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いっしゅうき 2021.03④

2021.03.17 WED
99日目です。カミュ『異邦人』を読み終わりました。

ページ数でいえばかなり短い作品なので、あっという間に読み終わりました。あと訳文も非常に読みやすかったです。淡々とした一人称で全編続くので、テンポ的にも息切れせずに読めました。おもしろかったなあ。こういう小説好きです。

こうして原作を読んでみると、先日観たヴィスコンティ監督の『異邦人』はかなり原作に忠実だったのだなと思いました。映画の該当シーンが思い出されたり、さらに映画で表現されていなかったムルソーの心情をさらに深く知ることができたり、映画と原作を同時に味わうことで得られるおもしろさがありました。
原作を読んでみた結果、映画では「他者に対して徹底的に無関心」であるように思えたムルソーの印象が、小説では「自身の価値観に絶対的な自信がある」「他者の評価を必要としない」というふうに変化したのが非常に興味深かったです。ムルソーが他者の命を奪ったことに対しさして罪悪感をおぼえていないというのは原作・映画ともに間違いないので、彼の価値観を全肯定するのは躊躇われるのですが、他者を必要とせず自分の思想を貫けるという自己肯定感の高さとも言えなくもない彼の思考は少し羨ましいなと思いました。でもやっぱり、彼の人生に入り込めない周囲の人間たちからすれば、彼の在り方は寂しくて遣る瀬無いのだろうなとも感じます。あくまで筆者(文学ド素人)の感想・印象なのでもしかすると見当違いかもしれませんので、もし読んだことがなければぜひ一読をおすすめします。やっぱり今まで国を越え版を重ねているだけあって、読んで損はない作品だと思います!

2021.03.18 THU
100日目です。新しく金森修『人形論』(平凡社、2018年)を読み始めました。

いやこの自社紹介のキャッチコピーめっちゃおもしろいな。自虐か?

球体関節人形などが好きなので興味本位で手に取ったのですが、なかなかおもしろいです。読解能力に乏しいのでちゃんと理解できている自信はまったくないのですが、(おもに日本の)人形の歴史や種類なんかにも言及されているので勉強になります。参考文献も事細かに記載されているので、人形についてこれから勉強したい方にもぴったりなのではないかと感じます。

ところで、著者の金森修さん、筆者は寡聞にして存じ上げなかったのですが、巻末の著者略歴を見ると、2016年に亡くなっているそうです。それを知ってから本文を読み始めたら、「プロローグ」にこのような記述がありました。長くなりますが以下引用。

実を言うなら、本書の完成に至るまでにはかなりの紆余曲折があった。本当はもう何年も前から、より正確には『ゴーレムの生命論』脱稿後の二〇一〇年夏頃から準備を始めていた。だが、二〇一一年春の大地震と原発事故が私の筆を止めた。激甚な津波という天災と、原発事故という人災。そしてその後の日本社会が示した混乱、隠蔽と棄民。あれほどの大事件があった後で人形を主題にした本を書くことは「何か違う」という感覚があった。それから五年ほどしかたっていない現在でも、本質的には事態は変わっていないのかもしれない。だが、大量の資料に埋もれる中で、やはり何かを論じたいという気持ちが抑えられなくなった。他方で、その種の逡巡をしているうちに、私自身の健康が壊れてしまった。私の未来は、刻むような一刻一刻の、儚く小さな厚みになった。本書は、人形に込められた〈命〉への私なりの執着であり、〈命〉への愛なのだ。
                     ──金森修『人形論』p.9-10

本文の筆致もどこか軽快で、読者へ語りかけてくるような親しみやすさのある文章を書かれる方なので、この心情の吐露もどこか胸に迫るような迫力がありました。研究者・文筆家として、自身の死と向き合いながら誠実に綴られた一冊であることが伝わってきます。なんとしても最後まで読まねばと思っています。

2021.03.19 FRI
101日目です。昨日『人形論』を読み始めたと書いたばかりなのですが、同時進行で松戸清裕『ソ連史』(ちくま新書、2011年)を読み始めました。ここ最近映画などでソ連関係のことに触れることが多く、それらを観るたび自分の無知にかなしみをおぼえていたので、これを機にお勉強しようと思いちまちま読み進めています。一緒に関連書籍もいくつか購入したので、ひととおり目を通したら『DAU.ナターシャ』を観にいきたいんですよね。おめーちんたらしてたら公開期間終わっちまうぞ。

まだ「はじめに」しか読めていないのですが、なかなかいい記述があったので以下引用します。文系学問の徒として、非常に心強い、勇気づけられる思想だと思いますのでお裾分けです。まあぶっちゃけ引用の仕方を前日分でおぼえたのでいろいろ使いたいというのがでかいんですけど。こうやって字数稼ぐのレポートの頃からの癖なんだよな。

筆者には、「教訓としての歴史」のような「役に立つ歴史学」を訴える意識は乏しいのだが、とはいえ人文科学・社会科学では基本的に実験ができない以上、歴史上の経験という貴重な「実験」から学び得ることは学び尽くすべきではないかと考えている。本書で見るように、ソ連の歴史はまさに壮大な「実験」の歴史であった。端的に言ってこの「実験」は、多大な困難と犠牲を自国民に(時には他国民にも)強いた末に失敗に終わったのであって、繰り返されるべきではない。だからこそ、「モデル」、「他山の石」、「反面教師」のいずれとしてであっても、ソ連の歴史に学び得ることを見出し、学び尽くす努力をすべきであると思う。
                     ──松戸清裕『ソ連史』p.8-9

2021.03.20 SAT
102日目です。髪を切りにいったついでに映画でも観にいこうかと思ったのですが、おうちに帰りたい意欲が勝ってしまったのでおとなしく帰宅しました。なんの報告なんだよ。

2021.03.21 SUN
103日目です。アニメ派の友人に、某呪術漫画を読ませてみました。筆者の推し①および推し②の過去編、加えて前日譚を押し付けたわけなのですが、結果として「あの、ちょっと、休憩させて」「わ~~~~」「キューーーー(悲鳴)」「無理だが」「ナンデ」「ムリ」等々の感想を聞くことができたので、よかったです。非常に有意義な時間となったことをお知らせします。みんなわたしと同じ気持ちになればいいんだよ。

2021.03.22 MON
104日目です。久しぶりにサイゼ○ヤへ行ったら、見たことのないパスタメニューがありました。正式名称は忘れましたが、挽き肉状のラム肉が入った、ミートソーススパゲティのようなものです。道民の端くれとして羊肉は大好きなので試しに注文したところ、これがまあ大変美味しかったです。あとあれ、青豆のサラダでしたっけ? あれも大変美味しゅうございました。ときどき冒険してみるのもいいものですね。

ちなみにみなさんはジンギスカンお好きですか。筆者は好きです。実家に帰るとたいてい「ジンギスカン食いてぇ~」という話になり、なんだかんだ家族で食べてから東京砂漠へ帰ります。ラム肉は独特のくさみがあるので苦手なひとも多いかもしれませんが(サ○ゼリヤのものもラムの風味がいっぱいで良かったです)、ジンギスカンにすると野菜もたくさん摂れるのでおすすめです。個人的に好きなラムは「のざき」です。ぜひ道東へ金を落としてください。

2021.03.23 TUE
105日目です。スーツをクリーニングに出そうと思い散歩に出かけたところ、コロナ禍の影響で定休日が変更になっており、完全にシャッターが下ろされていました。近所にクリーニング店はたくさんあるのですが、行ったことのあるクリーニング店はそこ一店舗のみなので、かなしい気持ちになりながらとぼとぼ帰ってきました。筆者は人見知りを拗らせているので、新たなクリーニング店を開拓するのは、無理です。そういえば今週一本も映画を観ていないんですが、まあそういうこともあるよねということでよろしくお願いします。

ほんとうにありがとうございます。いただいたものは映画を観たり本を買ったりご飯を食べたりに使わせていただきます。