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無音人間

ご迷惑をおかけしてすみません。今、話せません。彼は机を見つめてそう言った。
何がつらいのか話さなければわかりませんよ?
だが彼は押し黙ってしまった。

消え去りたいとか逃げたいとかおよそネガティブな台詞は言い飽きたとばかりに。

誰もあなたにいなくなって欲しいなんて考えてませんよ。
彼は顔を上げた。
私はいなくていいのです。必要がないのです。

確かに彼は孤独だ。友人も恋人もいない。
では、明日、そう言って別れた。

そして今日、彼は掻き消えてしまった。
自死ではない。行方不明でもない。
忽然と消えた。

私は馬鹿馬鹿しくなって彼のことを忘れることにした。
構うだけ無駄だったのだ。

終わり。

お金が欲しいです。