※個人の感想です(B)

 昨日に引き続き、今日もこちらの記事の感想を書いていく。面白い以外の感想を書かないといけないと思うと、やっぱり内容がより深く、より面白くなって、学びも多い。

今すぐ食べられたい
ユーモラスな作品。まずインドの野生の牛がそんなに美味しいわけないと思うが、牛自身がそう信じ込んでいて、食べたことがあるかのように各部位の旨さを語り、フランスまでの距離を把握していたりする。でもそれが面白い。ユーモアセンスだと思う。

液体金属の背景 chapter1
電子方面は明るくないのでなんとも自信がないが、回路の中身のミクロを擬人化したような、はたらく細胞的擬人化だろうかと思った。個であり全である、人間は皆繋がって一つになって、苦しみはなくなり、完全な生命、神になる、なんだかニムロッドを思い出す。この宇宙だってフラスコの中かもしれないというような、そんな俯瞰的な視点にもなる。

えっちゃんの言う通り
ランダム運行する電車に翻弄される喜劇的な作品。運転手や車掌や駅員なんかを問い詰めて、暴動になってもおかしくはないのだが、この作品では割と楽しげに描かれている。きっと会社に行きたくない主人公の願望が表れているのだろう。主人公がえっちゃんのファンであるところも、その願望がそうさせているように思う。そしてこれを読んで楽しくなる私も、会社に行けない状況が楽しい人間の一人なんだと思った。あと、「おかちまち」って語感がいい。

靴下とコスモス
靴下を眺めることに執着する主人公。眺めるだけで自ら取りに行くことはない。そして失われて初めて後悔することを繰り返している。まるで遠くから好きな人を眺めているだけで満足している人間みたいだと思った。靴下は二つで一つの対である。片方になるとその機能は果たせない。夫婦やカップルみたいなものも連想させる。そして登場人物のKとは一体誰なのか、性別すらはっきり出てこない。そもそも人間なのだろうかと疑ってみたりもした。よく分からない。

カナメくんは死ぬ
くん付けされており、小さい子供だろうと想像できる。私も小さい頃、もうすぐ世界が終わるのに、大人たちは気付かないふりをして、何ともないように過ごし続けているのだ、ということが妙な現実感をもって襲ってきたことがある。いつか死ぬということは皆知っている。でもそれを知らないような素振りで毎日何気なく過ごしている。これはそういう、分かっているけれど普段は目を逸らしている死ぬのだということを、ひたすらに書き切った作品だと思う。

 この中で個人的に推すなら液体金属かなと思う。ミクロやマクロの擬人化みたいなことは、思い付いたらやってみたい。


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