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郊外回帰が加速していくのではという話

先日大学時代のサークルの先輩に火災保険について話を聞いたときに郊外回帰の話になりました。
今は都心回帰と言われ、都心の駅チカ以外の物件・土地は資産価値が0だと言われるほどです。
東京・大阪は顕著で大阪市内の70㎡以上の新築マンションは軒並み4000万以上しますし、中古のマンションも購入時より高い金額で売れるという不動産バブルが起こっています。
なおかつ不動産を今買うのはだめ、そのうち家が余るから不動産価格は暴落するという説もよくありますよね。
そのあたりの説、私は全部合っていると考えています。
その上で、郊外回帰について今回は考えてみたいな、と思います。

■日本人の新築信仰はなくならない

今、団塊世代がいなくなると大量に家が余ると言われていますが、私は余っていたとしても日本人は新しい土地に新しい家を買うのをやめないと思います。
それは今の状況を見ていても顕著です。
同じ土地に格安の中古の物件があるにもかかわらずその数倍ものお金を出して新築を建てたいと思ってしまう。
中古をリフォームしたら結局もう少し頑張れば新築が買える、と思ってしまう。
どうせなら新品がいいと思ってしまうのはしょうがないです。

そして私はこの考えはもう日本という国に風土としてあるものなのでこの先10年20年で変わるとは思えません。
それなら毎週SUUMOが新築マンションの雑誌を出すなんてできないはずです。
家が余ったとしても新築を買う人がいるから作るんです。

■周りの子育て世代が軒並み郊外に家を買っている

私の中高の地元の友達や、大学の友達、また会社の知り合いが軒並み、郊外に家を買っています。
その理由は大きくは下記の5点からだと思います。

①実家の近くで(自分の慣れ親しんだ土地で)子育てしたい
②土地価格が安い
③土地が広い
④治安がよさそう
⑤子育て環境によさそう

④⑤に関しては、何に重きを置くかで考え方が変わると思いますが、①は自分が育った場所だから、少なくとも子育てにいい環境なんだろうと考えてしまうのは自然なことですし、親の助けを借りられるのは共働き世帯にはありがたいですよね。
②③はもうそのままの事実です。
もう少し掘り下げたいと思います。

■子育て世代が新築で買える広い土地は郊外にしかない

子育て世代はわたしが書いたような理由から一戸建てに夢を見ている人たちも多いと思います。

広い敷地で2階建て、できればお庭もついていてそこでガーデニング…ウッドデッキやタイルデッキで晴れた日には外でブランチ…なんて考えちゃいます。
そんな土地、大阪市内にはまずありません。あっても億超えかなあ。

それなら少し会社から離れても、たとえバスにのるような場所でも、夢の広いマイホームのためなら我慢できると郊外の土地を買う人は多いのではないでしょうか。

■リモートワークの推進で都心の優先度は下がる

コロナ禍によって、リモートワークが一気に進みました。
私の会社も基本在宅ワークになり、定期代が支払われなくなったようです。
正直そうなると通勤の利便性ってある程度優先度が下がってくるはずです。
在宅の時間が長くなるのであればできるかぎり広い家で自分の仕事空間を作って、ストレスなく集中できるようにしたほうが良いと思うでしょう。
そうなると都心と郊外で天秤にかけられていた通勤ストレスのデメリットがほぼなくなるのです。
むしろたまに出勤するときは長い間電車に乗る方がリフレッシュできると考えられそうです。

うん、郊外、いいじゃん。

■でも、郊外の資産価値は上がらないと思う

いろいろ記事を見ていると郊外回帰の話も出ているのですが、軒並み郊外の価値が逆に今後は上がるかもと書いています。
ただ私は個人的にはそう思いません。
日本全体で土地価格は下がったり上がったりしていますが、都心はこれからバブルが崩壊しても大きくは下落しないだろうし、郊外は新築の大型分譲地の土地価格が高いだけで、通常の土地価格はそのままだと思います。
分譲地も中古として数年後売りに出す際は他の近い土地と同等の価値まで下がるでしょう。
つまり、今中古の築20〜30年くらいで出回っている物件の売価格同等がその土地の価値だと思います。
(もちろん、上物のグレードによっても変わりますが)

■ほとんどの人は売りに出すことを考えていない

よく「売りに出すときの資産価値を考える」というアドバイスを聞いたりしますし、私も一応万が一売るとなったときに売れる場所で家を探しました。
ただ、新築住居(とくに戸建て)を購入するほとんどの人は売るときのことなんか考えてません。
その家に、その場所に、定住することを前提として購入していると思います(中には富裕層で、駅遠が辛くなったらマンションを買うとかいう人もいますが)。
そんな人達からしたら都心の土地のほうが資産価値が高いから、マンションは売るときに購入価格より高く売れるかもしれないから、というセールストークは無意味です。

■まとめ

いろいろ考えてみると、社会もリモートワークを後押ししているし、都心に住むメリットというのが薄れてきているように思います。
そして子育て世代が考えることはどの時代も変わらず、日本人の中に幸せな家庭の既成概念があるんだな、と思います。
全部ちょっと斜に構えた考え方かもしれませんが、あながち外れていないような気がします。

●都心の価値が上がれば上がるほど子育て世代は郊外の土地に流れる
●新築信仰・理想の家庭像があるかぎりハウスメーカーは家を造り続ける
→逆に言えば、その考えを植え付けているのもハウスメーカーとも言える…
●今後も都心VS郊外の構図は行ったり来たりを数十年単位で続ける

私達が購入した家は郊外と言えども駅チカ物件なので逆に言えば中途半端かもしれませんが、両者のいいとこ取りということで私個人は価値も大きく変わらないならリタイア後に引っ越したいってなってもなんとかなるのかな〜と考えています。(というかそもそも新築ではないし)
これから地方創生もより加熱していくと思うので私もせっかく定住するならなにか仕掛けたいな、と思います。

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