とある受験生の日記 2021/1/27

【ポスター発表の沈黙】


おはようございます。とある受験生の大越です。昨日の日記を書いていきます。

まず、放課後に行われた研究発表の練習会について。英語でポスター発表をすることに対して完全に意気消沈していた私だったが、個人的には今までの経験を生かして、できる限り相手に伝わりやすいように発表したつもりだ。とにかくゆっくり原稿を読んで、聴衆の反応をうかがっていく。

正直に言ってしまえば、発表自体は原稿をしっかりと読めば良いだけなので、対して難しいものではない。

問題はその後にある。

研究内容を一通り紹介した後、発表者が必ず言わなければいけないセリフがある。

「質問がある方は挙手をお願いします」

これ。このセリフを発すると、自然と身体が強張り、口内の唾液が一瞬にして乾く。

研究発表において、最大の敵。それは「質疑応答」である。今まで発表を聞いてくださった聴衆の方々から質問をもらい、その場で発表者が答えるという事をする。

発表者が自身の研究についてどれほど理解しているのか、聴衆は眼を光らせて観察する。

「この実験方法では、〇〇の考慮がされていないと思うのですが、どうお考えですか」
「どうしてこのような実験方法に至ったのでしょうか」
「『〇〇gのおもり』とありますが、この質量にした具体的な理由はあるのですか?」
「この実験に何の意味があるんですか?」
「そもそも、この研究の社会的意義はなんですか?」

上記のような言葉の矢が、発表者目掛けて飛ばされる。こういった質問の一つ一つに正確に答えられなければ最後、自身の研究の甘さを露呈することになる。

昨日の発表練習会でも、私はこれらの矢が飛んでくると予想していた。当初は質疑応答も英語で行うと思っていたが、さすがにそんなことはなかった。日本人である。母国語を大切にしよう。

「質問がある方は、挙手をお願いします」

……。

……。

誰も手を挙げない。同級生も、横で聴いていた先生方も、ただじっと立っているだけだ。

気まずい空気が漂う。

しばらくしたあと、実験装置の仕組みについて質問を頂いた。

それで終わった。普段なら質問が飛び交い、なんなら先生からポスターのダメ出しまで喰らうのがお決まりの流れなのに、あまりにも平和に時間が過ぎた。

発表が終わった後、聴いてくれていた同級生が感想を言いに来てくれた。彼は私と同じ部活に所属していて、そのため私の研究については既に何度も発表を聞いているはずだった。

彼は申し訳なさそうにこう言った。

「英語が全然分からなかった」

!!

私はその後すぐに他の発表を見に行った。英語で発表する人は、私以外にも沢山いる。

試しに、化学分野の発表を見てみた。

……。

なるほど。

英語がさっぱりわからん。

「なにか質問があればお願いします」

聴衆となった私は質問を求められたが、何も浮かばなかった。だって、ポスターのタイトルからして知らない単語が使われている。

私の脳みそはすぐさま縮こまり、考える事を放棄した。

私が発表していたときも、きっと同じだったのだろう。あの場にいた誰しもが、「分からん!」と諦めていたのだ。

英語の恐ろしさを知った。

日曜の本番に向けて、まずは研究を理解してもらえるように、調整をするつもりだ。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

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