公務員辞めました。


 新採から5年半ほど在籍していた官公庁を退職しました。永久就職するつもりで入庁しましたが、ここに居たら身が保たない、そう感じて辞めました。
 沢山お世話になった方たちが居て、仲の良い同期も居て、今も心残りがゼロとは言えません。でも、私は時間をかけて真剣に考え、この組織を去ることに決めました。


転職を考え始めたきっかけ

 新採一年目から、周りの同期や先輩が毎年必ず辞めて行くのを見てきました。初めは職員が4万人もいるので、合わずに転職する人も中には当然いるだろうなと考えていました。
 しかし、100時間を超える長時間労働が原因で転職先を決めないまま仕事を辞めた同期もいれば、過酷な仕事内容による鬱病のほか恐らく長年の長時間労働やストレスの影響もあり脳腫瘍を発症して40代で亡くなる管理職が同じ部内だけで3人も立て続けに出て、自分自身もこのままこの職場にいたら死ぬんじゃないか?と本気で考えるようになりました。(あと、例えば業者が「危険だから切れません」と断ってきた崖に生えてる木の枝を、住民からの苦情に対応するために素人の職員が切っているなんてことはよくある話で、物理的にも死ぬ可能性があるなと感じることは大なり小なりあります。)

転職することにした理由


①人員数に対して残業ありきの仕事量
 省エネや子育て支援など、年々やらなければいけない政策は増えており、新しい部署も増えて行くのに、お金の問題で採用数は増やせないからと、元からある担当から1人ずつ人を引っ張って新しい部署を作る、ということをずっと続けています。
 私の担当も15年くらい前と比べて人数が半分になっていますが、仕事量は確実に増えています。それでは仕事が回らなくなるのは当たり前です。公務員は真面目な人が多いので、どこの担当も残された人たちが必死に残業しながら仕事を何とか回すので、これまでぎりぎり何とかなっているように見えていた物が、最近は明らかに崩れ始めています。管理職の間では若手職員の離職が問題になり始めている局もあると聞きますが、はっきり言って対応が遅すぎます。

②専門知識が活かせず、成長も感じられない
 私は特に建築職かつ設計を勉強してきたのでそう感じるのかもしれませんが、大学院まで出て勉強してきたことが活かせる環境がありません。確かに建築的な知識は使いますが、マニュアルがあって慣れてさえしまえば建築学科出身でなくてもできてしまう仕事ばかりなのです。
 その上、建築職以外の人たちからは「建築のことは分からないのでやってください」と言われて、担当外の責任まで押し付けられがちです。
 何のために建築学科のある大学を選んで受験勉強したのか、徹夜で模型をつくり図面を描いてきたのか。民間の企業で働く同級生と会う度に、公務員の働き方という物を分かっていなかった自分が情けなくなりました。

③無意味な古い風習
 部長級以上への遜り方が異常で、部長や局長の機嫌を損ねないように課長や係長が必死なため、その下の主任と主事が無駄な仕事をやらされることが多く、ただでさえ本当にやらなければいけない仕事が沢山あるのに、残業を誘発する要因です。
 特に文章的な修正は破滅的に効率が悪く、はっきり言って個人の好みも入ってくるのにそれだけで何日も何週間も振り回されるんです。係長級でさえ、局長から「いただきますと頂きます、変換するかしないか、使い方が間違ってる」などと指摘され資料の修正をしている姿を見ているととても管理職になりたいとは思えません。

④不公平な昇給制度
 公平という理由で筆記試験が採用されていますが、実際にはずるい人ほど仕事を周りに押し付けて勉強時間を確保し、真面目に仕事をやる人ほど残業で勉強できず、嫌な人間ばかりが昇給して行く構造ができています。
 管理職が傲慢だったり、怠け者ばかりなので、人が良い管理職はその煽りを食らって疲弊し、心身の不調を来す人が毎年必ずいます。それを見ているまともな若手は昇給試験そのものを受けなくなってしまっており、悪循環が止まりません。

⑤職員を人として扱わない異動と兼務
 仕事を真面目にやる人=仕事が速い優秀な人なので、どこかの部署で病気休職や退職で欠員が出たら前触れ無く「来週から異動してくれ」と言われる局間異動が当たり前にあります。あと、最近特に多いのは兼務という名目で「年度末まで100%兼務をお願いしたい」と、つまりやっていることは異動と同じで、希望してもいない担当(しかも大抵ブラック)に飛ばされるのです。拒否権は殆どありません。
 そして、例えばパワハラやセクハラが発生した場合、加害者がペナルティを受けることは殆どなく、被害者が異動する措置が取られることが多いです。どうして被害者の方が異動を強いられなければならないのでしょう?
 公務員の特徴として大抵2、3年で異動するので「嫌な仕事でもちょっと我慢してよ」と、職場環境や仕事内容を改善すること無く、異動という一時凌ぎの手法を取りがちです。

 主に以上のような理由が重なり、転職を決意しました。専門性もスキルも無い公務員から民間への転職は困難だろうと、当初は転職を迷う気持ちがありましたが、今は退職して本当に良かったと思っています。
 退職の手続きや転職活動については別記事で書きたいと思います。

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