クランクアップのその日まで
憑依型俳優として人生を終えるほど作り上げたジョーカーを演じた、ヒース・レジャーについて、読み漁り、映画を観たりしている休日です。
いろんな監督によってバッドマンシリーズは描かれていますが、そのなかでもジョーカーというのは作品にとって重要な役柄。
そのプレッシャーは想像し難いもの。
さて、わたしの無駄に長い風俗嬢人生、そして、いまのキャラクター設定も始めから作られたものではありません。
まとまったお金が必要になった為、昼職が不規則でも働ける場所を探していました。
たまたま今のお店に出会って、とりあえず稼げるだろうと安易な気持ちで始め、「ゆい」は業界未経験でスタートしました。
名前の由来は、友達のゆいちゃんから。
その子は小悪魔のように可愛く、人懐っこく、天真爛漫でした。
当時1番可愛いと思っていた女の子だったので、
そうなれたらという気持ちから名前を借りました。
役作り、というと何だか嘘くさいかもしれませんが、
「ゆい」としてお店で目立っていくには、どうしても何かパワーが必要でした。
SMバーや、実際に遊びにきてくれた多種多様なマゾから、色んな性癖を学び、吸収する日々。
痛みや苦しみに快感を覚えさせるようなプレイから「どS」っぽい魂を得たわたしは、なんとなくそれらしくなっていきました。
お客様のなかでは、作られたサディストは求めていないかもしれません。
自分から言うのもなんですが、わたしは根っからの思いやりの塊。
福祉系のお仕事を生業としていたので、当然のことです。
いま、「ゆい」として過ごしている時間は、出勤時間+SNSの更新等で、ほぼ24時間は「ゆい」なのです。
そうでなければいけない理由は特にないのですが、
「ゆい」であることで認められている現状があるがゆえに、そうであらねばと無意識に思っているような気がします。
ときどき全てに疲れ果て、十数時間眠り続けて、何も食べず、何もせず、頭の中だけは何かうるさく騒がしいというようなときがあります。
オンとオフの使い分けが本当に下手なのです。
「ゆい」でいることは本当に疲れます。
わたしであって、わたしではない。
それでも「ゆい」でいることはすごく好きです。
評価され、ナンバーにも入り、リピートしてくれるお客様もいます。
これまでの人生で、ここまで明確に数字で表されることはありませんでした。
風俗嬢でいることは、表立って自慢できることではありませんが、わたしにとってはささやかな自信を得られるお仕事です。
いつかは、ゆいとしての役目を終えることがあるでしょう。
いつになるかは分かりませんが、そのタイミングはすでに決まっています。
その日まで、本当は根っから優しいわたしが「ゆい」に侵食されないことを願いながら、お昼寝をします。
おやすみなさい。
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