※個人の感想です(E)

今日もブンゲイファイトクラブの感想をば。

いろんなて
なかなか不気味なアトラクションの話。色んな手を使って新しいテーマパークを潰して回るみたいなブラックジョークだろうか。読み終わってまず思ったのは、指が四本で中指ってあるのか?ということ、その辺も含めてジョークだろうか。

地球最後の日にだって僕らは謎を解いている
隕石が落ちてきて地球が終わるまであと何日みたいな話はよくあるけど、この作品は重力まで変化するというところが斬新で面白い設定だ。まず恋人の男女がどっちなのかがすぐに分からなくてちょっと読みにくかった。とても面白い設定なのに、ミステリーのトリックに重力変化を生かさないのは勿体ない気がした。公転軌道から外れているのだろうか、物理的にどうなのだろうとも少し思った。『科学者のお遊びが招いた』というのは個人的に少し好きではなかった。それだけ物凄い科学が発展しているのに、あまり人類の文明が変わっていないこと(夜道を懐中電灯で歩いたり)の違和感も少しあるけど、それより科学者が周りの見えない悪いやつみたいな特に伏線でもないイメージが、私がそういう仕事をしているせいかもしれないけど、少し好きでなかった。自然現象でよかったのでは。

地層
大雨の災害で水に沈んだ町、その上を一家がボートで進む。しかし皆平然としていて、災害には慣れっこのようである。何なら子供たちは楽しそうであり、災害大国日本の未来のようで面白い。洪水の時に家は浮くし、住宅プリンターで簡単に復元もできるくらいに進んだ未来である。そして家々が地層になって欲しいと主人公は思う。なぜだろう、単に面白いからだろうか、災害の歴史の爪痕としてだろうか。しかし、家は化石になるのだろうか、流されたり潰れたりしないだろうか、埋めるとしても潰すのではないか、この地層への着地が私にはちょっと難しかった。

ヨーソロー
ミイラとりがミイラになるということだろうか。それだけではなさそうだが、これも少し難しい。文章がとても読みやすく、内容はするすると入ってくる。童話のような警句を含んでいそうに思えるが、ヨーソローとは何者か、 何故ヨーソローを世話することにしたのか、藤色の帯は何なのか、私の知恵が足りないようだ。

虹のむこうに
ナヌとイヌ、ナヌとは人類の中で、イヌを知覚できる民族のこと。イヌとはナヌの不在形ということだが、去ってしまった者も、去らなかった可能性があり、その可能性の世界を知覚できるというようなことだろうか。パラレルワールドに移行するような話はあるが、同時に重なっている状態を認識しているという発想に思えて面白かった。少しニュアンスが違うかもしれないが、まあ『いかなる言語でも正確に説明することは極めて困難』とあるのでそうなのだろう。冒頭から猿の滋郎が出てくる。父はナヌに近い存在となり、猿に嫌われていた。ナヌが家にやってきたときも猿が暴れた。どういうことだろう、何故猿を出してきたのか、私はこれにしばらく悩んだ。そして猿はナヌが嫌いなのではなく、ナヌが知覚しているイヌが嫌いなのではないかと思った。犬猿の仲だ。これに気付いたときは笑ってしまった。


 個人的に好きなのは、虹のむこうにかなと思う。毎日感想を書いていると、前の作品が頭に残っていて、次の作品に上手く潜れない感じが段々してくる……。

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