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ふらりたどり着いた街にて 1



元々は、海辺で暮らす私の日記って勝手にシリーズ化していたけども、海から離れた土地に来てしまったもんで。
日記の名前を変えました。
生活が落ち着くまでの日記。
海が近くにある生活がとてつもなく恋しい4月の日記。
下書きに残っていたものを見つけて公開。
放出前に読み返して(360度全方位に気を張っていたじゃん私…そりゃあ疲れるよ)って気づいた。
この頃、も少し肩の力を抜いていても良かったのかなぁ。


4/13(土)
今朝はパン屋に行こうと決めていた。洗濯機を回している間に大きなパン屋に向かう。
その前に一瞬職場に寄ると桜並木が満開で、青空もノイズなく澄んでいて、しばらく見惚れてしまった。ぽかぽかの土曜日、もうこの時点で幸せハッピーになる。寝過ごさずに普段通りに職場に来てみるもんだなぁ。
街の大きなパン屋は「パンのテーマパークです!ようこそ!」ってオーラが滲み出ていて、トングをカチカチ言わせるのも控えたくなるような空間だった。だってどのお客さんもにこにこしているんだもん。 良い匂いでいっぱいだし。テラス席も満席、隣の公園ではちびっこがシーソーに乗っている。 そんなテーマパークに、これから気が向いたタイミングで来れる距離に越してきた。ひょっとしたら楽しい街かもしれない。
職場に戻る途中の公園の桜がこれまた満開で、そこに寄ってベンチで朝ごはん。日の当たるベンチでご飯なんていつぶりだろう。あ〜日を浴びてビタミンDが作られてるよ今〜!今夜はぐっすりだろうな〜!などと思いながら丸太サンドをムシャムシャいく。 片手で持って食べられるものはたいてい「ムシャムシャ」でいける。ワイルドな王になった気持ち。
そこから定時まで休日出勤。どは〜もう無理だ〜〜って疲れるかと思いきや、同じ休日出勤のメンバーに救いの手を差し伸べられたおかげで帰り道はスキップしたいくらいだった。 私が6時間かかると読んでいた作業が、4時間削れることが分かった。救いの手を差し伸べてくれたベテランさんのこと、しばらく神様のように扱おう。この職場は前に比べてアホほど忙しいけど、チームワークが強いおかげで助けてもらえる機会が多い。人間関係に恵まれた場所かもしれない。お得意のポジティブを発揮するゆとりがやっと生まれたから、良い環境に巡り会えたような…!と思いながら歩いて帰宅した。うちから新しい職場まで歩いて10分で着くってこと、今日初めて知った。
夕方、西の空に穏やかな夕陽が沈んでいくのを見つけて、東の海を思う。今頃きっとあの街は、私が大好きな空の色をしているんだろうなぁ。薄ピンクの東の空が映える海は天国みたいな空間になって、波の音は控えめに、絶えずに、さざめき続ける。日が暮れるまで防波堤で過ごしたあの日々がすでに恋しい。
引っ越してきてから2週間、やっっっと生活に慣れてきた。生活のリズムが整ってきたり、スーパーとドラストにはナビ無しでも辿り着けるようになったり、じっくりとご飯を作れたり。あぁ、嬉しい。
夜、長年の友達と長電話。2000円のサイコ〜な使い道について2人で考えた。 時折こうやって夢をみるのって大切。


春だね、春だよ


幸せは桜の下に、手の中に




4/14(日)
なななんと4月はじめての休日。数えたら昨日まで毎日職場に行っていた。ここまでよく頑張りました。
1時間ドライブしてじいちゃんばあちゃんちに向かう。預けていた荷物を引き取り、お昼ご飯を一緒に食べた。2人で散歩中に採ってきたふきのとうの天ぷら、仕事(80のばあちゃんは、「家にいると暇だから」という理由で週3で仕事をするパワフルおばあ!)の帰り道に咲いてたのを摘んできたという菜の花のおひたし、ニシンの煮付け。私からしたら超〜〜〜ご馳走。春の味覚定食にルンルンになっちゃった。全部美味しかった。
庭に咲いていた花をスマホで撮影したばあちゃんにラインの使い方を教えつつ、花のことも教えてもらう。春蘭とボケの花。春蘭の花が1番好きだと言うばあちゃんにどうして?と尋ねたらひょうひょうと濁されりして、何か思い出があるんだろうなぁと思う。孫に言うのは恥ずかしいような特別な思い出が、あるのかもなぁ。
そこから友達と合流し、わちゃわちゃと日曜の午後を満たす。結婚式を挙げる友達に贈るムービーを撮った。心の許せる人に久しぶりに会えたから嬉しくて嬉しくて、目には見えない尻尾をぶんぶん振り回す。私の尻尾は白くてふわふわであってほしい。飼っていたかわいいハムスターにそっくりな尻尾であってほしいよ。
帰り道に本屋さんで好きな作家の新刊を見つけた。
大人の良いところ、好きな本を好きなだけ買えるところ。



4/15(月)
お天気だし桜も綺麗だし、いつもより早く家を出て歩いて通勤した。小学生や高校生に混じって。
「♪1人登下校中 イヤホンの中は宇宙」とはよく言ったもので、今の私をほぼそのまんま歌ってくれているじゃん、とハンブレをBGMにご機嫌で歩いた。
職場の桜並木がとっても綺麗で、みなさん心なしか顔が綻んでいるようだった。昼過ぎに一度外に出たとき、桜の花びらがひらひら舞う姿も見かけた。
「♪桜散る 桜散る ひらひら舞う文字がきれい」
「♪桜の花が舞って この花よりもきれいな花になれたら良いな」
脳内ですぐに流れる尾崎さんと鮪さんの声。ひらひら舞う文字がきれい、と静かに呟いてみる。
音楽に生かされている。
仕事は相変わらずハードだった。1日が秒で過ぎていく。



4/16(火)
夜、若手の飲み会。飲み会といっても同世代は4人しかいないためその4人の集い。
まっすぐで真面目で感性が豊かなメンバー。社会人1年目2年目のぴちぴちの人たちなのに、とっても素敵な志を持っているように思った。こういう人たちと働けて良かった。激務だけど、前を向いて働く人たちに囲まれた環境に来れて良かった。と帰り道に月を見ながら考えた。ちょっとだけ酔った頭で。



4/17(水)
やっと水曜日か〜〜〜って話をしたら別の人に「1日1日が濃くて、まだ水曜?!と思っちゃいます」と言われた水曜日。情報量が多くて忙しない日々を送っているこの職場の人々は、時間の感じ方に差はあれどきっと濃い〜時間を過ごしているんだろう。
朝、桜並木の下を歩いて出勤していると小雨がパラつく。雨粒と一緒に桜の花びらも降ってくる。薄ピンク色の雨粒のようで、とっても綺麗だった。わ〜と見惚れてしまった。通る人の多くが上を見上げるあの光景、なんとも愛おしいね。
職場の桜は今日の雨を境に終焉に向かうんだろうな。毎日誰かしらが桜の花の話をしていてちょっとほっこり。 「桜は散り際も美しいね」って廊下で話した人が言ってた。
お昼ご飯を買いに寄ったコンビニで、3月まで住んでいたあの街の郷土料理が売られていてすぐさまカゴに入れた。古参者みたいな顔した割に一度しか食べたことない料理なんだけども。寿司屋のランチで食べたあの一皿への懐かしさも相まって、体にパワーがみなぎるのを想像しながら食べた。美味しかった。



4/18(木)
職場の飲み会。大勢でバタバタと仕事を残したままお店に移動し、賑やかな時間を過ごした。昼間は忙しいけど今だけは忘れちゃおうぜ!の意志を感じる。
私は声が小さいから、大勢の飲み会だとお酒をひたすら飲んでにこにこ笑っている他ない。話しかけられてそれに答えるとき、テーブルの向こうの皆さんがぐっと私の方に耳を寄せるのはもう慣れっこだ。
私より年下の子たちの個性が光る時間、魅力的なキャラクターが引き出される時間だったから良かった。私ってもう言うほど若くはないんだよな、そいえば今年で28か。


4/19(金)
目に見えるものでしか物事を考えられなくなっている。白か黒か、良いか悪いか、早急に対応が必要か後回しにできるものか。 交感神経がずっとずっとオンになっている。きっと目には光が入っていない。そんなの良くない。
出張で移動する往復1時間に(やっと座ってゆっくりできる…)と思えた。上司にもらった焼き菓子店のクリームコロネが美味しくて、溢さないようにうまく口へ運びながら優しさの味を噛み締めた。ご馳走様でした。
夜は旅人と再会。ハイボールで再会の乾杯。旅の経過をたくさん聞いて、環境がぐるりと変わった私のひと月のこともたくさん聞いてもらう。 会うのは2回目なのに、古くからの友達感覚で話が弾む。心がほぐれていく。不思議だね。この街の繁華街を歩く数回目の夜。


〆のコリアン

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