マガジンのカバー画像

小説、SSなど

99
思いつきで書いたSS置き場です。
運営しているクリエイター

2022年4月の記事一覧

逆噴射小説大賞第一作目

逆噴射小説大賞第一作目

山の神さま

木の枝を払いのけ先を見通すと細い川が見えた。俺は山道を迷ったのだ。
なんのことはない山すその神社を通り、登山道を道なりに歩き、いつしか道なき道の石がきを登っていた。そしてここがどこかわからなくなった。

だが川があるなら楽勝だ。俺は近づこうとした。そして、足を膝まで飲み込まれた。
なんだこれは!俺の知ってる山じゃないぞ。
川すそには枯葉の積もったぬかるみだらけだ!

そこここで蛙が鳴

もっとみる
サイボーグ・バード 2

サイボーグ・バード 2

どうやって店へ行くかだって?

こんな配線はぶっちぎってやりゃいいんだよ!

何故なら生命維持装置の中には鳥の餌から抽出した雑穀、昆虫エキスしか入ってないとわかったからだ。

身体が重いな。歩くのも一苦労だぜ。俺はまっすぐジャンク屋に向かった。

人目など気にならない。不気味な機械鳥など誰も触ろうとしなかったからだ。頭だけ生身だしな。

「おう、商品見せてくれ!」

店主が驚いて叫ぶ。
「なんだお

もっとみる
サイボーグ・バード

サイボーグ・バード

俺はフウチョウのはずなんだ。それがなんだ?

身体が重い。

頭を巡らせてみると羽根も脚も機械になってやがる。

頭と嘴は生身だ。

こんなに重けりゃ飛べねえだろうな。

身体からはコードが何本か出てる。大層複雑そうな機械に繋がってるが、これが生命維持装置なんだろう。

何のためにこんなことを?

金持ちの大富豪が道楽で、サイボーグフウチョウを作れと命じたんだそうだ。

鳥の命をおもちゃにしやがっ

もっとみる
箱の中の男

箱の中の男

ここはとある部屋。窓はない。
「なぁ」
男がもう1人の男に声をかける。
「なぁ、いつになりゃ出られるんだ」
「知らねー」
男2人は窓のない部屋に数日閉じ込められている。
食事は天井の小さな穴から投げ落とされるポカリとカロリーメイトのみ。
幸いなのはトイレが付いていることだった。
無論、そこも脱出できる場所はない。

「出口、探すか。穴でも掘るか」
「素手で掘るのかよ」

当然、道具はない。

俺ぁ

もっとみる