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Cubase初心者の夜明け

まったくわからん。

わたしは目の前の画面を睨みつけた。ディスプレイにはCubase_シェア率No.1を誇る作曲ソフト、即ちDAWだ_のプロジェクト画面。
手元には「Cubaseの使い方本」がある。
だがこいつが厄介な代物で、専門用語がずらずらと並んでいる。
当然、用語の解説欄はある。
だがそこにも専門用語が混じっているという、なんとも不親切な本だった。

「こんなもんわかるかぁ〜〜〜!」
わたしは遂に本を放り投げた。
真面目に学ぶ事を諦め、本のDL特典だった楽曲データを開く。
解説をさらさらと読む。やはり難解だ。全てを理解する事は出来ないが、「プロのお仕事ってこんなに色々やってるんだな。凄いな」と感心して満足した。

せめて一曲作り上げたい。しょぼい曲でも何でもいい。
Youtubeを開く。「Cubase 作曲」で検索。
さすがシェア率No.1だけあって、初心者講座みたいな動画がたくさんヒットした。
手当り次第に動画を開いていく。使い方だけを紹介するものではなく、曲を作りながら操作を理解していくようなものはないのか。
求めていたものと出会えず、いい加減うんざりしてきた。
シェア率No.1で講座動画・サイトがたくさんあるとはいえ、分かりやすくて楽しい解説にはそうそう巡り会えないらしい。

そんな頃合いに、ようやく求めていたものに近い動画にヒットした。
ゲームのバトル音楽を一緒に打ち込んでいく動画だ。

これなら出来そうだ。
時刻は朝5時過ぎ。徹夜明けで目がしぱしぱする。
だが、そんなことはお構いなしだ。動画のとおりにMIDIデータを打ち込んでいく。
1時間以上かかったが、何とか曲っぽいものが出来た。
といっても8小節の短いものだが。

Cubaseの使い方も少しずつ馴染んできて、だんだんと楽しさが分かってきた。
もう太陽はすっかり昇ってしまったが、わたしの夜はまだまだ続く。

簡単な曲の楽譜集をもとに、「ちょうちょ」を打ち込んでみることにした。
カリンバを弾くために買ったものだ。

メロディは楽譜そのまま。コードも載っているので、コードトラックを使いながら打ち込んでいく。
ベースは分からないので、Spotifyにあった音源を聴きながら耳コピをした。
ヘッドホンで低音出力を上げまくって何とか聴き取った。
ドラムは……めんどくさかったのでループ素材をそのまま貼り付けた。曲に合わせて少しだけ変える。

これで概ね完成。
ちょっと物足りないので、クラリネットの音で16分音符のアルペジオを鳴らすことにした。
さっきの動画で得たテクニックだ。

時刻は9時くらい。
爽やかな土曜の朝である。ぐっもーにん。
徹夜明けのぎらぎらした目でようやく作り上げた。
初心者にしてはいい出来なんじゃないか。
童謡とはいえ、1曲を満足出来る形で作り上げたのは大きい。

しばらくはこんな感じで打ち込んでいこうかなと思う。
少し複雑な曲にも挑戦したいが、焦っても仕方ない。
少しずつやっていこう。

いつか完全オリジナルの曲が出来た時。
達成感は今日の比じゃないだろう。

そんな未来に思いを馳せながら、倒れるようにして眠りについた。


あとがき

小説風に日記を書いてみる挑戦!
この内容はまさに今朝の出来事です。

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