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日記10

薬を倍に増やしてもらった。憂鬱がやってくる感覚が鈍ってきた感じがする。結局できることをするしかない。

ある先生と煙草を吸っていると、その先生が僕にアメスピを渡してきてこう言った。
「おれ、もう煙草やめるから」
この一ヶ月で何回か聞いた言葉だった。
「その煙草、吸っちゃっていいよ」
この先生は、何回も煙草をやめては、また戻ってくるのを繰り返している。
その先生と内田樹さんについての話をしていた。内田先生の話ってエネルギーもらえるよね、というような類いの話。
別れ際、その先生は笑いながら、
「仕事なんてどうでもいいよね。こういう話をずっとしていたい」
僕もその通りだなと思った。
…そんなこんなで、僕のデスクの引き出しには、僕が吸わない銘柄の煙草がいくつか入っている。

授業は相変わらず、うまくいったり、いかなかったりだけど、二人の初対面の生徒が小論文を見て欲しいと僕の研究室を訪ねてきた。彼女たちが書き上げてきた壊滅的な小論文を見て、気が滅入るより先に、「どうやって仕上げるか」考えている自分を発見して、まだ教師でいられるかもな、と少し思った。

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