東京に上京したところで


あなたが死んだところで地球は相変わらず回っているし
あなたが死んだところであなたをいじめてきたやつは普通に生活を続ける
あなたが死んだところでかつての恋人にはまた恋人ができるだろうし
あなたが死んだところで漫画の新刊は発売され、音楽の新譜も発売される。
つまりいっとき親やあなたの周囲の人は哀しみ、泣いたりもするかもしれないがそれをずっと引きずり生きていくことなんてほぼ無いに等しい。
生きてる人間はお腹も減るから食べていかなければならないしそのためには仕事だってするだろう。

東京に上京すればキラキラした世界が待っていると18歳や19歳の当時の私は思っていたし
素敵な出会いがあって運命の人に出会うんじゃないか、なんて事を思い描きながら
上京していつの間にか2年が経過してた。

田舎と違うところは、ダサいスウェットでコンビニに行くことに羞恥心を覚えたことと、お盆の過ごし方が違う風習だということ、新宿は夜も人が沢山いるということだった。


キラキラしたくてホットヨガを始めてみたものの、コントレックスは美味しくないことと、ヨガが思ったより続いたこと。
その流れでダイエットにハマってエステで借金を100万以上20歳なのにしてしまったということ。

それ以外は田舎にいても東京にいても私の人生はそんなに変わらないんじゃないかとさえ思う。


映画に関わる仕事をしはじめて
その傍らでエキストラのアルバイトもやった。
エキストラのアルバイトの子達は夢を持っていた。

映画に携わる仕事の人たちもみんな夢を持っていた。
お笑い芸人、漫画家、夢を叶えた人たちもいる。

「なんでしのちゃん(私)は上京してきたの?(特別な夢もないくせにという皮肉)」
と聞かれると私はへらへらと笑ってなんでだろうね〜と愛想良くする処世術が身についた。

北海道から夢もなく上京するのはそんなにいけないことなのか?


大学の卒業の時期に差し掛かり、みんな就職が決まったりしていく中
私はまだのらりくらりと暮らしていた。
お金にはそれほど困らず食べるものにも困らず困ったら日払いのパチンコ屋の仕事を追加して、六本木のクラブでも働いた。

多いときで5つ掛け持ちしながら日常は回っていた。


ある日映画関係の職場でとんでもないイケメンをみつけた。
超タイプだった。
イケメンの名札をチェックしてそこから仲良くなるためにどうするか考えた。
相手も私のことをちょっと小さくて可愛いやつ(ちいかわ的な)と思ったのだろうからすぐに飲み会が開かれ、仲良くなるきっかけが出来た。


恋をした。

彼は宮野くんと言って櫻井翔に似ているけれどイケメンだということを自覚してるのかしてないのか天然ボケなところがある。
そこもまたいいところではある。


ある日なんでかわからないけれど
確かに両思いになりかけて宮野くんの家に泊まることになった。
中目黒の宮野くんの家に行ってこういう本が好きだと建築の本や画集をみた。

泊まった夜はドキドキするねーと言って眠れなくて2人で朝まで話した。


そのままなにもせず解散して
数日たった頃宮野くんから
「しのちゃんのことは好きだけどもっとずっと前から憧れの人がいるから付き合えない」
と連絡が来た


私はひとしきり泣いたような気もするし、泣かなかったようもする。
職場の同僚に宮野くんにふられたことを話して少し励ましてもらったが
実はその同僚が宮野くんに私の悪口を吹き込んでいたことがのちに判明した。

その同僚にも腹は立ったがそれを鵜呑みにする宮野くんも宮野くんで私の外見だけしか興味がなかったんだなと思った。
私の恋はすぐに終わった。

東京にいた頃は、親戚の家が豪邸紹介のテレビにでるようなお金持ちという上流社会の中で、お下がりのCHANELのbagを持ち、良い服を着て(借金はあるが)、大して興味のないBVLGARIなんかの展示会にも行って宝石を買ってもらったりしていた。
親戚も私にブラックカードを渡してくれた。
ブラックカードの意味なんてわかってやいないのに。

お金持ちがいいか悪いかで言うと善し悪しがあって
おじいちゃまが亡くなった時は壮絶な土地争いが起こった。
車のボンネットは割られるし、常に誰かに尾行されているのでタクシーにすぐにのるのうに、1人では出歩かないようにした。
あのだれかにつけられてる感じは後にも先にもそう経験することでは無いので怖かった。
お金目当ての人もよくよってきた。

何が言いたいかと言うと何事もほとほどがいいということ。
それから、北海道の田舎に帰ってきたら誰も彼もが優しくみえたということ。

上流階級の暮らしよりもささやかな幸せの方が私には合っているということ。

私の周りにいる誰かが健康であり
優しくもあり
子供が元気に健やかに。
私の今の願いはそんなところだ。


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