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『ひきこもり白書2021』大容量試し読み!

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『ひきこもり白書2021〈1,686人の声から見えたひきこもり・生きづらさの実態〉』 から、 「はじめに」「序章」「第1章1節」「第7章座談会(ダイジェスト)」を試し読みできます… もっと読む
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はじめに

本書は、一般社団法人ひきこもりUX会議が2019年秋に実施した「ひきこもり・生きづらさについての実態調査2019」の調査データをもとに、属性やジェンダー、家族構成や経歴、支援や居場所、生きづらさなどについて統計的な分析と考察を試み、自由記述の引用と分析も盛り込んでまとめたものです。 これまでの国や自治体による「ひきこもり」の調査結果や、メディアが伝えてきた「ひきこもりの当事者」像は、残念ながら往々にして「リアル」であるとは言いがたい気がします。一面的で、ときに否定的なイメージ

序章 ─ 第1 節─ 調査概要と本書で使われるデータについて

─ 第1 節─ 調査概要と本書で使われるデータについて 調査概要 ● 調査期間:2019年10月17日~同年11月15日 ※ 公益財団法人日本財団2019年度助成事業として実施 ● 調査対象:ひきこもり・生きづらさの当事者/経験者 (年齢・性別問わず) ● 調査方法:オンライン調査および調査票調査 【調査の周知および調査票の配布について】 ひきこもりUX会議(以下本書では「UX会議」)のメンバーが培ったネットワークを活用して、地方自治体、社会福祉協議会、民間支援団体、当事

序章 ─ 第2 節─ 内閣府調査との比較から見る UX会議調査の特徴

関水 徹平 立正大学社会福祉学部准教授 本調査データの特徴を、ひきこもりに関する他のデータとの比較によって確認しておきたい。ここでは、これまでに実施されたひきこもりについての大規模な調査の本調査(以下「UX会議調査」)と内閣府調査は、同じひきこもりに関する調査といっても、ひきこもりの捉え方も調査方法も異なっている。内閣府調査が「ひきこもり」を客観的に定義しているのに対して、UX会議調査は、当人のひきこもりと生きづらさの経験を重視している。アプローチの違いによって、それぞれの

第1章─ 第1節─ ひきこもりの経験

これまで「ひきこもり」についての議論や定義は、国や自治体、専門家、メディアが中心となっておこなってきた。しかし、ひきこもりUX会議が出会ってきた「ひきこもり」の当事者/経験者には、そこでの議論や定義では把握・理解しきれない実態があると感じてきた。 本調査では、「ひきこもり」であるか、また「ひきこもり」経験があるか否かを、これまでの定義※によらず回答者の主観にゆだねている。本節では、ひきこもり経験の有無や、自分を「ひきこもり」だと思う理由、ひきこもり期間の分析結果をもとに、「ひ

第7章 座談会「ひきこもり」の再定義のために(ダイジェスト版)

本書「ひきこもり白書」は、私たちUX会議のメンバーが議論を重ね、試行錯誤しながらつくったものです。当事者団体である私たちには全くと言っていいほど本格的な調査の経験はありませんでした。では、なぜわたしたちは無謀とも思える未体験の白書プロジェクトに取り掛かったのでしょうか。その経緯と試行錯誤、そして制作後の思いを記録に残すため、監修者の新雅史さんと関水徹平さんを交えて座談会をおこないました。白書を読みすすめるにあたり参考にしていただければ幸いです。(こちらは「第7章 座談会「ひき