RPGコンピ『ADVENTUNE』
時は四月二日、19時。
10組のバーチャルに生きる音楽家たちが動き出した。
彼らは一斉に楽曲を電子の海に解き放ち、その名を告げた。
『ADVENTUNE』
というわけで、今回は音楽系Vtuber達による
「RPG」をテーマにしたコンセプトコンピレーションアルバムをご紹介。
こちら、アルバムとしての告知は一切せず
ただそれぞれが「19時に曲を上げます」とだけ発表。
上がった瞬間にすべてが一作のアルバムとして収束することが公表される…
という劇的な封切りを行ったことをまずは評価したいですね。
あれはTwitterでタイムラインを眺めていてとてもワクワクしました。
素晴らしい発表方法だったと思います。GREAT
内容としては、それぞれがRPGに登場するロールをモチーフに楽曲を作成。
持ち寄って一つのアルバムとする…といった作品になっています。
ではトラックの方に順次触れていきましょう。
1. Close to my heart / ミディ
一曲目は「女神」
日頃クラブミュージックと言えば暗黒みたいなダークなのばっかり聞いているので
この手のfuture bassは実は門外漢だったりするのですが
複雑でありながらも軽快に鳴るビートは心地良いですね。
こういうのも良いものだ…
2. heterodoxy - memex
続くは「魔女」
最近ホントめっちゃハマってるmemexさん
ただこれまでの曲は生音でテクいロックをやってた印象だったのですが
この楽曲はバチバチのエレクトロチューン。
とはいえ、バシッと初撃を食らわせてくる実力派ボーカルと
噛めば噛むほどに味が出る変拍子、転調を駆使したテクニカルな楽曲の味はそのまま。
heterodoxyというタイトルの意味を知ると、歌詞の味わいも増すことでしょう…
いや、memexはいいぞ。
この一言に尽きます。
3. VILLAGER - キツネDJ
「村人」
モチーフチョイスからもうやられた感ありますね。
状況が変えられないNPCからの視点で語られる歌詞は発想の勝利。
楽曲としては本格的なEDM
DUBSTEPやTRAP辺りのDJにも使っていけそうな良いグルーヴ。
4. Level UP - 八月二雪
「剣士」
変化球も多い今作において直球ストレートなポップロック。
ギターソロが熱いのは良い曲だ！！！（HR/HM脳
Level UPという概念に切り込む歌詞はその剣の如く鋭い。
5. Lunatic Mountains - あくまのゴート
「遊び人」
これ、今作１、２を争う怪作だと思います。
表現力豊かでダーティな雰囲気をプンプン醸し出すボーカルと
シャッフルビートを基調としつつ
歪んだギター、暴れるピアノ、裏メロを奏でるブラス…
これらがカオスを演出する。
歌詞といい曲といい
表層にあるだらしないキャラクターの裏から漏れ出る狂気に魅了されますね…
6. こだまのうた - 羽子田チカ
「踊り子」
小気味よくビートを刻むパーカッション
空間に舞うアコーディオン
熱情を示すギター
艶やかなボーカル
パーフェクトエキゾチック…！
これぞ踊り子のパッション！！！
7. Don't Care - YACA IN DA HOUSE
「神官」
「いのり」のくだりでFF6のバナンを
王女に振り回されてるくだりでクリフトの事を思い出したおっさんです。
いや、いのりで超展開はマザー２か…？
なーんて、そんなメタいネタの入ったリリックが楽しいですね。
ライムも巧みで引き込まれます。
8. Bardo - エルセとさめのぽき
「吟遊詩人」
※これは動画無いので是非買ってきいてくれよな！
アダルトな空気の漂うRhythm and blues
また変な聞き方してアレなんですが、ベースとドラムだけでも無限に聞ける心地よさがある…
9. オメガフォース - ミソシタ
「黒魔導士」
来ましたよ、アイツが。
ミソシタが。
これが地下二階の黒魔導士。
闇の中でも光を探す、導きの士。
10. 勇者のくせに - ぼっちぼろまる
「勇者」
トリを飾るのは、勇者も大変なんだよ！コンチクショウ！な一曲。
でも、これ、「勇者」の部分をつい自分に置き換えちゃいたくなるような
普遍的なものを感じますね…
アルバムとして俯瞰してみると
ストーリーコンセプトはしっかり収束していながらも
ジャンルは見事に散っており
普段触れないようなジャンルにも触れる機会となるコンピレーションアルバムとしての機能も生きているのが非常に面白いところですね。
僕個人としても、まだ見ぬ作家との出会いの入口にもなりましたし
とても良き冒険させて頂きました。
ご購入は各種音楽サービスにて配信でどうぞ
また四月中はジャケットやモチーフを使用したグッズも販売中とのこと
是非チェック頂いて、お読み頂いた貴方も素晴らしき冒険を体験されますよう…