そもそも、UXデザインって、なんなのさ?
こんにちは。最近、いろいろなことをやりすぎて、自分が何屋なのかわからなくなりつつある、もりみです。
今日は、関連領域が広いせいか、一部のツールがひとり歩きをしているせいか、全体像がイマイチ掴めていない人をちょいちょい見かけるので、今回は「全体像ってこんなだぞー」という基本の型のお話。
以前に比べ、UXデザインについてかんたんにまとめた本だとか、記事だとか、世の中にたくさん出ているので、学習のハードルが下がったとは思うのだけれど。
目次
1. UXデザインのフロー
2. フロー全体を俯瞰するとこんなことをやっている
3. 前半パートと後半パートはこんな脳内でやっている
4. -コツ其の壱- 発散パートの合言葉は「決めつけるな」
5. -コツ其の弐- 収束パートの合言葉は「着地はギリギリまで粘れ」
1. UXデザインのフロー
いろいろな現場や、フェーズがあるとは思いますが、新規のプロジェクトの場合、だいたいの現場では、この①から⑥の順番で行って、スプリントを回す現場では、⑤と⑥をぐるぐる回しているのではないでしょうか。(それなりにお金と時間がかかるので、理想型として憧れの眼差しで見ている現場もあるやもですが…)
2. フロー全体を俯瞰するとこんなことをやっている
"UXデザイン"なので、ユーザーに焦点を当ててプロセスを解説すると、こんなことをやっています。
01. プロジェクトの開始時点で、たくさんのユーザーたり得る人の中から、ターゲットとなるセグメントを絞ります。
02. 絞ったセグメントのユーザーに対して定性調査を行い、集めたデータを分析して、インサイトを洞察します。
03. ユーザーモデリングで、共通する価値や影響を受けるコンテキストを明文化、または図示をします。
04. ユーザーのインサイトと自社(受託の場合はクライアント企業)が提供できる価値を照らし合わせ、双方がWin Winとなり、かつ、強みとなるポイントを見つけ、そこに対してユーザーの体験を設計します。
05. 体験設計を基に、対象ユーザーのインサイトに沿っているか、ユーザビリティ上、問題がないかなど、検証できる状態にします。
06. 検証できる状態にしたものをユーザーに実際に評価をしてもらいます。
たまに、インタビューとアンケートが、ごっちゃになっている方をお見かけしますが、インタビューは質を測る定性調査、アンケートは量を測る定量調査なので別物です。インサイトは質的調査をしないと出てこないので、ご注意を。
3. 前半パートと後半パートはこんな脳内でやっている
上の図は、有名なダブルダイヤモンドにフェーズを当て込んだものですが、UXデザインのプロセスを順番に行う際、脳内では、このように発散と収束を前半パート・後半パートでそれぞれ行っています。
発散というのは、ただひたすら、いろいろな可能性やらアイデアを発想・探索していくこと。土壌の違う複数人で行うと、いろいろな角度から意見が出るのでオススメです。
対して収束は、たくさん出した可能性やらアイデアを絞り込んで行きます。
発散フェーズで出し切らないで早期収束を試みると、ありがちなものができ上がってしまった、なんてことになりがちなので、発散も収束も全力でやります。
現場や案件にもよりますが、前半パートで収束させた成果物は、価値マップやペルソナ 、ジャーニー(As is)などです。
後半パートで収束させた成果物は、プロトタイプなどです。プロトタイプもいろいろありますが、どれにするかは、何を検証したいかによって決まります。
4. -コツ其の壱- 発散パートの合言葉は「決めつけるな」
発散パートで、ちょいちょい見かける失敗例が、先入観やバイアス、先に思いついてしまったアイデア(これがまた、ものすごくキラキラして見える)を捨てられずに、そこありきで発散をしてしまうケースです。
これは、発想をしているので、きちんと発散しているように錯覚してしまうこともあるかもしれませんが、実態は「こうだ」と決めつけた結果に向けて収束させに行ってしまっています。
人間の認知特性なので、こういった性質は、多かれ少なかれ、みんな持っているとは思いますが、見ていると、どうも、パッと捨てられる人と、固執してしまう人と、人によって分かれるようです。
調査や分析の冒頭、それから、体験設計のワークショップに参加する場合は、決めつけていないか自問自答しながら、ワークショップでは、時には声をかけあいながら進めて行きます。
5. -コツ其の弐- 収束パートの合言葉は「着地はギリギリまで粘れ」
収束パートは、収束というゴールが見えているので、さっさと着地させたくなってきます。ワークショップ中、時折、さっさと結論に飛びつきたくてしょうがない"せっかちさん"に「まだ着地しないの?」と目で訴えられることがけっこうあります。
「ちょっと調べて、ちょっと考えたことなんか、誰でも思いつけること」
これは、とある先生から言われたことですが、本当に、発散も収束も、ササっと急いでやってしまうと、すでに他社や他部署でやっていることしか出てきていなかったりします。
時間をかければ良いということではないですが、発散にしろ収束にしろ、各フェーズごとに、しっかり考察し、議論してから次へ進むことが重要になってきます。
ですので、収束パートも、即結論に飛びつかず、着地ギリギリまで粘りながら議論していくのがコツかなと思います。
実は、UXデザインをちゃんとやろうとすると、たくさん考え、たくさん議論をすることになります。
思考も身体もメチャメチャ体力を使います。
思考の体力は訓練の賜物なので、鍛えれば、発散も収束もそれなりに時間を短縮できるので、時間を短縮したい方は、ぜひトレーニングをしてみてください。
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