですが、
明確に言えることは一つあります。

シナリオはプレイヤーキャラクターが関わらないと状況は好転しないです。

ここは意識してください。
プレイヤーキャラクターが関わらなければむしろ悪化するでしょう。
そうなった場合どうなるか?

これを考えるとバッドエンドがつくれます。

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▼まとめ

前提:TRPGには敵役がいる
・『真相』とは敵役が「何を目的にして、こういう手段をとった」である
・『真相』から「結→転→承→起」の順番で作っていく
・「結」を終えることができなかったときがバッドエンド

TRPGのシナリオの作り方「真相からつくる」編
いかがでしたでしょうか?

皆様のシナリオ作成の一助となれれば幸いでございます。

以上バーチャルマスター巧兄でした。

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