【マーキング 1】

「マーキング」それは特定の場所に対して縄張りであったり、自分の所有物であることを主張する所作。これはセックスでも例外ではない。そんなお話ーー。

その日の仕事を終え、次の日が休みだったので少しの解放感もありながら帰路に着く。その途中で携帯にメッセージが入る。彼女であるサヤからの連絡だった。
「明日、休みだっけ?午後暇ー?」
呼び出しだ。
断る理由もなく特別な予定もなかったので、
『休みー。特に予定ないから大丈夫だよ。』
と確認してすぐ返信した。
大体彼女とのやり取りはこんなシンプルなやり取りが多い。元々サバサバした性格なのと付き合いもそこそこ長いせいかこんな調子である。今までお互いに不満もないからこれが日常なのだ。後は簡単なやり取りをしてその日は眠った。

翌日、午後に彼女の家に向かい彼女に会いに行く。少し道が混んでて予定より数分遅れてしまった。
到着した時に彼女は自分の車に気付きこちらへ向かい、助手席に乗り込む。
「少し遅れたね。どうしたの?」
と言われてしまったので、正直に
『ごめん。途中道混んでて遅れちゃった。』
と返答した。
「そっか、仕方ないね。」
と言ってくれたので少し安心した。
車を運転しながら
『今日どうする?どっか行きたい所ある?』
と彼女に聞く。いつものやり取りだ。
「んー。ドンキとカラオケ、後いつもの。」
『はい。』と二つ返事で了承し、予定通り買い物をして、日用品など買い揃える。そこからカラオケ店へ向かった。

カラオケ店に到着しフロントで受付する。案内された部屋に入って一息ついた。お互いに好きな曲を入れて歌う。歌っている中で彼女が突然言ってきた。
「次の曲で精密採点やって点数低い方が罰ゲームね。」
唐突に言われてしまい、
『えっ!?サヤに勝った事ないし負け確じゃん。嫌だよ…。』
と拒否する。彼女の方が上手いし採点も点数が高く、自分は1回も勝ったことないからだ。最初から理不尽な事に普通は応じたくない。
しかし彼女は自分に近付き、
「待ち合わせ少し遅れたよね、拒否権ないよ。まあ遅れなくても拒否権ないけどね。」
『どっちにしても拒否権ないとか理不尽過ぎるだ…』
と少し言い返したら言い終わる前に口封じに突然キスされて言葉が出なくなる。互いの唇が離れた直後に、「やるよね…。」と圧をかけられ逆らえなくなってしまった。『分かったよ…もう。』と仕方なく応じた。彼女の香りと無理矢理されたキスの余韻が少し残り思考を少し鈍らせた。
彼女が先に歌う。
「♪♪〜〜♪〜」
歌い終わり採点が出る…92点。次に自分の番になる。
『♪〜〜♪♪〜』
途中まで調子が良かった。珍しく勝てるんじゃないかって思える位に。後半を歌い上げていく、その中で異変は起きた。
『♪〜あっ…んっ…』
彼女に背後から抱き締められて耳を舐められ、シャツの中に手を入れられて乳首を弄ってきたのだ。そこに彼女が耳元で囁く…
「ちゃんと歌わないと負けるよ。身体は正直に感じてるみたいだからこのまま責めるね。」
『ずるい…弱いの知っててソコばっか…ああっ…』
歌は無情にも進んでいく、先程まで安定していた音程も嬌声混じりで不安定になるばかりだった。歌わなきゃという意志とは裏腹に送り込まれる快楽を受け入れてしまう…。また彼女が耳元で囁く…。
「参った。って降参したら乳首でイカせてあげる…。その代わり罰ゲームは2つになるよ。」
『いやっ…勝手にっ…罰ゲーム増やすなっ…あんっ…』
罰ゲームが増えるなんて更に理不尽な事を言われて追い詰められてるのに無情にも快楽は激しさを増して思考を削り取られて行く…駄目なのに…もう…。
『参った!もうなんでもするからお願いします!罰ゲーム2個でも良いからイカせてください…。』
屈服の言葉を言ってしまった。その瞬間彼女に黒い笑みが溢れた…。
「あ〜あ、負けちゃったね〜♪ じゃあ乳首でイけ!」
命令と共に弄られてた乳首を強く刺激され身体が痙攣する。
『ああっ…はっ…ああっ…んんっ…!』
乳首だけで情けなくイカされた…。射精はしていない所謂空イキの状態だった。もどかしさもあったが大きな快楽の波には逆らえずそのまま彼女に身体を預けたままへたり込んでしまった。
歌が終わり採点が入る…87点。
もうそんな事どうでもよくなってしまっていた。
自分から負けを選んで懇願してしまったのだから。快楽の余韻にも逆らえないまま彼女にねだる。
『サヤっ…もう…』
また彼女はまた笑みを浮かべ、言いかけた自分の口を手で塞ぐ。
「いつものだね。」
力無く頷いた後、次の場所へとカラオケ店を後にする。

少し落ち着きまた車を出し最後の場所へと向かう。
彼女が怪しい笑みを浮かべてるのを知らずに…。

〜続く〜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?