見出し画像

オリンピックで訪日客は増える?増えない? 週刊インバウンドニュースマガジン12月1週号

この記事は、株式会社MATCHAが毎週送付しているメールマガジン「週刊インバウンドニュースマガジン」の内容を転載したものであり、内容はメールマガジンが配信された時点のものです。メールマガジンの受信を希望される方は、こちらで登録を行ってください。その他のお問い合わせはこちらへ。

みずほ総研が2020年の宿泊需要を予測。訪日客の急増は起きない見込みか?

画像1

過去のオリンピック大会では、開催年にインバウンド客が急増した例は少ない。みずほ総研レポートより

11月29日、みずほ総合研究所が「2020年東京五輪開催年のホテル需給の試算」を発表しました。

参考ニュース:みずほリポート 2020年東京五輪開催年のホテル需給の試算

インバウンドに限らない、日本全体での宿泊需要を試算したもので、注目は以下の3点です。

1.訪日外国人予測は政府目標を大きく下回る3400万人
2.オリンピックを理由とするホテル不足が起きる可能性は低い
3.日本人客の需要増による宿泊需要予測全体の上方修正

1.については、韓国を始めとする東アジア諸国の旅行者が東南アジアなどへ旅先をシフトしていることを理由として上げています。

わたしたち日本のインバウンド事業者は、今後ますます、世界に目を向けて旅行体験を設計する必要があるということでしょう。

2.については、過去のメルマガでも言及しているように、ここ最近の急速なホテル供給増が理由として挙げられています。

3.については、日本人客の需要増が見込まれることから、訪日客数予想の下方修正を相殺しているとのことです。

個人的に興味深かったのは、オリンピック期間にインバウンド客は急増しないという予測です。

レポートによると、そもそも過去の大会では、期間中自国民の宿泊需要が急増。宿泊・交通費用も急増し、インバウンド客が開催国の訪問を避ける傾向にあったようです(クラウンディングアウト効果)。一方で、一部懸念されているオリンピック以後の訪日旅行者急減も同様に可能性は低いとしています。

観光庁がスノーリゾート形成を支援。欧米からのスキー客増がトレンドになるか

画像2

11月28日、政府の観光戦略実行推進会議において、観光庁から将来的にスノーリゾートづくりを進める方針が示されました。

全国10〜15箇所を公募により選定し、財政支援を実施。長期滞在ができるスノーリゾートの開発を目指します。

そもそも日本は、雪質に優れたスキー大国であるにも関わらず、訪日客向けの整備やPRが不十分であるという課題が、以前より叫ばれていました。

中国を除く東アジアからの旅行者増加が頭打ちになって来ている中、欧米からの旅行者を集めることは将来の訪日マーケットづくりの欠かせない柱となるでしょう。

JNTO特別顧問のデービット・アトキンソン氏も様々な場で1.欧米客の集客増2.そのためのスノーリゾート整備の必要性を発言しており、政府がこの方針を来年度以降さらに強く押し進めるのではないかと、個人的に予測しています。

MATCHAが訪日客向けリサーチサービスをリリース。メディアを利用して訪日客のニーズを把握

画像3

訪日メディアMATCHA( https://matcha-jp.com/jp/ )が、読者である訪日旅行者に対するアンケート機能・サービスのリリースを発表しました。

日本最大級の訪日メディアであるMATCHAは、月間300万人以上のユーザーを抱えており、そのほとんどがリピーター層を含む訪日客です。

本サービスでは、サイトを訪れるそういった訪日客に対し、ブランド認知や旅のニーズなどを質問することが可能です。

アンケート質問例:
「○○を知っていますか?」
「○○のことが好きですか?」
「好きと答えた方はその理由を教えてください」
「○○を購入するためにはいくらくらいの金額を支払えますか?」
「△△県で知っている観光地はどれですか?」

上記のような質問を収集すると共に、回答者の国籍・年齢ごとの傾向、「質問Aでαと答えた方の、質問Bの回答傾向」などをレポートすることも可能。

回答者のほとんどが訪日客・潜在的訪日客だと考えられるため、単なる外国人へのアンケートよりも精度が高く、さらにリサーチ会社の同様のサービスを依頼するよりも安価に実施することが可能です(15万円〜)。

\インバウンドのご相談はこちらへ!/
\会社資料はこちらへ!/

アメリカ誌「ナショナル・ジオグラフィック」が、2020年のBest Tripsに東北地方を選定

画像4

アメリカの科学雑誌「ナショナル・ジオグラフィック」が、2020年に世界で訪れる旅先「Best Trips」として25のディスティネーションを選定。その中の冒険部門で日本の東北地方が選ばれました。

「ナショナルジオグラフィック」が選ぶ 2020 年の Best Trips に「東北」が選ばれました! (一般社団法人 東北観光推進機構)

ユニークだと感じたのは「オリンピックの混雑を抜け出して自然を体験できる場所」と紹介している点。豊かな自然資源だけでなく、東京からのアクセスも評価されているようです。

前述のニュースで、オリンピック期間は日本人客の急増で訪日客は日本(都心)を避ける可能性がある、ということを述べさせていただきました。

その場合、もしかすると東北・中部・東海地方などの関東周辺の地域に商機が見えてくのかもしれません。

とはいえ、東北地方の認知が広がっているかと言うと、そういうわけでも無いようです。

日本政策銀行の調査によると、アジアの旅行者に聞いた東北の認知度は11.6%と前回調査時の10.5%に比べて微増。

決して少ない数値ではありませんが、政府や民間によるここ数年の東北PR事業のことを考えると、思うように認知度拡大は進んでいないと言わざるを得ません。

オリンピックを契機にこのような状況に変化が起きることが期待されます。

その他の注目ニュース

最後に分量の関係でご紹介できなかったニュースや、時期的に最新ではないものの抑えておいたほうがよいニュースをまとめてピックアップします。

楽しんで学べるインバウンドクイズ!

画像5

インバウンドの知識は、わかっているようでいざ聞かれてみると意外と抜け落ちているもの。このコーナーでは毎週1問、インバウンド担当者ならぜひとも知っておきたいインバウンドの基本知識を出題します。

回答は翌週のマガジンでご紹介しますので、ぜひチャレンジしてみてください!

質問:2018年の訪日客の内、昨年度比の増加率が最も大きかった国はどこでしょう (難易度★★★☆☆)
JNTO 日本の観光統計データによる
※上位18カ国に限る

選択肢:
1.中国
2.タイ
3.ベトナム
4.ロシア

↓こちらに回答すると、他の人の回答割合がわかります!↓
http://www.benchmarkemail.com/Poll/Vote?g=8167&id=1073498&w=220

--------------------------------先週の答え---------------------------------
さて、先週の答え合わせをしてみましょう!
「以下の都道府県のうち、欧米豪からの旅行者の割合が一番大きいのは? (難易度★★☆☆☆)
という問題に対し、答えは……

3.広島」でした!!

観光庁の宿泊旅行統計調査 (平成30年・年間値(確定値))によると、広島県を訪れる訪日客のうち、欧州・アメリカ・オーストラリアの旅行者を合計した割合は41%。他の地域の旅行者構成と比べると圧倒的に欧米豪の旅行者が多いことがわかります。なお、欧州とアメリカだけの合計は33%でした。

その他の選択肢に取り上げた地域も、訪米豪の旅行者の割合が多いことで知られています。

京都は欧州・アメリカ合計で28%(オーストラリアはその他に含まれる)
東京は欧州・アメリカ合計で22%(オーストラリアはその他に含まれる)
栃木は欧州・アメリカ合計で20%(オーストラリアはその他に含まれる)

という結果になっています。東京・京都は世界中で知られる定番の観光地であり、栃木県は日光という欧米客に人気の観光都市があるため、このような結果となりました。

ちなみに、回答状況は以下の通りでした!
1.京都:30%
2.東京:8%
3.広島:58%
4.栃木:4%

正解した方が半数以上ということで、みなさんお見事です。京都と迷われた方が多かったようです。

↓こちらに回答すると、他の人の回答割合がわかります!↓
http://www.benchmarkemail.com/Poll/Vote?g=8157&id=1073498&w=220

あとがき

今週のマガジンでは2020年の宿泊需要予想に関するニュースを取り上げました。以前から言及しているように、東京・京都・大阪ではホテル建築が進み、需要不足が深刻化することはなさそうです。

最近それを実感する出来事があったのでご紹介します。

先週、海外の友人からホテル予約なしで京都に行くという連絡を受けました。紅葉の季節ですし、ホテルがとれるのか心配していたのですが、昨日「まったく問題なかった」と報告がありました。

価格やホテルの形態にもよるのでしょうが、たしかに宿泊施設の供給が切迫しているというわけではないようです。

つい最近までホテル不足が叫ばれていたのを考えると、市場の変化スピードには目を瞠るものがあります。

このような変化を自分だけで常に把握することは簡単ではないでしょう。MATCHAにはクライアント様を始め、数多くのパートナー企業様、お世話になっている地域様がいらっしゃり、折に触れて情報交換などをさせていただいております。

もしもインバウンドに関するトレンド把握やキャッチアップにお困りであれば、ぜひわたしたちにご相談ください。

インバウンド業界の情報レベルを底上げするためのハブとして、ご活用いただければ幸いです。

お問い合わせはこちら!

画像6


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?