GET READY/準備
ヴィクターにツケを払い終えたので、噂の大物(?)フィクサーことデクスター・デショーンに会いにいく。
と思って外に出たらこれ。
なんだこの天気の悪さ。さっきまで晴れていい天気だったのに、ちょっとヴィクターと雑談してたらこんなことに。ハルマゲドンでも起こるのか。
2077年の気候はどうなってるんだろう。それともこれはアメリカのデフォなのか。数メートル先も見通せない悪天候の中、デクスターの元へ向かう。
目的地には黒塗りの車が1台止まっていた。戸愚呂弟みたいな運転手が傍に立っており、ドアを開けてもらったのでありがたく乗り込む。
いかにもな車の中にはいかにもな男が乗っていた。この大物感満載の男こそデクスター・デショーンである。
車を走らせながら、デクスターは依頼について説明する。
内容は「アラサカが持っているバイオチップを盗んでこい」というもの。
アラサカとは、名前の通り日本の企業だ。実質ナイトシティを支配する超巨大企業で、超巨大故にちょっとでも手を出すと大変な返り討ちに遭うやべーところである。
デクスターも一応誰を相手にするかはわかっているようで、チップを盗むのに必要な準備を提示してくれる。
まず、チップ強奪のためにはドローンが必須らしく、それをギャングから回収しに行かなければならない。
ドローンはメイルストロームというギャングが持っており、デクスター曰くドローンの支払いは済ませたが、その直後にメイルストロームのリーダーが変わりそのリーダーとトラブったので代わりに受け取りに行ってくれ、とのこと。
ここだけ聞くとただのおつかいに思われるが、簡単に見えるものほど複雑なのが世の理。
そもそもそのドローンだが、元はミリテクというアメリカの軍事大企業が保有していたもので、それをメイルストロームが盗んだ。ミリテク内ではメイルストロームに強奪されたことから内部にスパイがいるのではないかと内輪もめも発生しており、Vの知らないところでややこしいことになっている。
大物フィクサーならその辺のトラブルも解消してほしかった。何丸投げしてるんだこの野郎。
そのトラブルとは別で提示されたもうひとつの条件は、依頼主に会うこと。これは依頼主本人からの希望らしい。アラサカから盗みを働けという無茶ぶりをしてきた人間のご尊顔を拝みに行く丁度いい機会だ。
一通り話し終えると、デクスターは用済みのVをさっさと車から降ろし、颯爽と去っていった。
知らない土地にほっぽり出すな。そんな気持ちが過りはしたが、マップがあるので道中ギャングをシバキつつ依頼主のところへ向かうことにした。
通りすがりに不思議な音楽が聞こえてきたので探してみると、彼が奏でているようだった。
そのUFOみたいな楽器は見たことがある。確かハンドパンとか言うやつだ。他に呼び方があるかもしれないが、ラジオではハンドパンと紹介されていた。ほやんほやんと宇宙空間を連想させるような不思議な音色を奏でる楽器だ。気になる人は調べてみてほしい。
ナイトシティにはたまにこういうストリートミュージシャンがいる。
ギターを持った人を何度か見かけたことがあるが、心地よい音色を演奏しているのでつい立ち止まって聞いてしまう。
ちなみにそのままじっと聞いていると「何見てんだ?」と不審人物を見る目で言われてしまうこともあったりなかったり。
ストリートミュージシャン相手にチップを出す機能とかあればよかったのに、と思うこの頃。
依頼主が指定した場所は「リジーズ・バー」というクラブで、夜のうちに来るようにと時間指定もあったので暗くなってから向かった。
店先の写真を撮るのを忘れたが、入口には武器を持った女性がふたり立っている。彼女たちはリジーズ・バーを拠点とする「モックス」というギャングの一員だ。
とはいえ、彼女たちはあくまで店の門番のようなものなので、こちらが敵対の意思さえみせなければ攻撃されることはない。なんなら店内でのルールを説明してくれる手厚さだ。(というよりは、店員を守るためのルール説明だと思うが)
ルール説明を受け、いざ入店。
受付のお姉さんから「可愛い子」的なことを言われつつさらに奥に向かうと、メインルームっぽいところに出る。
店内はかなり広く、客もそれなりにいて繁盛している様子。ちょっと立ち止まると、周辺の人たちの話が盗み聞きできる。
例えば、店員の女性が客の男性に「3Pとかどう?ツケにしとくから」みたいな話をしていたり、客の男性ふたりが「BD(ブレインダンスの略。記録した人間の体験を追体験出来るVRの発展版)は頭痛くなるから苦手」「ここのBDはそんじょそこらのとはクオリティが違う、やってみ」「マ?試してみるか……」みたいな会話があったり。こういったNPCひとりひとりの人生が垣間見えるようなボイス量の多さには脱帽である。
もう少し奥に進むとバーカウンターがあり、目的地はそこを示している。
ハンサムなバーテンダーに依頼主について尋ねていると、隣の客が声をかけてきた。なんなら初対面のはずのVの好きな酒も奢ってくれた。
彼女こそ、今回の無茶ぶりの原因である依頼主のエヴリン・パーカーである。
彼女が場所を変えて話そうというので、バーカウンターから離れて個室に移動する。テーブルの上ではホログラムで全裸のお姉さんがセクシーダンスを踊っている。気が散って仕方ないが、真面目なシーンなのでエヴリンをガン見してやり過ごす。
強奪するチップは「Relic」と呼ばれており、アラサカが何十億とつぎ込んで研究したテクノロジーらしい。通称「魂の救済」と呼ばれていたり、人格移植テクノロジーとか言ってたり、不穏な気配しかしない。彼女が求めているのはチップではなく、チップの中のデータ。中身はなんなのか聞いてはみたものの、彼女は答えてくれなかった。
デクスターが彼女について調べてみようとしたらパシフィカ(ナイトシティにある地区のひとつ)の人間から詮索するなと忠告を受けたらしいし、彼女は彼女でさらに元請けがいるのかもしれない。
代わりに、Relicがどういった経緯でどこにあるのか教えてくれた。
Relicはアラサカ社の社長の息子、ヨリノブ・アラサカが研究所から盗み出したものらしく、現在彼のところにあるらしい。彼はそれをネットウォッチ(ネット版警察みたいな組織)に売るつもりで、既に交渉は済んでいるようだ。デジャヴだな。ついさっき似たような話を大物(?)フィクサーから聞いた。ナイトシティの住民は必修科目に盗みでも入っているのか。
そしてそもそもどうしてエヴリンはそこまで知ってるのか。その疑問はすぐに解消される。
別室に移動すると、ひとりの女性が待っていた。
ジュディ・アルヴァレス。簡単にいうと、BDの専門家である。あと、エヴリンととても仲が良い。
BD専門家の元に連れてこられた理由はひとつ。BD視聴である。
エヴリンとジュディが言うには、エヴリンがヨリノブのところへ行ったからそのときの記録を見て、Relicの位置を特定してくれ、とのこと。
何を言ってるんだと思うだろう。私も初見のときそう思った。どういうことかというと、追体験型VRのような代物であるBDを利用すると、記録した当時の周辺の環境を調べることも出来るらしい。2077年すげえ〜!!
BD分析のやり方をジュディからレクチャーしてもらった後、早速エヴリンのBDを視聴する。
場所は紺碧プラザという高級ホテルにあるスイートルーム。
Relicはこの部屋のどこかにあるという情報をエヴリンは掴んでいたので、あとはその場所を特定すれば強奪することが出来るというわけだ。
こういったサイバー系はT-バグが得意である。ということで、彼女の協力も得ていざ出陣。
もはや人間なのかロボットなのかわからない、テセウスの船というパラドックスを思い出させるような人物とすれ違った。こわい。
部屋の真ん中ではヨリノブがヘルマンという男と言い争っている。彼はエヴリンに気付くと、手早く要件を済ませて連絡を切った。
ふたりが大人な掛け合いをする間、分析機能を使って部屋の中の警備システムを調べ、ついでにヨリノブと父親の仲が相当悪いという情報も得る。
Relicは低温の環境で保管されているとのことで、サーモ機能を使い探してみるとすぐ見つかった。
Relicの場所も特定出来たので、BD分析は終了。ジュディから「無謀すぎて歩く屍に見える」という有難い言葉を頂きながら、エヴリンと部屋を出た。
エヴリンからは「フィクサー抜きで直接依頼受けない?報酬増えるで」と提案されるが、ただでさえアラサカ相手に危ない橋を渡ろうとしているのに、さらにフィクサーまで裏切ったらこっちの身が持たない。提案を受け流しつつ、リジーズ・バーを後にした。
Relicの居場所はわかったので、次に必要なものはドローンだ。
ジャッキーと合流する前に、デクスターから教えてもらったミリテクのメレディス・スタウトに連絡してみる。問答無用で呼び出しを食らったので、大人しくそこに向かった。
初手でぶん殴られて「お前誰から情報得たんや?おん?スパイは誰や?」みたいな質問を嘘発見器をつけられながら聞かれた。
右の嘘発見器男の迫力が半端じゃないので本当のことだけ話すと、嘘発見器を取ってくれた。意外と話がわかる……わけあるか。初手暴力の人間だぞ。最初から普通に話せ。
とにかくドローンが欲しいだけなんです!ドローンくれれば盗んだやつ白状します!と提案(嘘)すると、メレディスは「ほんならこれで支払ってくれや……」と金の入った怪しげなチップを渡し、さっさと撤収していった。どうやらミリテク側も余程切羽詰った状況のようだ。
散々な目にあったな……という感想を抱きつつ、改めてジャッキーと共にメイルストロームの元へ向かう。
デクスターの使いであることを伝えるとすんなり入れた。
メイルストロームは肉体改造が好きな人間が多い。そこかしこに身体や顔を機械化したギャングがたむろしている。
案内された部屋でダム・ダムと名乗るちょっとキマっているギャングからドローンの取引の話をしていると、タイミングを見計らったようにリーダーのロイスが現れた。つい最近メイルストローム内で下克上を果たし、リーダーになったばかりの男だ。
金はデクスターが既に支払っているからドローンだけくれと言ってみるものの、ロイスは「その取引は前のクソリーダーがやってたもんやから俺は知らんなぁ」としらばっくれる始末。なんだこいつ。
しかしここで無駄な争いを起こすのも手間である。穏便に済まそう。
仏のように広い心でロイスの愚行を流し、さっさと10,000ユーロドルを自腹で支払えば、ロイスもそれ以上何か言うことはなかった。ふはは、ざまあみろ。これが格の違いってやつだ。
さて、ドローンもらったからとっととおさらばするべ、と思ったが、そう物事はすんなりいくもんじゃない。
ミリテクの奇襲である。
誓って言うが、Vはまだミリテクにメイルストロームの情報を流していない。では何故奇襲されたのか。簡単である。尾行されていたのだ。ついさっき格の違いを見せたが、やはりまだペーペーの新米ちゃんである。
メイルストロームとミリテクによる抗争勃発。なるべくしてなった結果というべきだろう。勝手に戦え。部外者のVとジャッキーは隙を縫って脱出した。
ちなみにこのとき、驚くべきことにメイルストロームから仲間判定されているので彼らから攻撃されることは無い。それどころか脱出までの道案内をしてくれる。さらに、脱出直前のメイルストロームリーダーロイスvsミリテクエージェントメレディスの頂上決戦中、メレディスをシバき倒すと(狙った訳ではなく、とりあえずエネミーをシバいたらメレディスだっただけ)「お前、ええ奴やん……」と見直されてダム・ダムからドラッグ吸引器をプレゼントされた。
友情の証であるドラッグ吸引器を持ちつつ脱出すると、外ではミリテクが待ち構えていた。
誰?と思うかもしれないがこの人である。
実は君を尾行していたんだよ……的なネタバレをするくらいえらく余裕そうな態度だが、実はこいつ、本物のスパイである。なんて奴だ。同時に、メレディスをシバいてしまった申し訳なさが今更出てきた。
諸悪の根源は彼女が目をつけていた人物で合っていたのだ。
過ぎたことを悔やんでも仕方ない。南無。
目的のドローンを手に入れたので、次に目指すはデクスターが待つ「アフターライフ」というクラブである。
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