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日記5

書きたいことがあっても忘れてしまう。これは一見マイナスのように思えるのだけど、裏を返せば「忘れる程度のこと」だったというだけの話なんだ。脳が無意識下で取捨選択してくれたんだと思えば、かえってありがたくも感じる。

さて、先日は塩尻へ行ってきた。ブックオフ、屋台ラーメン、eco工房、そして大門商店街。ブックオフは以前ほど輝きを放っていなかった。所狭しと陳列された本は、なんだか暑苦しい通勤電車を連想させた。20年前、ブックオフは天国だった。立ち読みが公認されている古本屋、お金がない小中学生にとっては文字通りの天国。何時間もいられた。すべての背表紙に惹かれた。少しのエロもここで学んだ。今は…惹かれるものが驚くほどなかった。時代とともに代わり映えしない店内が、その厳粛な事実を強調している。僕は5000円の昭和の写真集に目を通した。ノスタルジーにノスタルジーで上書きを試みる挑戦。

eco工房も似た空気がある。2000年代初頭の忘れさられようとしている数々。ディスク。サプライ。古びたデジタルカメラ。それでも、この空間にはブックオフのような押し付けがましさが感じられない。これは店舗の構造がどうだとか、店員の雰囲気がどうだとか、そういったことを言いたいのではなく、完全に僕の主観である。値札のついていない扇風機の値段を尋ねたら、1000円でいい、と言われた。その扇風機を抱えて店を出た。いい買い物をした。この店に来るといつも何かしらの出会いがあって面白いのだ。

大門商店街、評して曰く「死んでない、いい商店街じゃん」とのことだった。以前駒ヶ根の駅前に赴いたときには「死んでる…」と言っていたので、かなりの高評価。個人商店は元気がない。これはどこもそうだ。とくに日用雑貨・洋服を扱う店は苦しそうだ。カフェや食べ物屋には活気を感じる部分もある。これからの商店街を考えるに、こういう店を増やしていくことが重要だなあ、と思ったりもした。個人商店が大手に勝る部分をしっかり考えていかなければならない…とまあ真面目なことを考えたりもした。素敵なゲイカップルも歩いていた。

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