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鶏男

俺は鶏と人間のハイブリッド、鶏男だ。スタイルは人間、パーツは鶏。蹴爪もあるぜ。
鶏だから性欲旺盛だ。鶏女を探す旅をしてるのさ。俺の卵を産んでもらうためにな。

俺の元になった雄鶏はひよこの屠殺場から50キロも逃げたタフな奴だ。
蛇や猫の魔の手から逃れ、狡猾なカラスをかわし濁流の川をシャケの背を飛び石にしながら渡ったそうだ。

ここにはサソリが沢山いる。食い物には困らない。
ああ、ほかの鶏男には会ったことあるさ。
俺はいま野生、あいつらは養鶏場で飼われてる。
思春期に肉に加工されるんだそうだ。

鶏人間のメスは稀なんだ。
全て人間が管理してるらしい。

そんなある日、俺はメスに出会った!
彼女は泣いていた。旦那がシャモ人間に首を掻っ切られたんだそうだ。

俺は警戒されないように彼女に語りかけた。
「ひでぇ話だな、卵は産んだのか?」
「産んだわ、でも全部人間か蛇に食われちまった」
ここで俺の卵を産んで欲しい、と本音を飲み込む。
おい、早速蛇野郎が彼女に近づいてる。卵の気配を感じたのか。

「コケーーッ!クォクォクォ!ケケーーッ!」
雄叫びと共に飛び上がる!
反射的にかま首をもたげた蛇の頭から三分の所を跳び回りながら爪で滅多打ちだ!
しゅーーーーっ!蛇が威嚇する!だが方向がさだまっていない。
俺は一際高く跳躍すると首を足で押さえつけた。
あとは簡単だ。頭を嘴で刺す!刺す!刺す!

のたうっていた蛇は動かなくなった。

ふと死骸を見ると尻尾から胴に登った場所に脚がありやがる!2本!人間の脚だ!

「こいつ、蛇人間のなりかかりか」

これ以上は人には近づけないだろう。腕も生えていないのだ。
不気味な生物を食う気にもならず、俺たちはその場から逃げた。

仲間がいる可能性が高い。しかも五体が揃った蛇人間が!
大きさだってこいつの比じゃないだろう。彼女を死守しなければ。

続く

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