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強くなりたくない 1

アイドルって強くいないとやっていけないものだ とおもっていて、私はそれをアイドルデビューの前日に思いました。

わたしはアイドルになる前は通信制の大学生でした。でも色々あって人とは出来るだけ会いたく無かったから、大学に行く気があまり無かったというのもあって、1年の後期からは学籍だけ置いて単位を取らずにバイトだけして過ごしていました。
高校生の時からアイドルが好きで、神宿の歌をカラオケで歌ったりヒロシンの白雪姫乃ちゃんのメイクを真似したりしながら、あぁー、自分がアイドルができる容姿をしていたらな、と思っていました。
大学生になってからお金を稼いで髪を染めたりメイクを覚えたり、20歳になった月に、わたし20歳にもなったのに何にもしてない、やばいなって焦って、どうせならずっとやりたかったアイドルになろう!と決めました。
わたしなんてなにもないから、(かわいくないし、歌はまあ、得意だとおもっていたけど、ダンスを覚えるのは遅いし)応募しても落ちまくって諦めるだろうなって思っていました。でも、わたしが思っていたよりもすごく早くにアイドルになることが決まりました。
デビューまで約3ヶ月間、歌やダンスのレッスンをしました。
私が思ってたとおり、自分はダンスがなかなか覚えられなくて、練習にいくのが毎回苦痛でした、自分の容姿に自信がなくてこんなんで人前にはでることはできないと毎日追い詰められたような気持ちで生活していました。
まあでも自分の人生のなかで、数少ない自分で選択したやりたいことだから、がんばろう、周りも応援してくれている、とおもって練習をしていました。

そして、なんとかがんばって、デビューの前日に、わたしは今までの自分よりも自分の気が強くなっているなって気づきました。
わたしは人前にでることが苦手で人と話すのもあまり得意ではなくて、かわいくもないし性格もよくなくて自分の存在価値なんてないって常に思っているような人間でした。自分に対するマイナスな言葉が止まらない、笑
わたしにとっては自分が自分に対してそう思っていることは当たり前でした。だけどデビューの前日、最後のスタジオ練習を終えてわたしはそういう気持ちを、持っていた自分の事をもう肯定出来ないような気がして、悲しくなりました、人はこうやって強くなっていくのかな、わたしはもう弱く居ることは出来ないなっておもいました。
わたしがアイドルになりたかった理由は、そういう暗い気持ちを持っていても生きているだけでいいよって伝えたいなって思ったからだったのに
わたしは人に対してそういう風に出来なくなってしまうのかなと、おもいました。

9月にアイドルになってから、ずっと強い気持ちを持って活動していました。だからきっと、私が思っているよりも、アイドルの活動は上手くいっていました。
でも、わたしが、自分に対して、つよく居ないといけないとおもっていたから、そう思っていたそのせいで、自分のちかくで私が弱かった時のように弱っている人がいたときに、わたしはその人に対して優しくすることが出来ませんでした。
わたしはその自分が許せなくて、久しぶりに自分の価値ってなんだろうなっておもいました。わたしがアイドルになって伝えたかったことを近くの人に対してできなかったじゃないかと自分のことを責めました。
そして、もうわたしはここにはいられないな、自分のことも人のことも認めてあげることができないな、そう思って、もうライブに出ないつもりでいました。

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