【短編】遅れる男(3000字)
何故だか僕は、何かと出遅れてしまう男である。
時間にルーズというわけでもない。
僕自身は大変真面目な男だと自負しているし、責任感だってそれなりにある。
上司からもそれなりの評価は受けている…はずだ。
ただ……ここぞ、という時に限ってなんだ。
本当に些細なことではあるが、それに起因して大事な約束に遅れたりする。
例えば。
朝のゴミ出し。
忙しい朝、溜まりに溜まったゴミを今日片付けよう、という日に限って車のキーが見付からない。提出書類を部屋に忘れて慌てて戻る。
そんな些細な時