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「インフルエンサーマーケティング」を実施するうえで超える壁──(ワコール 池野靖典さん×UUUM 市川義典)

こんにちは!UUUM noteです。UUUMが企業様向けに実施しているセミナーのひとつ「Influencer Marketing Day」。今年3月にそのvol.2をオンライン開催し、株式会社ワコールの池野 靖典さんをお迎えして「『インフルエンサーマーケティング』を実施するうえで超える壁」をテーマにお話しいただきました。本セミナーから、池野さんとUUUM 市川 義典によるトークセッションのダイジェストをお届けします。

(写真右)池野 靖典さん:株式会社ワコール マーケティング企画部 ウエルネス販売促進課
(写真左)市川 義典:UUUM株式会社 常務執行役員

Q1.  なぜ社内調整をしてまで、インフルエンサーマーケティングを実施しようと思ったのでしょうか


(市川)

(トークセッションの前、池野さんの講演パートを受けて)池野さん、非常に刺激的なお話をありがとうございました。このトークセッションでは、より深く聞かせていただきたいことなどを、お話しいただける範囲で伺いたいと思います。僕からいくつか質問をご用意しましたので、ひとつずつ伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。

(池野さん)
お願いします。

しっかりとしたスキームを作って今後も活用しようと


(市川)

「なぜ社内調整をしてまで、インフルエンサーマーケティングを実施しようと思ったのでしょうか」
具体的に「こんなことがありました」とか「こういうことがきっかけだったんですよね」といったようなお話があればぜひお聞かせください。

(池野さん)
あ、これ面白そうだな」というのが、最初のきっかけだったと思います。
さらにいうと、社内であまり着手できていない部分だったので、しっかりとしたスキームを作ってしまえば今後も活用できるというところ。また、この効果を継続することによって他のブランドにも波及させることができるだろうなという考えもあって、しっかりと取り組んでみようかなとスタートしたというのがきっかけです。

(市川)
インフルエンサーマーケティングに限らずですよね、社内調整というか、進めるために行うべきことってたくさんあると思います。僕は承認する側の立場のときもあるので、いま見ている弊社メンバーには「お前が止めてる」と言われちゃうかもしれないですけど(笑)。調整できる土壌、環境を作ってあげるということも会社として必要なことだなと、その側面でも痛感しながら聞いていました。

(池野さん)
僕らは課題をいっぱい持っているので、広告代理店の方などにいろいろ相談するんですね。そうすると、これまでの僕らのことをよく知っているので「合いそうなもの」という趣旨で提案していただくことが多いんです。
UUUMさんからお話をいただいたのは、新しいことを求めていたタイミングでしたので、そういう意味ではタイミングもよかったと思っています。

知らないことが悪いことなのではなく、前向きにとってもらえるように


(市川)

お話しいただける範囲で、特に苦労されたポイントなどはありましたか?

(池野さん)
まず「インフルエンサーマーケティング」というワードを上位層に伝えることが難しかったですね。
言ってしまっていいのかわからないですけど、事実として、当初はイメージが、上層部にはあまり良くなかったようなんです。「好きなことをやっている人たちだよね?その人たちにブランドのこと語らせていいの?」というような感じで。
誰を起用するかについては、もちろんブランドの意向に合わなければならないですから、きちんと選定したうえで「こういうことをやろうと思ってるんです」を理解してもらうために社内を説得するのが、やはり、一番苦労しましたね。

(市川)
その説得には、なにかポイントがあったんですか?これを伝えることによって理解が進んだということはありましたか?

(池野さん)
たとえばなんですけど「このインフルエンサーさんです」と言ったときに社内の上層部が知らないんですよね。「若年層に大人気なんですよ、うちの誰々も知ってます」と若い社員を指して、身近にも知っている層がいるんですよという空気をちゃんと伝えていくというのは、奏功したかなと思っています。
また、「知らないですか、それはそうですよね!実はこういう人なんです」というように、知らないことが悪いことなのではなく、前向きにとってもらえるように調整していきました。

(市川)
インフルエンサーマーケティングに関して、懐疑的だったところから、可能性を感じていただけるように変わられたような方もいらっしゃったんですか。

(池野さん)
はい、うちの会社のいい気質だと思いますが、一回良いなと思ったら、結構考えを変えてくれる人が多かったんです。
例えばですけど、タイアップ動画の撮影に立ち会った上位層のひとりは「こういう感じでやるんだね!」とか。また、そのタイアップ動画を見たほかの人も「たまたまYouTubeを見てたら出てきたんだよ。俺もこういうことに可能性があると思ってたんだ」と声を上げてくれたりしたので、そうした声がつながっていったのはよかったです。

(市川)
僕も、弊社に入ったきっかけでもありますが、ものづくりをするときに自分自身が楽しいと思うことはすごく重要だと思っているんですね。
たとえば、クリエイターが大好きな商品やブランドと一緒にお仕事をできるときに、僕もそのタイアップの現場に立ち会えるだけでも幸せな気分になったりします。その好きとか楽しいといったものが、クライアント企業様の社内の方々にも伝播していくことによって、より良い結果につながると思うんです。

(池野さん)
そうですね。動画を見て「こんなに細かいところまで語ってくれた」というようなことも、上層部もやはり嬉しかったみたいです。
僕らがPOPなどで説明するとき、どうしても限られたスペースでポイントだけになるんですね。POPでは伝えきれない細部のこだわりの部分を代わりに言ってもらえるというのは、やはり評価高かったですね。

ちなみにこちら、ワコールさんのCW-Xインフルエンサー施策のひとつとして実施された、YouTubeチャンネル「sasakiasahi」でのタイアップ動画です


Q2.  インフルエンサーとのリレーションに関する施策も実施していますか?


初めて履くと結構衝撃を受けることは多いようでそこで次もまたぜひと


(市川)

ありがとうございます!続いての質問にいかせていただきます。
インフルエンサーマーケティングを進めていくにあたって、インフルエンサー自身にとっても「好き」というようなエンゲージメントを高めていくことがすごく重要だと僕は思っています。インフルエンサーにブランドを好きになってもらったり、商品を知ってもらったりというような、リレーションを取る施策としてなさっていることはありますか?

(池野さん)
実際の商品を使ってもらって、商品の機能や背景を伝えるようにしています。また、インフルエンサーさんによっては、オリジナル商品やオリジナルカラーを作ったり、あるいは、展示会にご招待してブランド全体としてのお話に参加いただける形を用意したりといったことを実施しています。
仰る通り、やはり好きになってもらうのは重要だと思っています。エンゲージメントが高い状態にないと「言わされているのかな?」と思われてしまいかねないので、できる限りのことをしていきたいと思っています。

(市川)
インフルエンサーマーケティング以前に、アスリートの方々に関してもそこは同じことが言えますもんね。

(池野さん)
そうなんです。着用したことがない方が初めて履くと結構衝撃を受けることは多いようで、そこで次もまたぜひと、エンゲージが高まるのかなと思っています。

(市川)
アスリートの方々が実際に使って、機能面で実感することというのは多くあると思うんですけど、そういうことを受けて、商品開発やプロモーション設計を変えたようなケースはありましたか?

(池野さん)
たとえば契約をさせていただいている、イチローさんに関してはすべてオリジナルのモデルになっています。試合ごとに新しい物をご用意してお渡ししています。イチローさんからの「もっとこういう機能があった方がいいな」とか「こういうところが大事なんじゃないか」という意見も、商品開発に取り入れております。
プロモーションに関しては、既存商品のオリジナルデザインなども、今後やっていく予定です。

(市川)
そういうお取り組みってファンとしても消費者としてもすごく、安心感につながるでしょうし、プラスに働くと思っているんですけども、インフルエンサーともそういった可能性は今後ありそうですか?

(池野さん)
正直、相手にもよるでしょうし、取り組みの内容にもよるとは思います。
やはり限りある原資の中で選択させていただきながら、目的に応じてやっていきたいなとは思っています。

その不満はたぶん、商品を好きな人に共通する不満でもある


(市川)

そのときの選定のポイントはどんなところでしょう?

(池野さん)
やはりどれだけうちの商品のこと好きかというのが、基準として高いものになるんじゃないかなと思っています。

(市川)
前回vol.1のときにもお話ししたんですが、この数ヶ月、僕がクライアントさんとお話させていただくとき、エンゲージメントの話が本当に増えたんですよ。「市川さん、この商品が本当に好きな人を選定してほしい」とか「このサービスを気になっている人をリストアップしてほしい」といったお話ですね。
その「好き」について、どういうことから「この人はこれを好きであろう」と思っていただけるんでしょうか?

(池野さん)
一概には言えないんですけど、たとえば、めちゃくちゃ熱く語る方。僕らが全然知らないような過去のモデルの話とか。やはりそういうお話をしてくれる方は、本当に好きなんだろうなと思ったりします。
また、うちの商品の場合、新商品として機能がどんどん追加されていくものではなくて、長い時間をかけて開発をしていくものです。そこに対する不満も含めて結構はっきりと言ってくれる方ですね。好きだからこそ、肯定的な意見だけでなく、批判的な意見もちゃんと言ってくれるような熱い方が、僕らの「好き」の基準みたいな感じになっていますね

(市川)
そうですよね。僕も施策でご一緒した方に、良かったよって言っていただけるのはすごく嬉しいんですけど、良かったよだけ言われたときって少し不安にもなるんですよ(笑)
市川さん、この部分が課題だったから次こうしたいね」って言っていただくと、すごく次に向けてのやりがいにもなりますし、改善しなくちゃいけないなと思います。そういうことをはっきり言ってくださるということは、逆に相思相愛の関係になれる可能性を感じます。

そういうことからも「好き」や「エンゲージメント」がより重要視されるような時代になったと思いますし、逆に、その課題をぶつけてくれるようなインフルエンサーというのもすごく重宝されるような時代になったんじゃないかなと思いますよね。

(池野さん)
やはり、良いことだけじゃなくて悪いところも一緒に考えてくれる人の方が、PDCAを回しやすいなとも思っているので、お互い良いところ悪いところ言いあうのがいいんじゃないかなと思っています。
ただ、言われて心が痛くなるようなのだけは(笑)そういう言葉だけは気にして頂けたらなとは思いますね。

(市川)
インフルエンサーの皆さん、そこは気をつけましょう(笑)
ただ、インフルエンサーからしっかり課題として伝えた点が、改善されたりしたら、さらに商品のファンになっていきますよね。

(池野さん)
それに、その不満はたぶん、商品を好きな人に共通する不満でもあると思うので、機能の部分とか素材のところとかについては、真摯に受け止めるべきと思っています。

Q3.  インフルエンサーマーケティングの課題、修正点を感じている部分があれば教えて下さい


動画が残っていったときにも、それはちゃんと伝わるのかな?


(市川)
さて次の質問です。「インフルエンサーマーケティングの課題、修正点を感じている部分があれば教えて下さい」さきほどもお話ししましたが、ここ、ほんと僕知りたいんですよね!

(池野さん)
メンバーとも少し話していたんですけど、テレビCMの場合は契約期間が終わるとなかなか見られないものになる。インフルエンサー施策の動画の場合はずっと残り続ける。これは僕らとしても非常に有難いな、と。

一方で、いろんな人が検索する何らかのキーワードによって、その動画が出てくるようになると思っているんですけど、動画タイトルに商品名が入らないことも多いじゃないですか。
この商品のことを知りたいなという人が検索しているのに、全然違う内容に見えてしまうタイトルだと、これはこれで動画が残ったときに分かりにくいんじゃないかなと思ったりはします。動画を公開するタイミングでは、惹きつけるタイトルがどうしても要るんだろうなあとは思うんですが、その後残っていったときにも、それはちゃんと伝わるのかな?というのはひとつ課題かなと思っています。

あとは、僕ら自身が良いインフルエンサーさんとどう巡り会うかですね。
ブランドのことを好きな、僕らとも、ユーザーさんともエンゲージメントの高い方を、僕らがどう探せるか、出会えるかというのが、結構大きな課題だと思っています。

(市川)
「好き」だけでなく「気になっている状態」のときにご一緒することによって効果をもたらすこともあったりするんですね。たとえば、開発者の方やマーケティング全般の設計をなさっている方とお話しさせていただいたり、時には、工場見学などもすごくプラスに働くこともあります。そういった、インフルエンサーとのコミュニケーションを重視した取り組みなどもありますか?

(池野さん)
まだ始めたばかりということで、そこまで行き着いていないなと思っています。ただ、これからその部分にも取り組んでいきたいと思っているので、考えていきたいなというところですね。

どういう情報発信をしたらこれを伝えられるんだろうか


(市川)

ありがとうございます。ちょっとここで宣伝みたいになりますけども、僕もCW-X使わせていただきまして。

(池野さん)
ありがとうございます。

(市川)
テーピング原理ですよね。皆さんもぜひ使っていただきたいです。そして、使って初めて知るものもすごく感じたんですけれども、インフルエンサーがどういう情報発信をしたらこれを伝えられるんだろうかというのもひとつの課題だと思っています。うちのメンバーもよく頭を悩ませるんですが、たとえば、ベースメイクなど、肌に合うか合わないかというのをどう表現するかというようなことです。人によると思いますし、機能訴求をしたいとき見た目じゃわからないこともありますし、食品の場合も、本当に美味しいという表現をどこまでできるかというような。

(池野さん)
そうですね。

市川)
クリエイター・インフルエンサーの皆さん、俳優さんのように演技に長けているわけではないので、本当に美味しければそれが表情に出ますし、そういった表情が出るとすごい効果につながったりするのが僕は面白いところだと思ってるんです。裏を返すと、そういう設計をきちんとできないと、なかなかクライアントさんが望むような効果にも繋がらないこともあり得るので、僕側から見たときの課題だと思っていました。

(池野さん)
仰る通り、その変化がすごく大事なんだろうなと思っていて。
本当はロングスパンで「使ったことない人が使ってみた」からどう変化していくのかというのまで見せられると、もしかしたら「こんなに良いのか」っていうその衝撃の部分が画として撮れるのかもしれないと思ったりもしますね。

(市川)
あともう最終的には、直接的に商品紹介をしなくても「ずっとこの人はこの商品を使っているな」って視聴者が思ってくれたときはすごく大きいですよね。

(池野さん)
めちゃくちゃ嬉しいですね。たまにユーザーさんの中にそういう方がいらっしゃって。投稿キャンペーンなどのとき、その方の投稿がすっごくあがってくるんですよ。たぶん好きすぎてずっと使っているんだろうなと。なのでそういう方を追いかけるというのもひとつの方法かなと思いますね。まだ全部手探りな状況ですが。

こちらもCW-Xのタイアップとして「UUUM GOLF」で公開した動画です


Q4.  今後しかけてみたいインフルエンサーマーケティングがあれば教えてください


複数の会社で大きなモーメントを作れると面白いだろうなと

(市川)
もちろん僕らとしても、ぜひ引き続きよきお取り組みを実現するためにもヒントを頂ければと思うんですが。
今後しかけてみたいインフルエンサーマーケティングについて、考えていらっしゃるものがあればぜひ教えてください。

(池野さん)
はい、若干、夢物語的なものにもなるんですけど(笑)
一社でインフルエンサーさんと一緒にやっていこうというのもひとつの方法だと思っていますが、複数社で網羅するようなことができないかな、と思っています。

例えば、弊社のCW-Xと、他の企業のどこどこさんと、インフルエンサーの方とでトリプルネームみたいな感じでやれたら、ちょっと違う角度から大きなコミュニケーションができるんじゃないかなと思っているんです。
もちろん、その企業さんの考え方もあるでしょうし、うちのブランドのスタンスというのもあるので、ちゃんとマッチできるようなかたちで。
複数の会社で大きなモーメントを作れると面白いだろうなと思っています。でも、僕らもどう声かけていいかも分からないし、そもそもツテがなかったりもするので。もしよろしければ、ぜひお問合せ頂ければ助かります。

(市川)
そのときはぜひうちもお問い合わせお願いします!すごくマッチしそうな企業様も具体的に思い浮かびますし。ヒットするコンテンツの中にダブル、トリプルといろんなブランドさんが混じっていいと思ってるんですよ。
まあ、クライアントさん、ブランド側からしてみると、それはまだ難しいかなとおっしゃる方も多い気もするんですけれども。
現状は、インフルエンサーマーケティングに「ダブルブランド」の規制はないですので。うまく活用したプロモーションができれば、すごく面白いことをたくさんできそうだなと思いますね。

(池野さん)
企業だけではなく、国や自治体の取り組みに協賛などの形で関わることもありますが、そういう場面でもプロモーションの話ができると、インフルエンサーの方にとっても地域貢献につながりますし、色々な可能性があると思っているので、実現したら面白いだろうなと思っています。

(市川)
そういった仕掛けを推し進めるときの社内調整ってどうなるんでしょう?

(池野さん)
うーん、どうするんでしょうね(笑)たぶん、相当上の人たちを引っ張ってこないといけないでしょうし、こちらで考えたストーリーがどれだけ良いことかというのを、時間をかけて根回ししておく必要があると思います。そのうえで、自治体や企業さんとも手をにぎる場を設けなければならないので、多くの方々を巻き込んでやっていかないと進まないだろうなあと思います。


企画の社内調整について


(市川)

その巻き込んでいくということに関連すると思うので、もう少し伺わせてください。
ワコールさんからCW-Xの与件を頂いたときに、うちの担当がさまざまな角度から考えたんですが、その中で「このアイテムは、釣りのときにもいいな」とか「キャンプにも」と「いろんなシーンで使える!」というコンテンツの案も浮上したんですよね。
インフルエンサーの企画コンテンツでは、メーカーさんが特に推奨していないようなシーン訴求を盛り込むことで、結構プラスに働くことがあるんです。とはいえ、開発者からしてみると「そんなことで使ってほしくない」ということも起きると思うんです。
そういったことの調整について、アドバイスがあればいただきたいんですがいかがでしょう?

(池野さん)
CW-Xについていえば「絶対にダメ」はいくつかはあるんですけどあまり大きな制限はないと僕は思っています。もちろん、使用用途とまったく違う使い方をされるとなると「それは映して欲しくないなあ」となりますが、そうでなければ、お客さんがどう使ってるかというのが、ちゃんとコンテンツに出てくれば、基本的には問題ないと思っています。

ケースバイケースだと思いますので、まずは提案をいただいて「これはちょっとさすがにまずいな」という時は通せないし、「これは通せるだろうな」と判断したら、通すための努力をします。
なので、具体的な提案を頂いた段階では動けるんですけど、ものを見てない時点ではちょっと判断しづらいでしょうね。

(市川)
なるほど。では、そういった企画内容についての社内調整にはどれくらいの時間が必要になりますか?

(池野さん)
倫理上問題になるような内容はまずだめですが、そうでなければ、商品部長やキーマンに話をして「いいやんそれ」という話ができたらすぐだと思います。もちろん、ケースバイケースという前提になりますが「この企画面白いんでこれ通しましょう」で合意できたらすぐいけるんじゃないかと。

(市川)
だそうです。いまここにうちの担当がおりまして(笑)

(池野さん)
あ、怖いですね(笑)


Q5.  ずばり伺います。懐疑的だった方々を見返せましたか?

言うたやろ、俺がOKしたからやんか


(市川)
「見返せましたか」って変な言い方ですみません(笑)
今日は、池野さんにインフルエンサー起用の際の「社内の壁」を超えるためのヒントをいろいろといただきました。結果、インフルエンサー施策に懐疑的だった方々を含め、社内の方々からはどんな反応が返ってきたんでしょうか?

(池野さん)
実際、まだ全部が納得いくようなものではないと思っていますが、反応としては「ようやったな!」という言い方ではなく「言うたやろ、俺がOKしたからやんか」と(笑)「いや、あんなに否定してたやん」って僕は言ってますけど(笑)

(市川)
どういうところが良かったと言われるんですか?

(池野さん)
社内の他ブランドも含めた上層部同士で「なんかこんなんやってるらしいやん、俺見たよ」という話が出るようなんです。「こういう面白いことやってるんだね」と良い評価として耳に入るみたいで、すごく喜んでいました。

(市川)
「ここはこうした方がよかったんじゃない?」というようなご意見はどうでしたか?

(池野さん)
いや、実際そこはあんまりないんですよね。ただ、「あれで売り上げは上がったの?」や「ホームページのアクセスがどうなった?」という質問が多かったらしく、僕、その説明するための資料をいっぱい作りました(笑)非常に良い結果が出ていたので「前年を大きく超えてますよ」とか「売上でいうとこうなっていますよ」と。やって終わりではなく、実施後も状況をしっかりと把握することは重要だと考えているので、その情報をきちんと返せたのは良かったなと思っています。


目的によってKPIをきっちり変える


(市川)

そうですよね、ホームページ流入というようなKPIを設定するには、インフルエンサーを起用したメディアの掲載などもある方がいいと思いますし、KPIも案件ごとに変えなければならないですね。

CW-Xのサイトではこのようなページも設けられました

(池野さん)
変な言い方かもしれないですけど、全部ホームラン打つのは難しいですからね。僕らの場合、4本作るとしたら3本は手堅く、1本はチャレンジぐらいのイメージなんですよ。その1本のチャレンジというのは、まったく関わってきていないインフルエンサーさんをアサインするみたいな感じです。「どんな反応すんの?」と。結果、相対的に再生回数が低く出ても、アンケートの応募者の新規率が激高だったんですよね。ということで、新しい方々にはリーチできたんじゃないかという判断をしていました。
動画の再生回数だけではなく、目的によってKPIをきっちり変えるべきだし、変えたKPIをちゃんと見ないと、良かった悪かったの話はなかなか難しいのかなと思っています。

(市川)
ありがとうございます。また引き続きご一緒させて頂ければと思っております。

(池野さん)
たぶん、メーカーさんが求めていることと、制作会社や関係部署とか協力会社の方々がやっていきたいことがすべてマッチするのは、なかなか難しいと思っています。今日僕はメーカー側の立場として話をさせてもらいましたが、結果、まだまだこれからだと思っているので、ぜひ今後も協力頂きたいです。
また、同じような悩みをメーカーの方々は持っていると思うので、どうすればその壁を崩せるのか、今日のような、一緒に考えられるような場を作ってもらえると、僕らとしてはやりやすくなりますので、これからもお願いします。


質問コーナー


(市川)
ありがとうございます!では、あと15分くらいお時間ありますので、視聴していただいている皆さま、質問がありましたら、ぜひチャットに打ち込んでください。あ、きましたね。

「動画タイアップ施策は施策のひとつ」と仰っていましたが、具体的に組み合わせた施策を教えてください

という質問を頂きました。ありがとうございます。組み合わせて実施された施策などありますか?

(池野さん)
インフルエンサー施策というと、動画タイアップやSNSだけではないですよね。うちのブランドでは「口コミ」も非常に大きいんです。先生や趣味の教室などで情報交換をされるという場面が多いんですけれども、商品提供して、趣味の教室の先生から教室で伝播してもらうというのも同時進行でやっています。
そこは売上の効果というのはあまりなかったんですが、親和性は高まったと思っています。そういう意味で、インフルエンサー施策の中で、デジタルの動画タイアップと、口コミという従来型のリアルのもの、ふたつを走らせていたということになります。

そこで、難しいなと思うんですけど、ウェブ広告も含め、普通にブランド主体で発信することも同時にやっているので、メーカー発信の話と、第三者であるインフルエンサーさん発信の話が重なることになります。まだスタートしたばかりと思っているので、これからいろんなデータを膨らましていきたいと思っています。

(市川)
ありがとうございます。
ちなみに、弊社でも総合的にプランニングをしていく上で、デジタル同士の掛け合わせは、もう間違いない施策の取り組み方だと思うんですね。
一方で、店頭での二次利用やOOHの展開も、うちのメンバーからご提案して決めてくることがけっこうあるんです。リアルも絡めたソーシャル施策もすごく相性が良いなと思うことが増えてきたと感じていましたので、少し補足でお話しさせていただきました。


(市川)
では、ふたつめの質問をいただきました。ありがとうございます。

池野さんの説明資料中、KPIのひとつに広告換算費がありましたが、具体的にどのように算出されているのでしょうか

ということでございます。

(池野さん)
これで合っているかどうかはわからないですけど、普通に、動画の1再生回数をなんぼって決めて、その再生回数いったらなんぼペイした、という考え方をしています。さらに、経費を差し引いています。
予想以上に回れば広告換算費は上がったとなりますし、予想よりも下回ると換算費は悪いことにはなるんですけど、かけた経費よりは良かったという判断をするという考え方で点数化しています。

(市川)
そういった広告費換算は、インフルエンサーマーケティング以外の施策では、PR会社さんがなさっているんですか?

(池野さん)
はい、他のブランドなんですけど、1リーチをどう考えるかにもよるんですけど、PRネタのときは、どこかの媒体に出稿すれば普通はなんぼかかるよね、というのに対して、かけた経費で、一応、ROAS(Return on Advertising Spend)みたいな感じで計算はしていますね。

(市川)
何か「してやったり!」というような広告換算になった施策ってあったんですか?

(池野さん)
僕は他のブランドも担当していまして、その中のひとつのブランドではPR会社さんがPRシートをメディアに配信して記事化してもらう取り組みをしていたんですけど、それに関しては、最終的にはテレビで取り上げられたので、広告換算費で言うとすごい額いきました。

(市川)
それはどんな形だったんですか?

(池野さん)
番組で取り上げられたんですが、5分くらい流れたのと、ゴールデンの時間だったので、かけた経費を考えたら、何十倍っていうレベルになりましたね。

(市川)
それでは、みっつめのご質問ですね。ありがとうございます。

インフルエンサー施策をセールスに理解してもらい、商談にうまく活用してもらえるように取り込んだことがあれば教えてください

ということでございます。

(池野さん)
やはり、セールスマンに動画を見てもらうのが早いですね。

それから、動画を店頭に配布して小さいモニタで流すという形で二次利用させていただいているんですが「これを実施した店舗では売上が前年の113%、実施していない店舗で102%と、11ポイントくらい差があります。アイキャッチとしての効果もすごかったんです」といういう資料も、こちらでまとめて、商談用に渡すというのを、今後やらないといけないなと思っています。
そういう説明は会議の場で口頭ではしているんですけど、資料としてはまだ渡してはいないので、これからやっていく感じですね。

(市川)
5年ほど前に伺ったお話を少しご紹介させてください。
とある消費財メーカーさんなんですが、営業マンに若い方が増えてきたと。若い営業マンが「テレビで3,000GRP(延べ視聴率)打ち込むので棚に置いてください」とセールストークをするわけですが、若い方になればなるほど自宅にテレビがない。だからセールストークがごにょるらしいんですね(笑)

(池野さん)
なるほど。

(市川)
そんなときに、その企業さんとお取り組みさせていただきまして。3,000GRPじゃなく「1,000万フォロワー、ソーシャルでやります」という言い方をしたら若い営業マンの方がすごくモチベーションが上がったらしいんですよ。自分たちの感覚に近い換算数値をセールストークに使えるということを示してあげたら、営業効率が上がったということなんですが、そういうことも考えなくちゃいけないんだなという意味で、印象深いお話でした。

(池野さん)
極端な話ですけど、「こういう施策やるよ」って言うと、セールスマンの中でも若い人は「あ、いいね」って反応があるんですけど、年配の方には「CMの方がええねん」ってよく言われてしまいますね。

これも先ほどのお話と一緒で、丁寧な説明が要ると思っていて、あまり難しい言葉を使わないようにしています。言い方的には「YouTubeの人気の方が」とか「これが店頭でこうやってできます。だからCMと同じようなものです」と僕らは言っています。
また、「それが個人の携帯で見られるようになっているんです。よく見ますよね?動画とか」っていう話に持っていくようにもしています。

それでも、全体設計を見せるのは難しいですね。動画によって店頭に人が来るよという設計がなかなか理解してもらいにくいんです。「Eコマースには行くだろうけど、店頭には影響ないじゃん」と言われちゃうことも多くて。
Eコマースに行くのももちろんあるんですけど、動画にタッチした人が店舗で見たときに「あ、動画で見たのはこれだ」と思ってもらうことが結構大事です。
また、先ほどもお話ししたように、うちは機能性商品で履いてもらうとわかるんですけど、履くまでのハードルが高いので、だいたい皆さん現物を触られるんですよね。触るには現物がある店頭、そういう意味で店頭に流れるんです。という流れの説明をなるべくするようにしています。

(市川)
流通さんの商談会などに投稿前の動画を持っていきたいという営業マンもいらっしゃったりしますが、そういう新しいものにチャレンジする姿勢がうまく働くようなときもありますよね。
全部が全部正解とはならないでしょうけれど、従来のやり方を少し崩していったり、チャレンジするというところは、僕ら提案する側にとっても、すごく重要な要素のひとつだなと思い出しました。ありがとうございます。

(池野さん)
セールスマンはやはり「武器が欲しい」と思っているので、その武器をどれだけ用意してあげられるかというのが、僕らにとっての大きな課題になります。
武器を持って商談すると良い場所が取れて、結果成功するとまた積極的に動いてくれますが、武器の無いところで商談せえってなかなかハードルが高いので、そういう意味では、事前に映像を見せられるようにしたりとか、施策の目的などを資料として渡してあげるというのも必要なことなのかなと思っています。

(市川)
さて、ご質問はここまでとさせていただきます。
オンラインでご覧頂きました皆さんにも「そうだよな」「どうしようかな」と思っていただけるようなお話がふんだんにあったと思います。池野さん、本日は本当にありがとうございました。

「Influencer Marketing Day vol.2」トークセッションダイジェストはここまでです。UUUMは、これからもインフルエンサーマーケティングのヒントとなるような情報共有や交流の場を通じて、クライアント企業様に貢献してまいりたいと考えております。オフライン開催できる日が楽しみです!今後もぜひご期待ください!
池野さん、ご登壇ありがとうございました!

今回も UUUM note を読んでいただきありがとうございました。よろしければフォロースキ(ハート)をいただけると嬉しいです。フォローしていなくてもスキは押せますのでぜひぜひ!

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