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DJふぉいに少しハマってるはなし

最近、DJふぉいという方の配信をよく覗きに行くようになった。自分でも意外なことに。

DJふぉい。ご存じだろうか。Tik TokやYouTuberに詳しい方なんかは「レペゼンFOXX」、あるいは元々の名前である「レペゼン地球」、そして代表的なメンバーである「DJ社長」という名前を聞いたことがあるかもしれない。彼はそのメンバーだ。

「レペゼンなんちゃら」


「レペゼンなんちゃら」「DJ社長」という単語を知っていたとしても、おそらく100%良い印象を持っている人は少ないのではないだろうか。そう、めちゃくちゃ炎上してきた。私も詳しくは知らないが、「なんか迷惑系か炎上系かそんなかんじのちゃらちゃらした人たち」といったイメージだった。何だかトラブって炎上したり、なんだかトラブって「レペゼン地球」という名前が使えなくなったり、なんだかDJ社長が整形していたり。そんな話題をちらっと目にしたぐらいだったからだ。
また彼らは見た目にもとっつきがたさを持っている。DJ社長は長い髪をエクステみたいな感じで所々青く染めているし、DJふぉいもDJまるも、ばっつばつにピアスを開け、タトゥーを身体中に彫っている。それで皆名前に「DJ」がついてうぇいうぇいしている感じ。クラブなんて行ったこともないし、うるさいところは好きではないし、どちらかというと引きこもりの陰キャオタクで図書館系の自分には正反対の世界の住人じゃね?と思っていた。

きっかけはTik Tokを流し見していたときの切り抜き動画だった。なんとなーく耳に残るフレーズの曲を作っている。またそれがファン達によってたくさん流れてくる。出会う回数がこうも多いとちょっとフレーズが頭に残ってしまう。
またアルゴリズムのせいだろうが、彼らの音楽だけではなく配信での発言などの切り抜きもよく流れてくるようになった。ここで自分の彼らへの印象はプラスにもマイナスにも少し変わることになった。

どうやらノリや趣味はめちゃくちゃ合わない。仲間内ノリとか、ゴキブリ食べるとか、炎上してもなんぼとか。以前Tik Tokで流行っていて「は?なにこれ?」と感じていた「ysp」という曲もどうやら彼らの作品らしい。嫌いよりの好きではない、だ。
ただ音楽フレーズはけっこう耳にひっかかる。し、何より興味を持ったのは、「令和の虎」という動画(?)にDJ社長がでていた時の、その語りだった。

「令和の虎」でのDJ社長


「令和の虎」は、ずっと前にテレビで人気があった「マネーの虎」という番組のネット版か何からしい。というのも「令和の虎」も切り抜きがよく流れてくるが、あんまり好きではなくすぐ飛ばしてしまうからよくわかっていない。ざっくりと、金持ちの社長やらなんやらの人々に対して、資金援助をしてくれ、とプレゼンするやつだ。それにDJ社長がプレゼンする側で出ていたのだった。
流石にトークがうまい。でもそれだけではなく、「有名になりたい」「ちやほやされたい」「お金持ちになりたい」という目標に向かって彼は真っ直ぐだった。良いかっこしたり取り繕ったりがほとんどない。きちんと自分の持っている強みとそれがもつ意味合いを把握しているし、SNSそれぞれの性質、規約、何ができて何ができず、どこまでがグレーなのかを把握したうえで、自分がそこでできることは何かをアピールしてゆく。出資者側が色々な角度から色々な質問をしてゆくが、その切り返しもぶれない。
今1番人気があるのはBTS。BTSを越えるのが目標。と言ったDJ社長に出資者側は「BTSには人気になるだけの歌やダンスの才能がある。じゃぁあなたの強みは何なんだ」と問いかける。それに対して彼は「僕はめちゃくちゃずるい」「犯罪以外だったら何をやっても良いと思っている」「プライドがない」とすぐに言ってのけた。真っ直ぐだった。良いか悪いか好きか嫌いかは分かれるとは思うが、真っ直ぐだった。
すでに才能ある人たちにその土俵でたたかっても絶対勝てない。じゃあ何で勝つか。ズルしてよく見せて勝つのだ。つまりビジネスで勝つのだ、と。
ここ1年自分の夢を諦めたけど諦めきれずにズルズルと引きずっている自分にクリティカルヒットだった。何となく勇気付けられてしまった。そう。才能では勝てない。努力する才能すらなかった。手応えがあったのは、パフォーマンス方法を変えた時だけだった。中身は何も変わらない、何もないままなのに。
自分の持っているものを見極め、社会のルールとしてはどうなっているか、どこまでがオッケーかを調べ、その上でどうやってよく見せて欲しい報酬を得るのか。
「うー。中々しっかり考えてるやん」
そう思った。

そこからは少し興味を持って彼らの切り抜きとそこについているコメントを見るようになった。
また揉めていた。別の配信者に凸られて、警察沙汰になっていた。やっぱり好きではない。が、それに対するDJ社長の、有名になりたくて炎上させる。ならば有名になる場所を僕たちが用意してみようと思った、というその後の対応はなるほど一理あるなと思った。
ここまで来ると彼らの考え方に興味がでてきた。
切り抜きではその人の良いとこしかわからない。ちょっと確かめてみようと思ってレペゼンFOXXのYouTubeを登録してみた。へずまりゅうを突撃謝罪させていた。ダメだった。合わない。チャンネル登録を解除した。

DJふぉいの配信


そう、本当に合わない。でも気になる。
特にDJふぉいの、視聴者の悩みごとに対する即座の切り返しっぷりは本当に凄いと思った。良いことは喜び、悪いことはダメだろと言い、嫌いなものも「俺は嫌い」と表明して必要以上に人を傷つけないような言葉選びになっており、視聴者の存在自体を肯定している。カウンセラー顔負けじゃね??と思うぐらいだった。
今度はDJふぉいの配信を登録してみた。基本は視聴者とのおしゃべり。そしてゲーム。しかし何がとは書かないが、下品ではある。でもまあ居心地は悪くはない。
何回目かに訪れた配信で彼はBTSのステージを見た話をしていた。そしてやっぱりレベルが違う、カッコいいと思ったと彼なりの言葉で語っていた。次の配信で彼は、BTSファンが、彼がメンバーを誉める際に「口ピあいてる奴」「あいつら」と言ったことについて少し注意する意見がネット上であったことを報告した。彼はまず初対面の人に対して「奴」「あいつら」という言葉を使った自分が配慮が足りなかった、「そっかー、そうだなー」と思った、と語った。ちょっと意外だった。うるせぇ、と反論する人もいるだろう、彼もそんなタイプではないかと勝手に思っていたからだった。
彼は自分の常識のなさを認め、自分と「外の世界」とのズレをやや悲しそうに認め、そんな自分でもありのままで交流することができるこの配信とその視聴者への愛着、この場の居心地のよさを語った。
ああ、これだ、と思った。

オンラインでの「居場所」


以前、Vtuberである壱百満天原サロメ様の配信を見ていた時にも思った事だった。
彼女も否定をしなかった。存在を肯定した。
「一般」や「普通」に馴染まなきゃと思いながらも少しずれてしまった者が、この配信に来ると存在を肯定される。別に1人前に、他者や世間に望まれるよう、認められるよう動けなくても良い。全肯定でもなく、ダメな行動はダメだと思う、と言ってもらえる。でも自分の存在は否定されない。
自分がひっかかった配信者のスタンスがそうだった、というだけだろう。世の中には色んな配信者がいるのは解っている。自分に刺さる、居心地の良い配信がこういう配信だった、というだけのことだろう。
でも広く見たとしても、配信は、人の「居場所」になりうるのだ、ここで交流することで日々、日常を生きることが支えられる人たちが居る、そんな場所を彼ら、彼女らは作り出しているのだ、と強く感じた出来事だった。

そうして自分はネットの力を使い、リアル世界では恐らく自分とは全く違う層にいる人々の配信を今日も覗きにいくのだろう。
多分コメントはほぼほぼしない。でもそこは今は、自分が居やすい考え方をする人たちの集まる「居場所」のひとつだから。


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